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横浜散歩写真 現像で遊ぶ

在住の地の写真を撮るのは、結構難しい。
何故なら見慣れている風景であり、日常の一コマだからだ。
旅先だと、在住地では絶対撮らないような風景でさえ魅力的なので、撮影意欲も湧くし、構図へのアイデアも浮かんでくる。
だから随分前から、横浜らしい風景ってものを撮る事をやめていたけど、日常の一コマとして撮ったものが図らずもそんな1枚になってしまうようだ。

象の鼻地区へ行ったら誰でも撮るだろう・・・な被写体は、人がいない静かなタイミングだからこそ、撮りたかった。
すぐそばにあるカフェが休みでしかもウィークデイ。
観光客がいない希有な状況はそうそう訪れない。
自分の感情に左右されて決める被写体だから、そんな時にはモノクロに仕上げる事が多いのだけど、この独特の青こそが大事だったので、敢えてカラーで再現してみた。
この色合いを出すためにはキャノン本来の現像パラメータを変更して、他社のカメラの特徴が出るような調整をしているが、色の遊びを始めるとキリが無いので、自分の好みの設定をプリセットできるようにパラメータを決めていたりする。

モノクロ写真は色が無くなる分、構図や造形に目がいきやすい。
ただ、デジタルカメラになってからは必要以上にコントラストが出たり、フィルムなら再現できる階調が出ない事が多く、単に撮った写真から色を抜いただけの現像だと、こんな風に仕上げるのは難しい。
 
じゃぁ、どうすれば?
と思うのは当たり前だけど、現像ソフトが今ほどの高機能で無い頃は、レイヤーを駆使して(部分的な露光調整など)階調をコントロールしたり、RGBのバランスをチャンネル毎に調整するなど、かなり苦労していた。
 
だが、ソフトの進歩は恐ろしい。
カメラにフィルムトーンを再現するパラメータを乗せてカメラ内現像を施す様な機能を加えたり、現像ソフトのプラグインにフィルムトーンをかけたり階調の調整ができるような機能を与えるなど、銀塩でやってた頃のトーンに近づける事が可能になってきた。
私の場合は、DXOのFilmPack 7を使用してフィルムシミュレーションをして現像し、2次現像でNik Collection 6のSilver Efexを使って階調のコントロールをかけたレイヤーを作って、元のモノクロ画像との合成でこんなトーンを実現させている。

階調の再現性が豊かなフィルムを使う場合は、露光がアンダー気味だったりローキーであってもニュアンスが表現できて良い写真になりやすかったが、デジタルは基本的にコントラストが強いので、ローキーの写真は結構難しい。
自分としては高コントラストな写真やハイキーな写真が好きだけど、こんなコントラストがキツい写真でも、自転車に乗った人の顔が飛びきらずに再現できてるいのが今のカメラの凄いところ。

凄いと言えば、夜の街を撮る時でもかなり撮りやすくなっていて、R5で電子先幕シャッター設定にしたらもう、かなりイージーにスローシャッターが切れるようになった。
 
夜の街並みを撮るのが好きだったから、F2.8以上の明るさがあるレンズを主に使っていて、ボディ内ISが無い機種でもブレない様に撮る事はできていたけど、最近はPhotoLabのノイズリデューサーが凄いのでISO6400まで使う様にもなって、暗いレンズでも普通に撮るようになってきた。
 
ニューラルフィルターとかAIとか各社色々な呼び方をしているけど、画像の合成能力が上がった結果、最新のスマホだと同じ場所で何枚か撮った写真の中で好みの顔を選んで合成できるようになったらしい。そんなスマートフォンのCM見てて「もうこれじゃ、写真は記録って概念から外れたのかな?」って思ったりするけど、どう思います?
 
とは言え、AdobeのPhotoshopが「コンテンツに応じた塗りつぶし」機能を実装した頃から写真の加工の幅がどんどん広くなっていったのは事実。
スマートフォンのカメラ画像でフィルター加工したモノが個性を演出するようになったらもう、写真の記録性ってすでに無いものと考えた方が良いのかも知れない。

横浜市はDX戦略として「スマートフォン1つだけで色々な事ができるようになる」事を目指しているのだとか。
 
スマートフォンのカメラの性能向上にも驚くけど、小型PCとしての能力の高さにも驚かされる今のスマートフォンなら、コインロッカーのスマホによるコントロールなんて朝飯前なのだろう。
 
ただ「通信インフラがダウンした時にどうなるか?」って考えちゃう自分は、常にデジタル環境に馴染めない古い人間、なんでしょうね。

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