ぼーっとする時間の重要さ

最近,生産性向上ための眠気検知技術と眠気防止システムが提案されています(例:Link).

私たちは「うとうとしている眠い状態は,注意力散漫になるので仕事の生産性が落ちてしまう」と当たり前のように思っていますが,これは本当に正しいのでしょうか?

ある研究結果では,眠くてうとうとしている時に脳の複数の部分が活発になると報告しています[1].
他の研究結果でも, ぼーっとしている時の脳は通常思考よりも20倍のエネルギーを使っていると報告しています[2].これは,「デフォルト・モード・ネットワーク」と呼ばれる安静時における脳活動の一種だと言われています.
その他,難しい問題が解決されるのはぼーっとしている時に多く,集中していないリラックスしている状態が閃きとっては大事なようです[3].

クリエイティブな仕事が多い傾向にある現代人にとって,ぼーっとする時間が実は貴重なのかもしれません.仕事中にぼーっとしている人を無理やり起こすのは逆効果になるかもしれません.私たちの常識が必ずしも正しいとは限らないと痛感しました.

※ただし,運転中の居眠りは重大な事故になる可能性が高いので「ぼーっとする時間=良いこと」と安易な結論を出してはいけません.また,単調な作業を続ける環境でも同じことが言えます.大事なのは,ケース毎に最善な方法を考えることです.

参考文献
[1] Christoff, K., Gordon, A. M., Smallwood, J., Smith, R., & Schooler, J. W. (2009). Experience sampling during fMRI reveals default network and executive system contributions to mind wandering. Proceedings of the National Academy of Sciences, 106(21), 8719-8724.
[2] Raichle, M. E. (2010). The brain’s dark energy. Scientific American, 302(3), 44-49.
[3]Gottschalk, M (2014). One Smart Way To Solve Tough Problems: Don't Bully Your Brain. 

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