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カオス理論

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カオス理論に関連するノートのまとめ
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Arnoldの猫 3

前回のノートは以下。

前のノートで図を使って・・・と書いたが、Arnold and Avezの本を読み返したら、図を使って何かを説明しようとしていたのではなかった。

このノートではもう少しArnoldの猫の具体的な性質に踏み込む。いずれ、Arnoldの猫が一様双曲系(C-力学系とも呼ばれる。また、Arnoldの猫のような場合はAnosov系でもある。)であることを紹介するつもりなので、その準備

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Arnoldの猫 1

科学ファンにとって一番有名な猫はSchrödingerの猫。一番有名な犬はPavlovの犬。

他にも色々いるかもしれないが、力学系ファンにとってはArnoldの猫だろう。

Arnold and Avezの『古典力学のエルゴード問題』で紹介された、次の写像をArnoldの猫と言う。

Arnoldの猫は(厳密なことは置いといて)理想的にカオス的な系であり、広く、そして深く研究されている。

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Arnoldの猫 2

前回「Arnoldの猫 1」の続きです。前回のノートは以下。

Arnoldの猫がなぜ猫という名前がついているのかというと、それは原典であるArnold and Avez『古典力学のエルゴード問題』での説明に使われている図に猫が描いてあるからです。

どんな図かというと、下のようなものです。
最初に黒猫ちゃんのイラストが書かれています。

黒猫ちゃんにArnoldの猫写像を作用させていくと…

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カオスについて 1

2000年代くらいのインターネットが急速に普及し始めた頃から、掲示板(懐かしい)で「カオスwww」とかいって使われるようになった気がする。

カオスっていうと、「あぁ、混沌でしょ」と言われるが、カオスはギリシャ神話の神で、混沌は中国神話の怪物である。なんでカオス=混沌になったのかはわからない。

今の使われ方のカオスはおそらく、無秩序で乱雑な様子のことを指していると思うので、意味合いとしては物理学

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