「こだわり」という言葉では片付けることのできない「こだわり」
毎月というか、毎週毎週、取材で生産者さんのところに伺う。
誌面にするまで、何度も通わせていただき、教えていただき、話を聞く。
僕は今、禁酒中なのと車移動なので、お酒が飲めないのが残念なぐらい本当に面白い話を沢山聞くことができる。
その、「面白い話」を、読者さんにどう伝えるかに悩みながら、僕の拙い言葉で伝えている。
毎月のちば食べる通信の宣伝の中で、よく「こだわりの生産者が」みたいな言葉をよく使う。よく使うが、実は悩んでいるところもあって、そんなこだわりという4文字で表せない、こだわりを皆さん持っている。
5月号は、旭市の奈良さんのきゅうり。きゅうりのおいしさはもちろんのこと、ハウスの中で育つきゅうりのきれいさ、それも無理にきれいにしたわけではない、自然の美しさに惹かれる。
そのこだわりについては、誌面で詳しく紹介するが、本当に凄いのと、ちょっと想像するだけで、農業を直接やっていない自分でも、その大変さがわかる。その結果として、おいしいきゅうりが育っている。これは、これまで取材した、また今現在取材している生産者さん全員に共通していることだ。
こだわるというのは何も生産者に限らず、どの職業でもそうなんだと思う。
こだわった人が関わって出来上がったものはやっぱり魅力がある。
音楽だったり、スポーツだったり、レストランだったり、雑誌であったり、なんでもそう。
その結果が評価されて売れたり、繁盛店になったりする。
結果を出すためには、当然ラッキーだけではなく、そこに向かうプロセスにやっぱりポイントがある。ちょっとやってすぐに結果が出れば楽だが、そんなことは、なかなか無い。僕自身もこの半年間で、もっと部数が伸ばせると思いながら、予想通りにはいっていない。つまりまだまだ努力が必要だということと、努力する方向を考えないといけないということだ。
体験という価値をプラスしたのもそうかもしれない。
誌面の作りも実は決まってない、毎月こうしたらいいんじゃないかと考えながら実はやっている。
生産者のこだわりを知ると、何がいいんだろうと改めて考えると、
こだわる生産者の食べ物はおいしいものが多いのだ。
おいしいものを知るというのは、実はとても大事だと思っている。
贅沢をしようという話ではない、けど、心は贅沢になる。
あとはおいしいものはきちんと評価をされるべきだとも思っている。
一次産業の課題は沢山あるが、こだわって育てたおいしいものの価値をしっかりと評価されるようになるといいと思っている。そのためには、食べる側が知ることも大事だし、生産者も変わらないといけない。
そこに気づき始めている生産者は増えているのは事実だが、まだ少ないのも事実。それは、今までやってきたやり方で十分に収入があるのに変える必要はないかもしれないし、新しいことをやることは面倒くさい部分もある。もしかすると単純に知らないということもある。いろんな理由があると思っているが、まずは「知る」ことがなければ何も始まらない。
僕は、例えば無農薬が絶対いいとか、そういう話はしないし、そう思っていない。片方だけでなく、いろいろな情報を知った上で、自分がどう判断するかが大事だと思っている。だから、僕らが作成する誌面が、何も全てが正しいというわけではなく、違ったこだわりを持ってやっている生産者がいるのも全く問題がない。唯一、外したいくないのが、「おいしいもの」を知るということだけ。おいしいものを食べるということは、実はとっても幸せで贅沢なこと。そのきっかけを、千葉にこんなにおいしいものがあるんだよということを、千葉の人はもちろん、多くの人に知ってもらえたら嬉しい。
そして、知って食べて、つながってみると、そこからまた何かが生まれてくるはず。その地道なことを続けていくことで、もしかすると一次産業の課題を解決する一つの力になるかもしれないと思っている。
まずは、ぜひ「こだわり」を知ってほしいし、自分自身もっと「こだわり」を持って、ちば食べる通信をもっともっといいものにしていきたい。
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