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【ライブレポ】ツアー初日「BUMP OF CHICKEN TOUR 2024 Sphery Rendezvous」は汗だくの夜

ツアー初日。
彼らが最初に音を鳴らすその場所で、自分がその時間と空間を共有できるのはこの上なく幸せな出来事だ。体を揺らし、拳を振り上げ、ともに歌い、汗と涙にまみれる。すべての感情を解放することが許される唯一の非日常。
時は止まり、一瞬は永遠になる。

2024年9月7日。新アルバム「Iris」を引っ提げて、「BUMP OF CHICKEN TOUR 2024 Sphery Rendezvous」はベルーナドームで開幕した。

なお、「Iris」について書いた記事はこちら。併せてどうぞ。


セトリ

2024/9/7「BUMP OF CHICKEN TOUR 2024 Sphery Rendezvous」埼玉公演(ベルーナドーム)

本編
0. オープニング「窓の中から」コーラス
1. Sleep Walking Orchestra
2. Aurora
3. なないろ
4. 車輪の唄
5. 記念撮影
6. 青の朔日
7. Strawberry
8. 飴玉の唄
9. 星の鳥/メーデー
10. レム
11. SOUVENIR
12. アカシア
13. クロノスタシス
14. 木漏れ日と一緒に
15. 天体観測
16. 窓の中から

アンコール
1. カルマ
2. 虹を待つ人

by BUMP OF CHICKEN

アルバムツアーでありながら、アルバム収録曲以外の曲も多く選ばれ、意外性のあるセトリ。アルバムにある「Gravity」「Small world」「Flare」「邂逅」の4曲は演奏されなかった。2日目との入れ替え曲なのかな。
自分の脳内で「今回やってくれたらうれしいけど、たぶん聴けない曲リスト」が作成されていて、グッズ購入後の待機時間に同行メンバーでその共有をしていたところ、リストで相当上位にある曲がこの日いくつも演奏された。うれしい驚きとともに、バンドが奏でる楽曲のよさと藤くんの唄声に、感情がひたすら刺激された。
すべての楽曲と感想は書ききれないものの、その一部を記しておきたい。

ライブ本編

オープニング「窓の中から」

オープニングは、「窓の中から」の間奏部分「らーらーらー、らーらーらー」のコーラスから。思い出すだけでもう鳥肌が立っちゃうな。
冒頭からクライマックスの盛り上がりで会場が揺れる。

「Sleep Walking Orchestra」

1曲目は「Sleep Walking Orchestra」。いよいよ始まった本編!
ここに集えた喜びを確かめるように身体を揺らす。
この時点で藤くんを含むメンバーは全員かなり汗をかいている。ただ、ドラムの秀ちゃんだけは涼しい顔で演奏していて、ビジョンに映された顔が藤くんから秀ちゃんに切り替わると「あれ、秀ちゃんだけ別の世界線にいる?」というくらいの対比。

「Aurora」

おお、まさかこの曲をやってくれるとは…!マイベストソング「Aurora」。
今回はアルバムツアーだから、聴けるとは全く想像していなかった。
いつ何度聴いても、心の一番深いところに刺さってしまい、気が付くと感情のコップから透明な液体があふれ出てくる。
何度もこの経験を繰り返したせいか、「Aurora」が流れた途端に号泣という回路が形成されてしまった感覚すらある。もうどうにでもしてくれという気持ちで、なすすべなくその状態に身を委ねる。もう一度、もう一度…!

「車輪の唄」&「記念撮影」

わー!先の「たぶん聴けない曲リスト」にあった2曲が立て続けに!
「車輪の唄」は2004年のアルバム「ユグドラシル」の収録曲。
ライブで聴けたのは2019年の「aurora ark」ファイナル以来5年ぶり。名曲だけれど全くの予想外。だって新アルバムのツアーだから…。
「車輪の唄」の背景映像が都会のビル群だったのが意外。今までこの曲を聴くときに抱いていたのは、都会に旅立つ友人を見送る僕、というイメージだったので。

続いて「記念撮影」。やってくれたらうれしいけど、そんなわけにはいかないよね、だってアルバムツアーだからさ…。
演奏が始まった瞬間、「おお…記念撮影…!」と、ツレと顔を見合わせてハイタッチ。あれ、もしかしてこれ「aurora ark」ツアーなのかも…?(んなわけはない)
曲中、「固まって待ったシャッター レンズの前で並んで」のところだったかな、藤くんが両手の親指と人差し指で写真を思わせる四角を作ったのが印象的。こういう仕種もオシャレだ。
この曲の持つ郷愁感は一体どこから来るんだろう。

君は知っていた 僕も気付いていた
終わる魔法の中にいたこと

「記念撮影」 by BUMP OF CHICKEN

「青の朔日」~MC

ライブ初演となる「青の朔日」。
CD発売日が9月4日でライブが7日。その数日間で可能な限り聴きこんだつもりではあるものの、ライブの迫力はやっぱりその上を行く。込められた強い想いを正しく受け止められているだろうか。そんなことを漠然と思いながら演奏をひたすら浴びる。

そして藤くんのMC。

「Iris聴いてくれたかな。ありがとうね。
不具合があったみたいでごめんね。
買ってくれてありがとう。たくさん聴いてね。
どれもが君がいたからできた曲です。
本当にどうもありがとう。
みんな、俺めちゃ汗かいてて体調悪そうだなって思ってるでしょ。代謝がいいからたくさん汗かいちゃうんだ。体調悪そうなのはデフォです。幼い頃からずっと体調悪そうな顔色でやってきてるから大丈夫。」

by 藤原基央

気遣いと自虐の通常運転。

「飴玉の唄」

これは完全に油断していた。ライブで聴くのは初めて。
悲壮感と切実さの中で歌われる「飴玉の唄」。

僕は君を 信じたけど 君が消えたらどうしよう
考えると止まらないよ 何も解らなくなる
いつか君と 離れるなら いっそ忘れる事にしよう
出来るのかな 無理だろうな 離れたくないな
僕は 君と僕の事を ずっと思い出す事はない
だって忘れられないなら 思い出に出来ないから
ねえ 怖いよ 止まらないよ 上手に話せやしないよ
君は僕を 信じてるの 離れたくないな

「飴玉の唄」 by BUMP OF CHICKEN

繰り返しのフレーズで感情を強く込めながら頂点に向けて叫ぶように盛り上がっていく流れ。歌詞を読むだけで涙が出るような曲で、こんなのが目の前で歌われたら、それはもう、たまらないよ。
照明が終始ステージを赤で染めていて、感情の強さと鋭さが増幅される。

「星の鳥~メーデー」

メンバーがメインステージからサブステージに移動中、BGMに流れていたのは「星の鳥」。それって、まさかと思うけど…。
そしてサブステージで始まったのは、やはりというべきか、まさかというべきか、頭の中にあったその曲、「メーデー」!
やるんだ!これも「たぶん聴けない曲」リストに入っていた。前回ツアー「ホームシック衛星 2024」でやったばかりだったから。
バンプにはどうしようもない切迫感を持つ曲が多くて、先の「飴玉の唄」とともに、「メーデー」はまさにその代表的な曲のひとつ。ライブで聴くメーデーは、身体の芯に届くようなしんどさと信頼し合う友人同士の絆の深さの象徴。名演。

「SOUVENIR」

サブステージで観客を煽りながら演奏される「SOUVENIR」。
バンドとリスナーの繋がりを感じられる楽曲のひとつ。ハッピーな気持ちで手拍子。

「アカシア」

メンバーがメインステージに戻るところ、その繋ぎが「アカシア」の前奏リピート。えっ、アカシアってここなの?ラストじゃないの?でもカッコいいからよし!という、戸惑いからの納得。
あとはもう一気に歓喜に向かう。バンドとリスナーの絆を確かめ合うような曲で、途中のシンガロングも気持ちが入る。
背景にはひたすらまっすぐの道が映し出されていて、アカシアの世界観とシンクロする。素敵だ。

曲後の藤くん。
「アカシア好き?ありがとよ!そりゃそうだろう。君に聴いてもらうために作ったんだぜ。それくらい言ってもらわねえとよ!」
本当に最高だよアカシア。作った藤くんも最高だよ。

「天体観測」

今回の座席はアリーナB13ブロックで、サブステージに向かう花道のすぐ上手側エリア。これはもしかしてと思っていたら、サビで放たれる銀テープ。長い滞空時間をかけてキラキラと宙を舞った銀テを初ゲット。
複数キャッチできた近くの人たちが、周りを見て持っていない人に手渡ししていた。バンプリスナーはこういう助け合いと協調性もあって素晴らしいよね。

「窓の中から」

「それでは最後の曲、窓の中から」
えっ、もう最後なの?
いくら聴いても飽き足らず、時間の経過を恨めしいとすら思ってしまうが、「窓の中から」はこの2時間僕らが深く繋がることのできた象徴ともいえる曲。これを全員で歌い合うことができたのは最高オブ最高としか言いようがない。

アンコール

カルマ

4人がステージに戻ってきて、それぞれの楽器を構えて円陣を組む。
藤くんが「いってみっか!」と声を掛けて始まったのが「カルマ」。
ところが、曲の冒頭で明らかに演奏が乱れる。カウントの取り方を誰かが間違えてしまったような聞こえ方。もしかしたら止まっちゃうかも、ガンバレ!と思っていたら、リードギターが牽引してひとつに収束していった。

虹を待つ人

キタコレ!待ってた!虹!待ってた!
「Iris」には「虹彩」の意味があるから、その関連で入れてくれたのかな。シンガロングは全力参加。最高。
この曲は毎回やってほしいよ。大好き。

最後の言葉

アンコールを終えた後の藤くんの言葉。

「5年間の全部を詰め込んだアルバム「Iris」が完成しました。
買ってくれて、聴いてくれて、受け止めてくれてありがとう。
君がいない世界には「Iris」は存在しなかった。
「Iris」に収録されているすべての曲は、君がいない世界には生まれてくることができなかった。
君がいる世界がここに存在してよかった。
君がいてくれる世界だったから、「Iris」は生まれてくることができました。本当にどうもありがとう。

何の芸もない使い古された言葉だけど、ツアーが始まって最初の公演をすると、一番最初に聴いてくれた君にどうしても言いたくなる言葉があります。受け止めてくれるかい?
お見送りありがとう。行ってきます。」

by 藤原基央

藤くんはいつも感謝をまっすぐに伝えてくれる。
いつも思うけど感謝するのはこっちなんだぜ…。
素敵な曲たちを生み出してくれて僕らに届けてくれたBUMP OF CHICKENには感謝しかない。汗だくでこの非日常の空間を一緒に過ごせたことはずっと忘れたくないよ。大切な記憶を残すために、僕はここに記録している。
それでも感情のすべては記しきれない。

演奏&演出の全体的な感想

演出が総じて素晴らしかった。背景の映像もそうだし、最初ステージ上で発光していたセットが釣り上げられていったり、もともと上部に固定されているように見えた円形のドッキングステーション風の構造物の動きが気持ちを盛り上げてくれた。
演奏は熱く、藤くんの唄声は今日も伸びやかに響いた。
ただ、本編・アンコールともに演奏で「あれ?」という箇所がいくつかあった。特に、ベースの音程がハマっていない箇所が複数あって気持ち悪く感じられた。会場が暑すぎた影響で、弦が伸びるなどして音が変わってしまったのかもしれない。
また、メインステージからサブステージに移動する際、音源からリアルの演奏に切り替わるタイミングがあったが、その移行で(音程なのか音量なのかはっきりと分からないが)不自然な箇所が見受けられた。過去のライブではそういった不自然さを感じたことがなかったので、念のため記しておきたい。
とはいえ、ライブとしての満足度は高く、素晴らしく濃密な時間だった。

さいごに

ベルーナドームは空調がないので観客席も相当暑かったが、バンドのメンバーはスポットライトも浴びるので、より暑かったことは間違いない。リハーサルも含めてこの環境に少なくとも3日連続で晒されているのが心配。
どうか体調を崩すことなく、今後のツアーを最後まで走り抜けてほしい。

ベルーナで同じ時間を共有した皆さま、ありがとうございました。
これからツアーに参戦される皆さま、楽しんで下さい!


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