人と深く関わるのが苦手な理由
僕は今とあるカフェの窓際の席で、この文章を書いています。
お気に入りの窓際の席からは公園が見えて、夕方になると、友達や恋人や家族、誰かと笑顔で電話しながら歩いてる人達の姿が見えます。
そんな光景を目にした時ふと、封じ込めていた感情が湧き出てきました。
「自分もあんな風に人と繋がりたい...」と。
焦った僕は
と心の中を沈めて冷静になります。
そしていつものように、こう言い聞かせます。
「俺は一生誰とも関わらずに、一人で生きていくんだから!前にそう決めたじゃないか!」
「確かに孤独を感じる時もあるけど、一人の時間が多い分、自分と向き合ったり、勉強したりして成長出来るメリットもあるんだから!」
「人と関わるのは弱い人間達なんだ!俺は違う。強いんだ!」
そうやって自分の本当の気持ちを見ないようにして誤魔化して、何事も無かったかのように、いつもの日常に戻る訳です。
傷つくくらいなら、一人で生きていく方がましだった
僕は30歳の頃に鬱病になったのをきっかけに仕事を辞めて、連絡先を全てリセットし、それから1年以上誰とも会わない生活をしてきました。
まるでこの広い世界で、自分だけがひとりぼっちで生きてるような不思議な感覚でした。
僕は昔から人間関係が苦手で、他人と親しくなるのを避けてしまう傾向があり、最初は自分でもその理由が分かりませんでした。
でも心理学の本を読んでいる時に、その理由が分かったんです。
心理学では、他人から傷つけられることや、人前で恥をかくことなどを必要以上に恐れて、人間関係を避けるなどの特徴がある人の事を
「回避性パーソナリティー障害」
と呼ぶらしく、
その原因の多くは幼少期に関係しているとのこと。
僕の場合は、幼少期に親に捨てられて傷ついた経験や、勉強が苦手で学校で恥をかいた経験が関係していて、
「大切な人にはいつか捨てられて傷つく。だから最初から人と親しくしない方がいい。」
「生まれながらに不幸で孤独な自分は普通の人みたいに幸せにはなれない。」
「自分は人よりも劣っていたダメな人間だ。」
などと思い込んできた事が原因でした。
自分で自分の事を「不幸だ!孤独だ!無能だ!」と感じていて、
「他人とは自分を傷つけたり、馬鹿にしたりする怖い存在だ」と思っていたんです。
強さの裏にある深い悲しみと心の傷
少し昔の話しになりますが、
僕は高校を中退し18歳の頃にホストになりました。
幼少期に味わった孤独感や劣等感は、大人になった僕に競争社会で生き抜く為の強さをくれました。
けれど、その強さは偽りで、偽りの強さの裏には、深い悲しみや心の傷がありました。
競争社会で生き抜く為に、偽りの強さが力をくれた事もあったけど、
その偽りの強さを保つ為には、自分の中の深い悲しみや心の傷を守らなければいけませんでした。
当時の自分は
「結果を出せない自分には価値がない」
と思っていたので、劣等感や孤独感は、頑張る原動力ともなっていたんです。
もしも、その悲しみや心の傷が、誰かの愛や優しさに触れて癒やされてしまうと、
「自分はもう頑張れなくなってしまうかもしれない…。」
「自分には価値が無くなってしまうかもしれない。」
そう感じて怖かったんです。
それとは反対に、
「他人と親しくなって、心を許してしまうと、いつか裏切られた時に傷ついて立ち直れなくなるかもしれない......。」
という恐怖もありました。
友達と仲良くなったり、好きな人と付き合って幸せになることよりも、自分が傷ついてしまうかもしれない不安のほうが大きかったんです。
だから、人の優しさが怖くて、わざと他人に冷たくして嫌われるような態度をとってしまったり、
せっかく仲良くなった友人や恋人ができても、
「これ以上深い関係になると、離れる時に辛い思いをして立ち直れなくなるかもしれない。
だから心の傷が浅い今のうちに自分から離れよう。」
そう無意識に考えて、親しい人と自分から離れていってしまう経験を何度も繰り返してました。
本音と向き合ってありのままの自分を認める
30歳になって自分が「回避性パーソナリティ障害」と知るまでは、人と関わらない理由を
「自分と向き合う為」「勉強して成長する為」
などの前向きな理由と思っていて、
「自分は精神的に自立した強い人間だ!」
と思っていたのですが、
実際はただ、傷つくことを恐れて逃げていただけでした。
人は時に自分の弱さを、強さだと勘違いしてしまう時があるみたいです。
本当は人と関わることで、傷ついたり、他人と比べて劣等感を感じる事や、無価値感を感じることで、惨めな思いをしたりするのが怖かっただけだったのです......。
この事に自分で気づいた時はショックでした。
でも心の奥底の本音では
「人との繋がりや温かさを感じたい」
そう感じている自分にも気づきました。
本当は誰かと、笑いあったり、助けあったり、喜びを分かち合ったりしたかったのかもしれません。
だけど残念ながら自分にはまだ、そんな風に生きる勇気はありません。
今は不器用な生き方しか出来ない自分を、ありのまま受け入れて、そんな自分も愛してあげようと思います。
そしていつかは、ありのままの自分で心から繋がれる人達と、笑って過ごせるような自分になれたらなと思います
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