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無料はいつか終わる

楽天モバイルが1GB未満の無料利用を終了して、新プランを発表しました。業界最安値だったこのプランの廃止には大きな反響を呼んだそうです。まさに楽天モバイルで1GB未満ユーザーである僕としても、寝耳に水のショッキングな出来事でした。今はフィリピンにいるので、他のプラットフォームに乗り換えることも出来ず、渋々この新プランを受け入れるしかありません。

楽天モバイルの1GB未満無料プランは、日本に拠点のある、海外で生活する人達に重宝されています。半年に一回海外ローミングしさえすれば、日本での携帯電話番号(+81)を無料でキープすることができます。このようなサービスは大手キャリアでは「サービス一時休止」という形で無料で引き受けてくれるものの、休止のため、その期間はお店に行かないとその電話番号を有効に出来ず、またそもそも大手キャリアの月額料金は高額です。そんなことから、海外で生活する人たちの間では、携帯キャリアは楽天モバイルがデファクトスタンダードとなっていました。

とはいえ、楽天モバイル側の言い分もよくわかります。赤字が積み重なっており、経営を圧迫していました。楽天モバイルは大手キャリアに次ぐ第4のキャリアを目指しているため、どうにか軌道修正する必要があります。おそらく、そこで苦肉の策でこの1GB未満ユーザーの有料化に踏み込んだものと思われます。

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ここで注目したいこととして「無料サービス」があります。インターネットが流通したことで、世の中には無料で利用出来るサービスが溢れるようになりました。Googleであったり、TwitterやFacebookなどのSNSであったり、今の時代、検索も発信もなにもかも無料でできます。しかし、これらはユーザーからは無料で利用できるものの、そのプラットフォーム設計や維持管理には莫大な資金が投入されており、企業は主に広告費という形で資金を調達し、利益をあげています。

無料で使えていても、その裏には大きなお金が動いているのです。これをユーザーである僕達はなかなか気付きづらくなっています。

無料だったサービスが有料になる例はこれまでにもいくつもありました。オンラインミーティングプラットフォームのzoomが今まで時間無制限で無料で利用できた一対一のミーティングを40分という制限付きにしたり、QR決済のPayPayが加盟店への使用料を無料から有料としたり、他にも探せばたくさん事例が出てくるかと思います。

これらの戦略はシンプルです。無料サービスとしてローンチし、話題を集めてユーザーを増やし、ある程度安定した頃に有料化して収益を上げるというもの。広告収入をあてにしているものも多くありますが、有料化を前提としたものも多くあります。企業である以上、収益を上げることは絶対だし、収益がでなければサービスも維持管理が出来ません。

そのため、現在無料で使えているサービスもいつかは有料になる、と思っておく必要があるのではないかと個人的には思います。どのサービスを利用しようか今悩んで決断しても、いつかその状況は変わる、ということにもっと真剣に向き合わなければなりません。

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これは僕も含めたものになりますが、特に日本では、安ければ善、高ければ悪、という風潮が漂っています。また、無料ではないものの、異常に安いサービス(食事なども含む)が数多くあります。それらは多大なる企業努力によって無料や安価を実現しています。場合によってはそのしわ寄せが現場にも来ている場合があります。私たちは今、それを強く認識する必要があると思います。

宅配サービスで見られる「配送料無料」も、これはトラックの運転手がボランティアでやってるわけではなく、販売業者が販売価格の中から一定の割合で宅配業者に支払っているだけで、利用者は配送料を実質支払っています。しかし、配送料無料とすることでユーザーは得をした気分になり、購入に繋がっています。これについて、ZOZOの創業者の前澤友作さんはかつてこの件についてTwitterで言及したことがありましたが、言い方が悪かったからか炎上してしまいました。一方、宅配業者からは歓喜の声が上がったとの話しもあります。

この世に無料のものなんか基本的に存在しない。

川沿いで石を拾ったり、道端で花を摘む訳では無いので、この定理を今一度認識して、日々生活していきたいなと思いました。ただ、無料にするのも企業側の戦略ではあるので、無料(という形で企業がユーザーに提供している本当は有料の)サービスも無料でありがたく使わせてもらいます。

そして、このnoteもそうですが、いつかは有料になるかも、という状況を見据えて、なにかしら準備しておくことも必要ですね。

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