プロコーチ直伝 部下が勝手にモチベーションを高める傾聴の秘訣
皆さん、こんにちは。エグゼクティブ・コーチの林健太郎です。
この記事は、私が制作した動画講座:DELICオンラインから、チャプター4でお伝えしている「傾聴」に関してお伝えするシリーズ第3話になります。
(第1話はこちらから&第2話はこちらから)
コーチング・スキルの中でも核になるスキルですので、ぜひお読みいただき、活用してみてください。
「聞いてくれている」と相手に感じさせる3つのフレーズ
第2話では『聞いてくれてる状態』ということについてお話してきました。
どんな状態の聞き手は話を聞いてくれていると感じ、どんな状態で聞くと「聞いてくれていない」と感じるのかということを論点として話を進めてきました。
今回の第3話では『聞いてくれてる状態』の聞き手の特徴についてお話していきます。
まずはDELICオンライン↓で事例を1つ見てみてください。(動画の13分15秒あたりから)
こちらの動画では、私が実際に『聞いてくれてる状態』をデモンストレーションでお見せしています。
皆さんが話し手として、私に話しかけているという想定で私が熱演(笑)していますが、私の姿、皆さんにはどう写ったでしょうか。
「すごく大げさだなぁ」と感じた方もいらっしゃったかもしれません。
「いやいやそうでもないよね、すごくよく聞いてくれているように感じた」と感じた方もいるかもしれません。
感じ方は読者の皆さま様々だと思うのですが、第2話に引き続き、ここでも考えてみたいのは「非言語情報」なんです。
要するに「どんな態度で私が話を聞いていたのか」ということが、話し手に大きな影響を与えるというお話です。
こちらの私の映像の中では、3つのフレーズを使っていました。
・そうなんですね
・もう少し詳しく教えてください
・他にもありますか
相手の話をしっかり傾聴する際には、聞き手(コーチ)はあまり言葉を紡がない方が良いと考えています。特に「自分の意見を言う」ことは控えた方が良いと私は考えています。
万が一、聞き手が言葉によって介在する必要がある場合にも、こういった極めて短く、邪魔にならない(相手の思考を邪魔しない)フレーズを使うことをお勧めしています。
こういった、いわゆる「合いの手」になるフレーズを時折挟むことで、相手が『より話しやすくなる』&『話をより深めやすくなる』という効果を生み出します。
まとめると、傾聴をしっかり実践するにあたっては、
1)自分の意見などの付加情報はなるべく挟まない
2)相手の思考を邪魔しない短い3つのフレーズは能動的に使う
という2つのことが大切だということになります。
これを少し応用して考えると、上司が部下の話をどのような状態で聞くかによって、信頼度も変われば、部下から得られる情報も大きく変化するということになります。
職場でリーダーが傾聴しないリスクとは
そんなことを考えながら、また動画の中の1シーンを解説していきます。
こちらの事例は、実際に職場環境でリーダーが傾聴のスキルを使うことのメリットを考えていただくためのものです。
①傾聴を使った場合と、②使わなかった場合の2つの事例をご覧いただくことで、その違いをご理解いただこうという趣向です。
まずは傾聴を使わなかった場合どうなるかということについて一緒に見てみましょう。(動画↓の16分10秒あたりからのシーンです)
部下:部長ちょっといいですか。あの実は、販売プロジェクトについての相談なんですけど。
部長:うん、どうした。
部下:今回プロジェクトのリーダーを任せていただいているのですが、どうも上手くチームを回すことができなくて。
部長:どういうことだ。
部下:今回のチームは僕より年上の人が多くて、もっとリーダーに適任の人がいるんじゃないかななんて思って、ちょっと気後れしていまして。。。
部長:気後れって。。。一旦引き受けたんだろ?
部下:あの時は、皆から推薦を受けたので、これは頑張らなきゃなと思ってやることに決めたんですけれど、でも実際みんなから協力を得られないことが多くて。自信がなくなってしまいました。なかなか思うように進まないんです。
部長:それで? なんなんだよ?? どうしたいんだ? リーダー降りたいということか?
部下:そういうことじゃないんですけれど。。。今降りるってことは無責任だってことはわかってるんですけど。
部長:じゃあ何なんだよ。結局リーダーを降りたいということなんだろ?
部下:まあ。そこまではっきり言われちゃうと、降りるっていい辛いじゃないですか。
部長:今になってそんな事言われても困るんだよ。どうするつもりなんだよ。
と、まずはパターン1を見ていただいたのですが、皆さんはどんなことを感じたでしょうか。
実際に、部下がどんなことを感じたのかをインタビューしてみました。
部下:今回の相談は部長にとってすごく無責任な相談だと思っていたので、非常に気を使っていたんです。でも実際相談をして部長の気分を害してしまいました。
林:もう少し詳しく聞かせてください。
部下:本当は部長からリーダーの心構えなど、ヒントを聞きたかったんですが、リーダーを本当は辞めたいんだろうっていうことを言われてしまって。
林:そうなんですね。
部下:その後、どのように相談していいのかわからなくなってしまいました。結局、自分はリーダーをやめるべきなのか、それとも続けるべきなのか、どのようにしたらいいのかていうのは本当に困ってしまって、今どうしていいのか、すごく困ってます。
職場でリーダーが傾聴するメリットとは
それでは、今度は同じ状況で、リーダーが傾聴をしながら関わったらどうなるのかを再現した動画を見てみましょう。
部下:部長ちょっといいですか。あの実は、販売プロジェクトについての相談なんですけど。
部長:先週から始まってたやつだね。
部下:はい、今回プロジェクトのリーダーを任せていただいているのですが、どうも上手くチームを回すことができなくて。
部長:プロジェクトチームをまとめることができていないのか。それで、もう少し詳しく教えてくれ。
部下:はい、今回のチームは僕より年上の人が多くて、もっとリーダーに適任の人がいるんじゃないかななんて思って、ちょっと気後れしていまして。。。
部長:気後れしちゃうのか。それは、大変だね。最初と何か心境が違ってきたりしているとか、なにか事情があるのか。
部下:はい、最初の時はみんなからの推薦を受けて、僕やってみようかなって気になったんですけど、実際のやりとりを始めてみたときに、なかなか協力を得られなかったりして、それでなんか自信がなくなってきてしまったんですね。
部長:そうか、なかなか協力を得られなくて、自信がなくなってきたのか。状況は分かる。一緒に考えてみようか。
部下:はい、でも今さら、自身がないからリーダーを辞めたいという話をするのもどうかなぁと思ってるので、どうしたらいいかを相談したかったんです。
部長:そうか、君は本当はどうしたいと思っている?
部下:はい、本当はリーダーを続けたいと思っています。
部長:そうか、わかった、君の気持ちはよくわかるから一緒に考えよう。
部下:はい、お願いします!
こちらの会話を通じて部下はどんなことを感じたのでしょうか。改めてインタビューしてみましょう。
部下:今回の相談なんですが、私としても無責任な相談だとは思っていたんですが、でも部長は手を止めて話を聞いてくれました。
ずーっと終始笑顔で、そして僕の話を親身になって聞いてくれてすごくうれしかったです。
林:そうだったんですね。
部下:本当はリーダーをやめるという選択肢もあったんですが、リーダーを続けていくためにはどうしたらいいかということを親身になって聞いてくれて、そして一緒になって考えてくれるって言ってくれました。
林:それは良かったですね。
部下:はい。本当に相談して良かったです。
この2つの事例から、聴くという行為が、情報を取るということに加えて、信頼を取り付けることに繋がる、ということをご理解いただけたのではないかなと思います。
これまで3回に渡ってお伝えしてきた「傾聴」のお話は、これにて完結です。
ぜひ、動画の内容を振り返っていただき、傾聴のできるリーダーになってください。
次回は、傾聴と非常に相性の良いコーチングスキル:承認について解説していきます。
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