「音楽の持つ物語的構造と、物語の持つ音楽的構造」

   ハインリッヒ・シェンカーという音楽学者が音楽には物語的構造があると主張してます。


 例えば、I→V→Iという和音進行、ハ長調ならC(ドミソ)→G(レソシ)→C(ミソド)を聞くと、私たちは何となく、
「最初の状態」→「変化が起こる途中経過」→「最初と少し違う状態」
という物語を感じます。


これはT・トドロフという言語学者が述べた物語の最小構造(どんな物語であっても必ず持っている構造)と一致します。 


 例えば、ドラえもんは
「のび太君」→「ドラえもんと冒険」→「成長したのび太君」
という構造をしていますね。


 さて、心理学の研究では最近「物語」という考え方が取り入れられつつあります。これは、これまで主流だった、心を数値で表そうとする実験心理学では捉えられなかった心の側面を「物語」で研究しようとするものです(心の全てを数値化することはできませんからね)

 また心理学の療法の世界でも「物語」の考え方は重視されつつあります。(現実が上手くいかないのはその人が現実を捉えるときに使う枠組みとしての「物語」に原因があるとして、その「物語」に介入しようとするアプローチです)


 音楽の持つ物語的構造と物語の持つ音楽的構造が、我々の心の健康に与える影響がそのうち明らかになるかもしれません。


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