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学生芸人出身 全盛時代突入か!?

学生芸人出身が増えたといわれています。
クイズ番組で京大卒のロザン宇治原や同志社大卒のカズレーザーが活躍するのを見ると、そうなのかとうなずけなくもないですが、本当にそうなのか調べてみました。

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上表は、10年以上の歴史のある大会のファイナリストコンビ、トリオ、ピン芸人を2010年と2020年で比較したものになります。
●はコンビ、トリオの全員が大学卒あるいは大学中退、▲はコンビ、トリオの一部が大学卒あるいは大学中退(以下、学生芸人と総称する)であることを示しています。

これで見ると、2020年のM-1グランプリファイナリスト全組が見事に少なくともコンビのどちらかが大学まで行っています。2010年は約半分でしたので、高学歴の傾向が顕著に出ていると思います。
キングオブコントでも、2010年の50%から、2020年は80%に、R-1ぐらんぷりでは、11%から25%に増加しています。

単純に2か年をピックアップしただけなので、全体傾向を探るには至ってませんが、M-1グランプリでいうと、2018年霜降り明星、2019年ミルクボーイ、2020年マヂカルラブリーと3年連続学生芸人がチャンピオンになってますし、キングオブコントに至っては、2013年以降8年連続学生芸人がチャンピオンに輝いています。

このように学生芸人が増えており、しかも、賞レースを席巻しているのがわかりますが、
では、なぜ、こうも学生芸人が増えたのか考えてみました。

ひとつは大学のお笑いサークルの活動が活発化したというのがあると思います。
ひょこりはん、ハナコ 岡部、にゃんこスター アンゴラ村長らを輩出した早稲田大学のお笑い工房LUDO、令和ロマンが出身の慶応大学のお笑い道場O-keis、ラランドを輩出した上智大学のSCS、さらば青春の光の東ブクロやメイプル超合金のカズレーザーを輩出した同志社大学の喜劇研究会、お笑いサークルではないが、大阪芸術大学の落語研究会はミルクボーイ、ななまがり、空気階段の鈴木もぐらを輩出している。また、芸人ではないが、YouTuberの水溜りボンドも青山大学のナショグル出身です。

一昔前とは様相が異なり、大学のお笑いサークルから知名度のある芸人が出てきたことから、今ではメンバー100名を超えるサークルも珍しくありません。
また、サークル内でのお笑い活動だけでなく、個人戦の国民的大学生芸人グランプリや団体戦のNOROSHIなど全国大会が毎年開催されており、観客に自分たちの笑いを笑いを披露し、競い合うイベントもあります。
こういった場は、いきなりプロになるのではなく、自分の可能性を試す場として、また自分の腕を磨く場といったセミプロ的な役割を果たしているのではないかと思います。

もうひとつは、NSCをはじめとするお笑い学校の存在があると思います。
1982年に開校されたNSCに続き、人力舎のスクールJCA、ワタナベエンターテイメントのワタナベコメディスクールなどお笑い部門を抱えている芸能事務所はお笑い学校を運営しており、毎年多くの人がお笑いの道へ進んでいます。
昔は師匠に弟子入りするか事務所のオーディションに合格するかの2択しかなく、芸人への道は狭き門だった。
そこで、弟子入りせずとも学校を出れば芸人になれる道ができたのは大きな転換点だったのではないでしょうか。
NSCの1期生はダウンタウンです。ダウンタウンの成功はお笑い学校の価値を高めるには十分で、お笑い学校に入る若者は増加し、やがてNSCだと芸人が多すぎて目立たないと、他の芸能事務所のお笑い学校へ入るものも増加しました。
そうやって確立された芸人への道は、決断のタイミングに猶予を与えたのではないかと思います。先述したように芸人になるには弟子入りしてとなると、少なくとも高校を出てということになりますが、お笑い学校ルートであると、大学にまず行って、卒業してからでもお笑いの道を目指すことは可能ですし、中退してでも可能になります。また、今の30歳後半から40歳後半の芸人にとっては就職氷河期というのもあったのかも知れません。いずれにせよ、学生にも門戸が開かれたという価値がお笑い学校にはあるのではないでしょうか。

まとめ

学生芸人が増加した背景を見てきましたが、お笑いの世界にもダイバーシティの波が来るのではないか。大学はお笑い好きのための予備校的な存在になり、また、ワタナベコメディスクールは仕事と学校を両立しながらお笑いを学ぶことを打ち出して、厚切りジェイソン(芸人兼IT会社役員)を例にしています。まさにお笑い芸人への道は多様化していき、お笑い芸人もダイバーシティ化していくのではないか。そんな中で、さらにレベルとレンジの広い笑いに出会えることを期待したいです。



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