【企画展レビュー】コンセプトが面白い!『世の中を良くする不快のデザイン展』
『世の中を良くする不快のデザイン展』に行ってきました!
逆説的なコンセプトが目を引く企画展で、SNSを中心に話題になっているようでしたので、意を決して行ってきました。
土日は整理券を配っていて、早く行ったのでお昼くらいの回の整理券をゲットできました。考えるきっかけになる企画展でとても満足です。
※サムネイル画像の出典は以下の公式サイトです。
不快デザインのメリット
不快を意図したデザインにもメリットがあります。1つ目は「伝達スピードが速いこと」です。企画展のボードにも記載がありました。不快なデザインは危険なものとして、すぐに察知・認知できます。
そして、伝達が速いだけでなく、判断スピードも速くななります。誤飲防止のために、苦い味のするコーディングをしているNintendoSwitchはその代表例ですね。苦すぎて(不快)、条件反射のスピードで、吐き出させることができます。よく考えられてますねぇ。。
2つ目のメリットは、年齢や性別に関係なく、察知できることです。不快の察知させる能力は高く、広いように思います。特に、幼児からお年寄りまで全員が察知できます。知識など属人的な要素も「不快」には関係ないです。
また、今回の展示物を見渡すと、訴求ポイントは五感を網羅してます。
・踏切の音やモスキート音→聴覚
・踏切のバー→視覚
・都市ガス臭い → 嗅覚
・苦いコーディングをしているNintendoSwitch→味覚
・濡れた感覚が強いトレーニングパンツ→触覚
このような訴求ポイントは、誰ででも同じ経験ができます。別の言い方をすると、経験の結果を1つに集約できます。人によって感じ方の強弱はあるかもしれませんが、同じ違和感から、最終には同じような回避行動を促すことができます。今回企画展を見て、不快の一番のメリットは「認知後の結果を1つにできること」だと思いました。
行動パターンを絞れるのは、設計側からするとかなり魅力的です。設計した(想定した)ようにユーザーが動いてもらえると、思うような効果をもたらすことができるからです。少数派ですが、設計した行動パターンを外れる人がたまにいます。意図的に外れる人もいたりします。(自分はシステムエンジニアで、webサイト設計時の経験則です)
思ったこと・考えたこと
①「不快」は十分条件であって、必要条件ではない
極論ですが、不快なデザインは必要条件ではない気がします。例えば、都市ガスを使用するのに、臭いにおいは絶対必要というわけではありません。同じように、NintendoSwitchで遊ぶのに、苦いコーディングは絶対必要というわけではありません。
副次的な効果(引火や誤飲の危険性)を防ぐために、不快なデザインが使われているものもあったからです。機能ではなく、安全性を高める効果として使用されていますね。
②不快なデザインは市場との対話の積み重ね
不快なデザインは今回魅力的にみえました。その理由は、市場との対話の積み重ねを表していると思えたからです。例えば、踏切のバーの高さは、小学校低学年の目線の高さにしていて、くぐるにも飛び越えるにも難しい(不快)高さだそうです。想像ですが、踏切のバーをくぐるor飛び越えるような結果があったのではないでしょうか。
そのほかにも、危険の回避策として取り入れられた不快なデザインは、過去の過ちの対策として機能していそうです。ここに積み重ねを感じました。次は、事故を起こさないようにって。
*
一方で、パンケーキの例(パンケーキミックスは卵を加えて、ユーザーに作らせるという手間──不快を与えて、ヒットしたという紹介)は誕生秘話が少し違いそうです。試しに「卵を加えさせてみた」、それがヒットの要因だったと結果から、見出された不快のデザインのようです。
試しにやってみたらうまくいった。その原因の1つが不快のデザインだったようです。数を打つこと、余白(必ずしも合理的ではない要素)を入れることで、見つけることもできるようです。
③合理的ではないところに人間っぽさがつまっている
今回の企画展で、人ってめんどくさいって思ってしまいました(笑)
合理的な仕掛けではうけず、あえて不快のデザイン(合理的ではないデザイン)をすると市場でヒットするような展示もあったからです。
ただ、このめんどくささが人たる所以ですね。不快を知ることは人知ることともいってよさそうです。だからこそ、企業努力のすさまじさを感じました。あの手この手のアイデアで打開しようとして、それでいてシンプルなコンセプト、デザインにおさまっています。すごい、、
*
話題になったことだけあって、とても面白い企画展でした。「不快」が生活をよくするという逆説的なコンセプトがとても面白いです。ふだんの何気ない空間に、誰かの人知れない「思い」を見出すことができました。
最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました。