見出し画像

疼痛に対する理学療法

慢性痛への治療法

リハビリテーション

熱圧刺激に対する痛み
→内因性カンナビノイドとオピオイドの関与
 下行性疼痛抑制系の活性化
*下行性疼痛抑制:中脳水道灰白質が興奮性入力を受けると痛み信号を脊髄後角レベルで抑制・遮断する

骨格筋は分泌器官

BDNF、IGF–1、FGF–2:海馬の新生ニューロンを生育
IGF–1、FGF–2:骨芽細胞、破骨細胞の分化・機能促進
IL–6:膵からのインスリン分泌を増加、肝・脂肪組織、免疫機能
IL–4、IL–6、IL–7、IL–−5、LIF、ミオスタチン:筋組織自体に作用

筋由来のサイトカインをマイオカインと呼ぶ
脂肪組織由来のサイトカインをアディポカインと呼ぶ

PGC–1α

軽い運動の継続はPGC–1αを発現させ慢性炎症を防止
⇄アディポカインは慢性炎症を促進する

PGC–1αは骨格筋活動で速やかに筋組織中に発現

ATPとエネルギー不足を補う

筋萎縮を招く遺伝子の転写が抑制される
*遺伝子の転写(転写調整因子 PPAR–γ)
→遺伝子の塩基配列を変えることなく、特定の遺伝子を発現、不活性化し後生的に修飾制御する因子

PGC1–αは筋活動が始まると筋組織中に発現

炎症性サイトカインの生成を抑制する
→筋活動の少ない健常者ではPGC1–αが発現しない。そのため慢性炎症を基盤とする疾患が増加する。
またPGC1–αは活性酸素種(ROS)を強力に抑制するメインスイッチの役割もある。
→ミトコンドリアの数と機能を増加し、有酸素代謝や血管新生を盛んにする。
ミトコンドリア内でATPを生成する際、漏出した電子の一部が酸素と結合し、非常に反応性の高いROSを生じる。ROSは毒性が高くミトコンドリアDNA、酵素、タンパク質、細胞膜、脂質を傷つける。
特に骨格筋hミトコンドリアを多く含み、ROSの影響を受けやすい。

ROSに対する生体の進化

ROSを無毒化する活性酸素消去酵素(SOD)
ROSの発生を減じる酵素(VCP)
これらはPGC1–αが発現しないと機能しない

薬物療法

①NSAIDs

炎症性サイトカインからシクロオキシゲナーゼ(COX)を発現。その後プロスタノイド生合成(プロスタグランジン類、トロンボキサシン類→炎症、発痛物質の増強
COXをNSAIDsで阻害する
→プロスタグランジン産生の抑制
COX2:局所での炎症性さいとかいんの刺激でPG類を産生
COX1:胃粘膜、腎、血小板などの細胞で常時はつげん。胃粘膜保護、腎血流の維持、血管拡張作用

②アセトアミノフェン

視床下部の体温調節中枢に作用し、熱放散による解熱作用を発揮する

③麻薬性鎮痛薬、合成麻薬、オピオイド

オピオイドの受容体にはμ受容体、k受容体、δ受容体がありいずれかに結合し鎮痛する
中脳水道周囲灰白質から
①延髄大縫線核→脊髄後角に至るセロトニン(5ーHT)作動性神経系
②延髄傍巨大細胞網様核を経由し、脊髄後角に至るノルアドレナリン作動性神経系

④抗てんかん薬

神経痛の除痛目的
末梢神経損傷→神経に活動電位の高頻度発射が生じる→脊髄後角→上位脳
*脊髄後角で遮断、抑制

⑤抗うつ薬

非器質性の慢性痛、神経障害性の慢性痛の軽減を目的
→快情動を活性化し下行性疼痛抑制系を活性化する作用
*運動療法、認知行動療法との併用

下行性疼痛抑制系

中脳水道周囲灰白質(PAG)

・背外側橋中脳被蓋(DLPT)
 青斑核(LC)→ノルアドレナリン作動性ニューロン(NA):睡眠、食欲、注意
・吻側延髄腹内側部(RVM)
 大縫線核(NRM)→セロトニン作動性ニューロン(5ーHT):脳全体に作用し、情動、睡眠、摂食、性情動に関与
DLPTからはノルアドレナリン
RVMからはセロトニン
脊髄後角(DH)へ入力

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?