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#08 ニットの型紙のつくり方(基本の”き”)


みなさんこんにちは。

これまでニットのパタンナー目線で記事を書いてきましたが、今回はパタンナーらしくニットの型紙について触れようと思います。

布帛とニットでは、生地の性質や作り方が異なるので、型紙の考え方も異なる部分があります。この記事では、型紙を作る上でこれだけは押さえてほしいポイントをお伝えできればと思います。

※胸グセの処理については長くなるので、別記事で説明します。


編み出しがあるので裾線や袖口は基本水平

ニットには、編み出しがほつれてこないという性質があります。ロックなどの仕末が不要なことから、一部の場合を除いて、どの作り方でもニット製品では編み出しをそのまま使用して作ります。

そのため、引き返し編みでカーブさせる場合を除いて、型紙上の裾線と袖口は水平に設定するのが基本になります。

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機械で編める範囲でしか角度がつけられない

カットの場合は布帛と同様、袖山や袖ぐり、衿ぐりのカーブ、肩線の角度などは自由に作ることができますが、成型やホールガーメントで作る場合は、糸や編み方の種類によって制約が出てきます。

機械の性質上45度よりも鋭角に編む場合、引き返し編みという技法を用います。肩線や袖山のカーブは、引き返し編みと減らし目を組み合わせながら編んでいくのですが、袖山が低い場合や肩下がりが小さい場合は編めないことがあるので、そのときは確認が必要になります。

型紙上でどう表現するかですが、

・ 布帛と同様理想のカーブで型紙を引く方法
・ 直線のみで型紙を引く方法

の2種類の方法があります。可能な範囲でカーブに近づけたい場合は、理想のカーブを引き、デザイン上袖ぐりなどが直線的に表現されている場合は、角度を45度以上にすることを頭に入れながら直線のみで引きます。

基本的に上記の方法を併用しながら型紙を作りますが、成型やホールガーメントで作る場合、袖ぐり部分などは直線のみで型紙を作成することもあります。

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縫い代のつけ方


・縫い代をカットする場合
ニットは布帛と違い、編み地をカットするとどんどんほどけていきます。カットの場合はもちろん成型で作る場合でも、角度や編み地によって肩線や衿ぐりが編めない場合があるので、その際はカットします。

布帛では縫い代の仕末に折伏せ縫いや袋縫いのような様々な方法がありますが、ニットではカットした部分は、基本的にロックで仕末をすることが多いです。縫い代のロックを隠したい場合は、ロックをかけてから総針テープなどのテープを用いて隠します。

なので、縫い代のつけ方は、基本的に縫い合わせる箇所は同じ幅の縫い代をつけ、衿ぐりやカーディガンの前端のような附属(衿や前立て)がつくような箇所は、附属の幅とロックミシンの幅を考慮してつけます。

・成型で作る場合
成型で作る場合、縫い代幅はcmで指示するのではなく目数で指示することが多いので、編み機のゲージと縫い代に必要な目数によって縫い代幅が決まります。

目数がわかる場合は、型紙の縫い代部分に目数を書いておくと間違いがないですし、わからない場合は工場にお任せしてもいいと思います。工場の縫製担当者は、編み地によって必要な縫い代が判断できるので、1stサンプルはお任せ→出来上がったサンプルの縫い代の太さを確認という流れでも大丈夫です。

平面作図でも立体裁断でもOK


型紙の作り方は、基本的には布帛と同じなので、上記のポイントを押さえていれば、平面作図や立体裁断のどちらでも大丈夫だと思います。私の場合、基本的なプルオーバーやカーディガンなどは平面で作成し、ジャケットや少し変わった形のものは部分的に立体裁断で型紙を作成していました。それぞれ自分に合った方法で作成していただけたらと思います。

ニットだけでなく、布帛を含めて型紙を作る上で一番問題になる胸グセの処理については、次回説明しようと思います。

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