『貧しさも芸術の糧となるということ(偉人の伝記を心理学的に応用して学習に活かす方法)』

心理学や脳科学の発展より、学習にとって良い条件はどんなものかが明らかになってきています。

それによると

学習しやすいもの

①:好きなことや楽しいこと

②:自分に関係のあること

③:自分が良く知っていることに関係のあること
(例えば、これから学習する内容の具体例にあたるものを実体験としていくつか知っており、習ったときに『あぁ、あのことね…』と思えるもの

④:感情を揺さぶられること

学習しやすい環境・コンデション

①:精神的なストレスはない方が良い

②:軽い空腹や、やや寒い温度などは脳が「生命の危険」と判断して覚醒するので良い


上記をふまえた記憶に残りやすい学習の仕方

①:学習対象のいくつかの具体的な例やエピソード等を、五感や身体感覚をフルに使って何度も味わい、感動する(感情を揺さぶる)。これを現実世界で出来ない場合は、空想の中で行う。

②:①を行う中で、学習対象を、自分や、自分の良く知っているものや出来事、体験等と関連付ける(特に自分の身体や自分がよく知っている場所と関連付けると覚えやすい)。

③:主体的に学習対象へいろいろ働きかける(例;仮説を立てて、それを実験で検証する等々)。
 さらに、働きかけに対する反応を五感や身体感覚を使って感じ取り、感じ取ったものに対する返答として、またさらに働きかける…
(例;実験結果を踏まえて新しい仮説を立て、それを検証する実験をする等々)

…というように学習対象と繰り返し相互作用(試行錯誤)する
(③も①と同様に現実世界で出来ない場合は、空想の中で行う)


偉人の伝記にみられる学習にとって良い条件と、その応用の仕方

上記の条件は、一般的な学習に関しての研究で明らかになったものですが、クラシックの音楽家の伝記によく出てくる場面に当てはまりそうですよね。

例えば、

若き音楽家が、自分の人生で味わったことを、大好きな楽器や音楽で表現するために夢中になって練習や試行錯誤を繰り返している。いつの日か成功することを夢見て、ぼろい家の隙間風の寒さや空腹に襲われながらも、楽しく頑張っているのだ…

というような場面は音楽家の伝記によく出てくる気がしますが、上記の『学習にとってよい条件』全てに当てはまりますので、これを真似すると音楽の成績が向上すると思われます。

例えば、「少しお腹を空かせた状態で、練習室を少し寒くして、自分の人生で感動したことを音楽的に表現するために練習や試行錯誤を繰り返す…」といった感じです。

音楽大学の授業では、こんなふうに音楽家の伝記を例にあげると、心理学の理解も進みますし学生さん達にも好評ですので、私の授業に取り入れたりしています。


追記:音楽以外の科目に、上記の心理学を応用する場合は、科学者の伝記や、文学者、あるいは政治家の伝記を読めば、ヒントが得られると思います。

例えば理系科目なら

若き科学者が、自分が感動した自然現象を、美しい数式で表現しようと夢中になって実験や理論構築の試行錯誤を繰り返している。いつの日か成功するのを夢見て、ぼろい家の隙間風の寒さや空腹に襲われながらも、楽しく頑張っているのだ…

という場面は科学者の伝記によくありそうですが、それを真似するならば、「少しお腹を空かせた状態で、勉強部屋や実験用の部屋を少し寒くして、科学的実験を繰り返し行ったり、実験結果から法則を表す数式を導く過程を、自分で試行錯誤しながらやってみて、発見の感動を味わう」といった具合になると思います。

国語や社会なら、

(伝記の部分は省略します)

「すこしお腹を空かせた状態で、勉強部屋を少し寒くして、自分のこれまでの人生で、心を動かされたことやショック受けた社会的問題等を、表現したり解決したりする方法を求めて、習ったことや自分で調べたことを参考に、いろいろ考えたり試行錯誤してみたりする。また、同じ興味関心や問題意識を持つ仲間と、そのことについて話し合ってみる。」

といったふうになると思います。

普段の勉強に応用するなら、「教科書や参考書を、自分を主人公とした空想や感情移入等をいろいろしながら繰り返し読む。」「問題集を、例題を参考にしたりして、いろいろ試行錯誤しながら繰り返し解く。」となると思います。

※ここに挙げたのは例ですので、他の方法もいろいろ考えて試してみてください。


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