[すこし詩的なものとして]0030 輪郭もない世界で
そのフォルムから見透かすのは、どこか華奢で、人間のような造形を得ている。
それをただ言葉だけで語るのは、僕のような臆病な男の弱さだ。だけどそれは、あふれでる虚栄心のように、ニュートラルな排泄物なのだ。
僕らの生きる世界は、泡のように儚く、滑らかに汚れを落とす正当性が含まれ、持って生まれた姿を見出してくれる。そしてあぶり出されたそれは、とても弱くて、主張はなく、どこまでも中間のような、無垢な存在になる。
波打つ水面。
その波状は、どこまでも遠く、どこまでも安定をもって打ち広がる。先ゆく曳航は、見えない何かを運び、残された波紋だけが、静かに僕たちを置いてけぼりにする。
静かなる午後。
思い描いたフォルムに、ひとたび新たな命を吹き込むならば、あらゆる臆病な人間は、そこで生まれた波紋に飲まれ、また静かに水の中へ引き戻される。
いつか、日の光は落ちてゆき、静かな夜がやってくる。
夜空に落とされた星の彼方に、僕らはひそかな夢を見るだろう。
汚れは洗い流され、またひとつ、またひとつ汚れていく。その度に、僕らは絶望の淵を歩き、またいつか洗い出される時を待つ。
夜は、白ばんだ明るさを取り戻し、沈黙の世界で誰かが吠える。
僕らは果たして、何のために帆を上げるのか。
誰も見たことのない黄金郷を目指すのか。
それとも、先ゆく船に引かれるだけなのか。
輪郭さえも見えない、海の果てへ、僕らはまた旅に出る。
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最近頭に浮かぶ言葉は、どうしても抽象的で的を得ていない。
それでもなんとか苦心して言葉を繋げてみる。
それは、今自分における想像力の表す限界なのだろうか、そんなふうに思います。
でも、ひとつのワードにひとつの意味が単純にあるのではなくて、交差するグラデーションの中にそれらの意味が織り成しているような気もします。
マクロで見るか、ミクロで見るか。
雑多な中の小さな光を探してみよう。
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