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ある「小さな組織」で起きたハラスメント騒動-(2)ハラスメントは「小さな組織」で起きている<後編>


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『(1)ハラスメントは「小さな組織」で起きている<前編>』

(5)処罰できない「小さな組織」


①「事実確認」のゴタゴタ

2021年7月末、セクハラによってOさんが退職。そこから私へのパワハラが開始。そして10月、Hさんがセクハラ被害の存在を公表。ここに来てようやく、(環境NPO)A社としての「事実確認」が始まりました。

とはいえ、A社の意思決定を担う理事会は、事務局スタッフ2名の理事(I氏・Fさん)を除き、全員が「ボランティア」でその任に就いていました。「実働部隊である事務局の運営は事務局に任せる」という慣習となっていたのです。

さらに、約10名の理事のうち、普段からA社の運営に関心をもって関わっていたのは4~5名に過ぎません。そのうち、1名は加害当事者であるI氏、もう1名は、セクハラ被害者の母親であるYさん(副代表理事)です。I氏・Yさんは被害・加害の当事者であるため、事実確認を担うわけにはいきません。そのため当初は、代表理事(Tさん)が1人で、被害者・加害者・周囲へのヒアリングと、処分の検討を行ったのです。

② 初動対応を間違えた「小さな組織」の代表

私が全ての被害を訴えてから1か月後、代表理事であるTさんに呼び出されました。そして、次のように告げられました。

  • I氏はセクハラ・パワハラ行為の事実を認めた。今後はそのようなことをしないように、代表理事として注意した

  • 知り合いの法律に詳しい人とも相談をしたが、一度失敗したからといって、すぐに処分ということは難しい。一般的にセクハラやパワハラでは懲戒解雇は難しい。減給ですら難しい。処分はできない

  • 本人から直接の訴えがないので、Oさんはヒアリングの対象外とした(私への被害の訴えがあったのに…)

  • A社の「職務規定」は確認できていない。これから確認して、理事会に諮って処分を決めていく。

  • 今後はI氏と仲良くするように

  • 〇〇(筆者)が退職するなら止めない。その場合は転職活動を上手くやって、あまり生々しくならないようにしてほしい。

要するに、「I氏は無罪放免」という結論でした。Oさんに対しては、ヒアリングの打診すらありませんでした。挙句の果てに「パワハラについては〇〇(筆者)の勤務態度にも問題があるから気をつけるように」と言われる始末でした。

A社(代表理事・Tさん)によって、1か月もかけて行われた「事実確認」は、「(弁護士でもない)知り合いの法律に詳しい人」と相談しただけで、A社の「職務規定(賞罰規定)」すら確認できていない状態でした。Oさんの件については、事実確認の努力すら見られませんでした。そして、Tさんの出した結論は「無罪放免」。この時点で、私はTさんへの信頼を失いました(※注1)。

結局、もう1人の被害者であるHさんが「処分不服」を訴えたことにより、「無罪放免」の方針は覆りました。Hさんの被害事実と訴えがなければ、この騒動は「なかったもの」として終結した可能性が高いと思います。

そこからは、別の理事も事実確認に加わってくださり、弁護士に処分方針の相談をしたり、退職したOさんへのヒアリングをしたりと、A社はようやく、「小さな組織」として、このハラスメント騒動に向き合い始めたのでした。

(※注1)Tさんは普通の会社員です。A社の「代表理事」は、Tさんがボランティア(文字通り「無報酬」)で引き受けた役目なので、Tさんにとってはプライベートにおける「善意にもとづく重荷」でしかありません。

「ハラスメントの対応」は、組織体制の整った企業であれば、総務・人事などの、それを「仕事」として担う人たちが担う重責です。ボランティアのTさんに対して、それと同じレベルでの「責任ある行動」を期待すること自体が無理な望みだと思います。ここにも「小さな組織」の限界が見えてきます。

また、この段階(Tさんによる事実確認の段階)では、加害者であるI氏が「息を吐くように嘘をつく人間」であることを、周囲はまだ理解できていませんでした。この後、I氏による不誠実な対応や虚偽報告などが明らかになるにつれ、周囲は少しずつそれを理解していくことになります。当初、I氏の「口からでまかせ」の言い訳に、Tさんはまんまと言いくるめられたと考えられます。

③(実質的に)処罰できなかった「小さな組織」

A社の理事会が決定した、I氏に対する処分は次の2つです。

  • 始末書の提出

  • 2週間の出勤停止

また、同時に「ハラスメントに関する規定(案)」が発表されました(※注2)。ですが、これらの処分は(実質的に)効力を発揮せずに終わります。

まず、I氏は「始末書」の提出を拒否しました。I氏によれば、始末書の提出は「自身の非を認めること」になるそうです。A社の理事会が決定した処分を、I氏は踏み倒すことに決めたのでした

当然、理事会は始末書の提出を求めます。それに対するI氏の対応は「これ以上の処分を受けるなら団体を訴える」というものでした。その言葉が本気かどうかは分かりませんし、仮に団体を訴えてもI氏が負けることは明白です。ですが、団体はその「脅し」に屈しました。結局、始末書は未だに提出されていません(2023年9月現在)。

2022年1月末、I氏は「2週間の出勤停止」を受け入れました。そして、2週間後、(文字通り)何事もなかったように職場へ戻ってきました。

ちなみに、通常の会社であれば、「出勤停止」は「減給」に繋がります。ですが、A社は年棒制です。給与総額は前年の実績で決定されるので、I氏は報酬が減ることもなく、単に仕事を2週間休んだだけでした。さらに言えば、給与の査定に「賞罰」は考慮されない仕組みなので、翌年度もI氏の給与は変わらず、むしろ、大幅に昇給した、というオチがついています。

「小さな組織」であるA社は、処分を決定しながらも、(実質的に)その処分に「実効性」を持たせることはできませんでした。

(※注2)Tさんは、ご自身の勤務先で過去に作成した「ハラスメントに関する規定」をベースとして、A社の「ハラスメントに関する規定(案)」を作成したそうです。ですが、そのTさんが最初に下した結論は「無罪放免」でした。

このことからも、「ハラスメントに関する規定」の有無に関わらず、ほとんどのハラスメントが組織に放置されている実情を読み取ることができます。

④ 多くのスタッフ・関係者が「小さな組織」を去るという幕引き

加害者であるI氏は、A社に残ることを決めました。I氏にとって旨味だらけのポジションなので、辞めるはずがありません。

そのため、被害者であるHさん、私、そしてI氏に失望したFさん(勤続8年)は、2022年6月末にA社を退職しました。わずか1年足らずのうちに、I氏が原因のハラスメント騒動によって、職員5~6名の「小さな職場」から4名が退職したことになります(パワハラを受けていたMさんを含めれば5名)。

また、長年にわたってボランティアでA社の活動を支えてきた理事数名も、A社を離れました。I氏の不誠実な対応や数々の虚偽報告、さらには自分こそが「被害者」であるかのような振る舞い(「団体を訴える」などの脅し)が原因でした。代表理事であるTさん、そして事実確認に加わってくれた監事のEさんは、責任感から今も団体に残っています(2023年9月)。

I氏は自分こそが不当に貶められた「(真の)被害者」だと信じています。そして、自分のお気に入りの後輩を愛知県から呼び寄せ、新しいスタッフを雇い入れて、何事もなかったようにA社で事務局長を続けています。

(6)「小さな組織」のハラスメント騒動から見えたこと


①「小さな組織」ほど、ハラスメントの防止も、解決も難しい

なぜハラスメントは「小さな組織」で起きるのでしょうか?

それには次に挙げるような理由があります。私が経験した事例では、以下の全てが当てはまりました。

1.資源不足: ハラスメント防止には適切なトレーニング、ポリシーの整備、相談窓口の設置などが必要であるが、小さな組織ではこれらを実施するための人員等のリソース(資源)が不足している場合がある。

2.意識の欠如: 小さな組織では、適切な研修や啓発が不十分で、セクハラ防止に対する意識が低い場合がある。そのため、ハラスメントが問題であることを理解していない、あるいは軽視してしまうことがある。

3.匿名性の欠如: 小さな組織では、ハラスメントの被害者と加害者との距離が近いことが多い。そのため、被害者が匿名で相談することが難しい。

4.ヒエラルキーの影響: 小さな組織では、上司と部下の関係が密接である場合が多い。上司がハラスメントの加害者である場合、部下は告発に抵抗を感じる可能性が高い。

5.法的知識の不足:
 小さな組織では法的知識が不足している場合がある。適切な法的知識に基づく理解と、その遵守が必要である。

※ChatGPTの回答をベースに筆者が整理(引用元は不明)

「大きな組織」であれば、当たり前にできる対策や処分も、「小さな組織」では期待できません。ここでは2つの例を挙げてみます。

例えば、相談体制(「1. 資源不足」に該当)
「大きな組織」であれば、ハラスメントの存在を認識したら、それを「相談・通報」できる第三者の窓口が存在します(事業主の義務)。ですが、私がOさんからセクハラの被害相談を受けた時点では、A社に相談窓口は存在していませんでした。自分たちで解決方法を探るしかなかったのです。

例えば、ハラスメントに対する理解の低さ(「2. 意識の欠如」に該当)
私がいた「小さな組織」のリーダー(事務局長・I氏)は、「セクハラ(に該当する言動)」を、「円滑なコミュニケーションのツール」として捉えていました。「大きな組織」では過去のものとなった「常識」が、「小さな組織」では、今もまかり通っています。

②「小さな組織」には相談先がない?

「小さな組織」では、組織内に相談・通報の窓口を設けられません。人間関係が近すぎて、匿名性が守れないからです。私がいたA社では、最終的に理事会がその機能を担い、事実確認や処分の検討を行いました。

ですが、「小さな組織」では、A社における理事会のような「上部組織」がない場合もあります。とはいえ、いきなり弁護士などの専門家に相談するのは、心理的にも、費用面でも現実的ではありません。

そんなときには、組織の「外」に助けを求めることになります。「小さな組織」でハラスメントを受けた際には、なるべく早く第三者に相談することをオススメします。現実的な解決につながるかどうかは分かりませんが、自分の置かれた状況を客観的に見つめるためにも、専門家に相談することは有効です

※厚生労働省は、ハラスメントの悩み相談ができる第三者機関を、一覧にして公開しています。

私の場合、人事部門で長年働く知人が身近にいたため、プライベートにおいて相談することができました。自分自身でできる対応策や今後の見通しなどを、早い段階で気軽に相談できたことは、本当に幸運だったと思います。

③「小さな組織」では、開き直る加害者は「無敵」

私が経験したA社の事例では、上部組織(理事会)が決定した処分に対して、I氏は「訴える」と脅すことでウヤムヤにしました。A社は「始末書」を提出させることすらできませんでした。「処分を決定する」ところまでが、ボランティアで構成された理事会の「限界」だったと言えます。

また、「小さな組織」では、あらゆる権限を握るリーダーが、「ハラスメント加害の当事者」ということも起こり得ます(このパターンが圧倒的に多いのかもしれません…)。「小さな組織」では、リーダーであるハラスメント加害者が「開き直る」場合、立場の弱い被害者に残された選択肢は、次の4つしかありません。

  • 我慢する(→→とてもしんどい)

  • 外部機関に介入を求める(→→介入された時点で人間関係は崩壊?)

  • 法的に争う(→→勝って得られる「対価」と、争うための「労力」が釣り合わない)

  • 辞める(→→悔しいが、精神的には救われる)

私の経験から見えたのは、「小さな組織」では、開き直る加害者は「(ほぼ)無敵」という現実でした。また、組織のリーダーにとっても、ハラスメント行為は貴重な人材に見限られるという「損失」へ繋がります。

ハラスメントは、組織で働く従業員にとっても、組織のリーダーにとっても、「未然に防ぐこと」が最善なのです。

ちなみに、A社は注目が集まる分野の環境NPOです。30年近くにわたって(独占的に)国の業務を請け負っている上に、営業などしなくても大企業から仕事が舞い込む仕組みができあがっていました(※前前・事務局長の功績)。また、その業務に専門性はほとんど必要ありません。そのため、「小さな組織」からどれだけ人が離れても、「何も知らない新人」を補充すれば問題ありませんでした。だからこそ、I氏は、被害者や関係者の気持ちなど考える必要がなく、傍若無人に振る舞うことができたと言えます。

(7)「小さな組織」のハラスメント対策(※労働問題のプロではないが、経験者として言えること)


(前提)「小さな組織」は「未然防止」がすべて

「小さな組織」は人間関係が濃密である分、一度でもハラスメントに起因する争いが起きれば、(ほとんどの場合)その関係は修復不可能な状態に陥ります。

「大きな組織」であれば、配置転換や転属・転勤によって、加害者と被害者を物理的に引き離すこともできるでしょう。ですが、「小さな組織」ではそれは叶いません。また、私が経験した事例のように、加害者が開き直れば組織は崩壊します。

「小さな組織」では、「ハラスメント発生時の対応策」を講じることはもちろんですが、「ハラスメントの未然防止」が何よりも大切なのです。

(具体策①)組織のトップが「ハラスメント撲滅」を宣言する

「ハラスメントの未然防止」に最も有効なのは、組織のトップが「ハラスメント撲滅」を宣言することです。組織のあり方や雰囲気は、大きな力を持つリーダーによって決まります。

組織が小さいほど、相対的にリーダーの影響力は大きくなるので、「小さな組織」であるほど、リーダーが率先して「ハラスメント撲滅」を掲げることが有効となります

私が以前に勤務していた医療系システム企業は、創業者の1人である女性が、代表取締役社長を務めていました。ワンマン企業のため、社長の方針に振り回される社員の姿はよく見ましたが、(少なくとも社長がいる本社では)「セクハラ」について見聞きした記憶はありません。「リーダーが組織の雰囲気を決める」という、1つの好例だと思います。

残念ながら、私がハラスメント騒動に巻き込まれたA社は、(現場の)リーダーが、平然とセクハラ・パワハラを行っていました。また、上部組織である理事会はボランティアのメンバーで構成されていたため、現場のことは現場に任せる慣習となっていました。そのため、歴代の事務局長によるハラスメント(主にパワハラ)も放置されてきたようです。A社の事例は、「小さな組織」が「ハラスメントの未然防止」に失敗したという、1つの好例だと思います。

(具体策②)相談・通報窓口を明確にする

今回、私がセクハラ被害の相談を受けたときに困ったのは、「組織内」に相談できる人がいないことでした(※組織「外」の人たちが、大きな力となってくれました)。「ハラスメントの相談・通報窓口」が最初から存在していたら、、あれほど悩むことも、自分自身が報復のパワハラを受けることもなかったはずです。

どのような組織でも、「ハラスメント」の発生を「0(ゼロ)」にすることはできません。なぜなら、それぞれが考える「ハラスメント(嫌がらせ)」の「基準」が異なるからです。本来、その差を埋めるために、「研修・教育」が必要となるのですが、「小さな組織」にはそのような余裕はありません。

だからこそ、トラブルが大きくなる前の防波堤として、「ハラスメントの相談・通報窓口」として、「(信頼の置ける)第三者」の存在が重要になります(※注3)。

「小さな組織」では、「(信頼の置ける)第三者」の確保は、「至難の業」かもしれません。ですが、「小さな組織」に関わる全ての人のためにも、「(相談しやすく、個人情報等の秘匿に信頼が置ける)第三者の窓口」は、想像する以上に大切だと感じます。

(※注3)2019年に改正された「労働施策総合推進法」によって、職場におけるパワハラ防止対策が事業主に義務づけられました。中小事業主についても、2022年4月1日からパワハラの雇用管理上の措置が義務化されています(ハラスメント相談窓口の設置を含む)。また、セクハラ防止対策も事業主の義務として定められています(こちらは「改正男女雇用機会均等法」に基づく)。

(具体策③)ハラスメント規定や懲戒を定めて共有する

私がハラスメント騒動に巻き込まれたとき、A社の就業規則にはセクハラ(セクシュアルハラスメント)の禁止だけは明記されていました。ですが、他のハラスメント(パワハラ等)については、何の記述もありませんでした。さらに言えば、ハラスメント発生時の対応や懲戒の規定は存在しませんでした。

そのため、実際にハラスメントの訴えが起きたときに、組織の運営メンバーはうろたえました。結果として、初動対応を誤り、対応に遅れが生じたうえに、(実質的に)処分ができないという結果を招きました。

ハラスメント規定や懲戒の方針を定めておくことは、一度のハラスメントが組織運営の命取りになる「小さな組織」にとって、蔑ろにできない点だと思います(注:「事業主の義務」です)。

(8)「小さな組織」で働く人の自衛策


① 相談できる相手や相談窓口を確認する

ここまで、ハラスメント対策について、「小さな組織」がやるべきことを書きました。全て、措置義務が法的に課されている内容です。ですが、「小さな組織」には、ハラスメントの「未然防止」も、「相談窓口の設置」も、「規定の作成」も、期待できません。残念ながら、それが現実です。

だからこそ、「小さな組織」に関わる人は「自衛」が必要なのです(悲しい話ですね…)。まずは、相談できる相手や相談窓口を確認する必要があります。いざというときに右往左往したり、ひとりきりで悩んだりしないためにも、「小さな組織」の内・外に、相談相手がいると心強いです。

また、公的機関等でも相談を受け付けていますので、一人で悩みすぎず、誰かに話すということが、大切な「自衛策」となります。

② ハラスメント被害に遭ったら、冷静に、誠実に対応する(「書く」ことのすゝめ)

私がOさんからセクハラ被害の相談を受け、自分がパワハラ被害を受けたときに心がけたのは、ひたすら冷静に、そして誠実に対応することでした。また、客観的な「事実」を積み重ねることも心がけました。

「大きな組織」であれば、専門の担当者が、当事者へのヒアリングや証拠集めなどを通して、ハラスメントの事実確認を行ってくれます。ですが、「小さな組織」ではそれらを自分でやらねばなりません(たいていは、この段階で心が折れて、訴えることを諦めてしまいます)。

渦中にいるとき、私はあらゆることを書き残していました。加害者の言動だけでなく、上部組織による事実確認の経緯やその結果など、しんどいからこそ、「書く」ことだけは続けました

騒動の渦中にいると、そのことばかりが頭の中を駆け巡り、それ自体が心理的なストレスとなります。ストレスが重れば、心の余裕や冷静さを失い、思わぬところで、相手につけ込ませるようなミスを生んでしまいます。

「書く」ことで、自分自身のもやもやした気持ちや感情に「形」を与え、「文字」として、頭の外に追い出すことができます(記憶の外部化)。理不尽な状況下にあっても、「書く」ことが冷静な思考の維持を手助けしてくれるのです。

また、時系列で書き連ねていくと、加害者の対応や言い訳の矛盾なども見えてきます。どのような結果になるとしても、「書く」ことは自分を助けてくれるはずです。

また、「誠実」であることの大切さも実感しました。どのような状況であれ、自分が誠実に対応していれば、周りが助けてくれる可能性が高くなります。こちらが冷静で、誠実でいることにより、加害者の理不尽さや異常さが際立つことが、その要因かもしれません。

③「戦う」以外に、「遠ざかる・逃げる」ことも、大切な選択肢

また、世の中には「戦っても勝てない相手」が存在します

仮に、ハラスメント加害者が「反省」したり「(相応の処分を受けて)後悔」したり、「(自身の行動を省みて)その後の行動を改める」ことを、「勝ち」と定義してみます。

私たちが対峙したI氏は、「(文字通り)他人の痛みが分からない人間」でした。他人の痛みが分からないため、自分の行為によって相手が傷つくかどうか(または傷ついたかどうか)の判断ができません。そのため、他人を貶めることや、相手を傷つける言動を取ることに躊躇がありませんでした。

また、善悪の判断ができないので、(簡単にバレるような)嘘を平気でつきます。嘘がバレても平然としており、ときには逆ギレしたり、逆恨みに発展します。常に自分は「被害者」であり、今回のハラスメント騒動でも、最後まで、「自分こそが不当に貶められた被害者」だと、(おそらく本心から)主張していました。

こうした相手がハラスメントの加害者である場合、「反省」や「後悔」、「行動の改善」を期待してはいけません(できないからです)。したがって、「勝つ」ことはできません。

あなたを傷つける相手がこうした特徴を持っている場合、「勝ちを求めて戦うこと」は、ほぼ間違いなく徒労に終わります。したがって、相手によっては、「遠ざかる・逃げる」ことも、大切な選択肢となるのです

この点については、別の記事として詳しく書きました。興味のある方は、こちらをお読みください。

(↓ ↓ 続編はコチラ ↓ ↓)
『ある「小さな組織」で起きたハラスメント騒動-(3)加害上司が「サイコパスの特徴」を兼ね備えていた件について』


(↓ ↓ 前編はコチラ ↓ ↓)
『(1)ハラスメントは「小さな組織」で起きている<前編>』

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