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記憶の古層

乾いた土には水を与える。

拾った種を土に蒔く。

冷たく澄んだ空気を、思い切り吸い込む。

木漏れ日を見て「綺麗だね。」と言う。

水に反射してキラキラとする光を、「美しい」と思う。

摘んだ野花を花瓶にいける

誰かが作ってくれたご飯に、手を合わせる。

食材を「この子」と呼ぶ。

飛ぶ鳥たちを見て、「気持ちよさそうだな」と思う。

太陽よりも、月を綺麗だと思う。

波の音で心が落ち着く。



僕らが普段何気なく美しいと思う事は、きっと遠い日に誰かも同じように思った事。

僕らが無意識にしている仕草は、いつか遠い日に、誰かがしている仕草だろう。

それは未来でも過去でもない。
ずっと変わらないということは、シンプルに美しく、それでいて何も求めていない。

朧げな感覚に耳を傾けて、記憶の古層を呼び覚ましていきたい。

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