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そもそも総合型地域スポーツクラブって何なのよ

 総合型地域スポーツクラブ研究所、所長の上杉健太(@kenta_u2)です。総合型地域スポーツクラブのマネジメントやアドバイザー、講演・執筆活動、エンジョイスポーツコーチなどをしています。早稲田大学スポーツ科学部で総合型地域スポーツクラブについて学び、さらに在学中から地域フットサルクラブの立ち上げ・運営をして以来、ずっと地域スポーツに関わって生きています。現在は埼玉県富士見市でクラブ立ち上げ準備中です。

 今日は、多くの人の心の声、「そもそも総合型地域スポーツクラブって何なのよ」についてお答えしたいと思います。

 ただ、この質問の答えは、質問をする相手によって違ってくると思います。そのあたりも含めて、今回は3つの切り口から「総合型地域スポーツクラブって一体何なんだばか野郎!」にお答えしたいと思います。
(誰もそんなことは言っていない)

切り口①:国の施策

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 結構一般的に広まっている総合型地域スポーツクラブのイメージは、どうやら「行政がやってる」です。これは、決して間違ってはいません。行政が直接運営しているクラブはあまりないと思うのですが、行政が”推進”している総合型地域スポーツクラブはかなりあります。

 なぜなら総合型地域スポーツクラブを普及させるというのは、国の方針だからです。なので、実はスポーツ庁のホームページに総合型地域スポーツクラブの説明が載っているんですね。以下にそのまま引用してみます。

総合型地域スポーツクラブは、人々が、身近な地域でスポ-ツに親しむことのできる新しいタイプのスポーツクラブで、子供から高齢者まで(多世代)、様々なスポーツを愛好する人々が(多種目)、初心者からトップレベルまで、それぞれの志向・レベルに合わせて参加できる(多志向)、という特徴を持ち、地域住民により自主的・主体的に運営されるスポーツクラブです。

もう、これが全てだと思います。これが総合型地域スポーツクラブなんです。

 一応、もう一つだけこの項目でご紹介しておきたいと思います。「なんで国がこんなクラブを推進するわけ?」ということですよね。これは手元にある『地域スポーツクラブのマネジメント ―クラブ設立から運営マニュアルまで―』を参考にご説明します。

①1961年、東京オリンピック開催にあたり「スポーツ振興法」が施行された
 ・この法律では「文科省は日本のスポーツ振興の計画を作りなさい」と定められた

②2000年、”やっと”、文科省が「スポーツ振興基本計画」を発表
 ・2010年までに全国の市区町村に最低1つは総合型地域スポーツクラブをつくるという大名目を掲げた

③これにより国は日本体育協会(現日本スポーツ協会)などに総合型地域スポーツクラブの創設・育成の金銭的なサポートを始めた

 これが背景ですよね。オリンピックがきっかけで「スポーツ振興を計画的にやろうぜ」となって、「それには総合型地域スポーツクラブが必要だな」と定めたということですね。よく、ドイツの地域スポーツをモデルにしたと言われます。

 行政の総合型地域スポーツクラブ支援の一環で、各都道府県には総合型地域スポーツクラブを支援する組織(『総合型地域スポーツクラブ連絡協議会』のような)があり、ここにも公的な資金が投入されています。(※所属クラブたちの自主財源だけで運営している組織もあります)
 この項目の切り口では、この支援組織に登録しているクラブこそが『総合型地域スポーツクラブ』であると言うこともできるかもしれませんね。

 でも、「いや、なんで?」ってことですよね。

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経緯は分かったけど、「国が施策にする目的はなに?」ですよね。当時のスポーツ振興基本計画の主な課題は、以下の3つだったようです。

【スポーツ振興基本計画の主要な課題】
①スポーツ振興を通じた子どもの体力の向上
生涯スポーツ社会の実現に向けた、地域におけるスポーツ環境の整備充実
 ・成人の週1回以上のスポーツ実施率50%を目指す
国際競技力の総合的な向上
 ・オリンピックでのメダル獲得率、夏季・冬期合わせて3.5%を目指す

 これらの目的の為に、「総合型地域スポーツクラブがどうやら有効そうだよね」と決めたということですよね。「ドイツとかやってるし」ですよね。

 ちなみに2021年現在の国の関りはどうなっているのかというと、今は「スポーツ基本法」という法律に基づいた「スポーツ基本計画」というものが出されていて、そこにも総合型地域スポーツクラブは登場しています。

(2)スポーツ環境の基盤となる「人材」と「場」の充実
① スポーツに関わる多様な人材の育成と活躍の場の確保
② 総合型地域スポーツクラブの質的充実
・総合型クラブの登録・認証等の制度と中間支援組織の整備(47 都道府県)
・PDCAサイクルにより運営の改善等を図る総合型クラブの増加(37.9%→70%)
・地域課題解決に向けた取組を行う総合型クラブの増加(18.4%→25%)

③ スポーツ施設やオープンスペース等のスポーツに親しむ場の確保
④ 大学スポーツの振興

 実は総合型地域スポーツクラブの界隈をちょっとだけざわつかせているのが、ここにも記載されている『登録・認証等の制度』です。「おいおい!認証されないクラブは総合型地域スポーツクラブじゃないってことか!」という感じですかね。

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 これ、総合型地域スポーツクラブを”国の施策だけ”として見た場合には、こういう解釈ができてしまうということかもしれません。(※この通りに真に受けないでくださいね笑)

国「はい、総合型地域スポーツクラブつくりまーす。市区町村で1つはつくってくださーい」

国「つくるのはもういいでーす。ここからは持続できそうなクラブに絞って支援していきまーす」

この流れ、「国に言われたから」という理由で総合型地域スポーツクラブを立ち上げて運営してきた人からすると、”梯子を外された”みたいに感じてしまっているようなんですね。

(※個人的には、ちゃんと経営できていない組織には投資しないというのは、極めて当たり前のことだと思っています)

 とりあえず総合型地域スポーツクラブは、国が関わってきている施策であるということ(=”法律に基づいた計画”に明記されているもの)だということです。
 行政主導で立ち上げたクラブに関わっている人は、この切り口で説明する人が多いかもしれません。

切り口②:クラブの型

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 じゃあ、国の号令に則って作られた総合型地域スポーツクラブだけが、『総合型地域スポーツクラブ』なのかとえば、決してそうではないですよね。スポーツ庁が言っている「総合型地域スポーツクラブとは」という部分をキーワードでまとめると、こうだったはず。

【総合型地域スポーツクラブとは】
・多世代
・多種目
・多志向
・地域住民による主体的な運営
・スポーツクラブ

 シンプルに考えればこれだけなんです。すごくまじめに考えると、「多世代とか多種目って言うけど、具体的にどれだけあればいいの?」となりますよね。
 例えば、総合型地域スポーツクラブが受けられる助成金の代表格として、日本スポーツ振興センターさんの『総合型地域スポーツクラブ活動助成』があるのですが、その条件は以下のようにされています。

https://www.jpnsport.go.jp/sinko/josei/tabid/79/Default.aspx

総合型クラブの活動拠点において、年間を通じて行う運動・スポーツ活動の実施種目数が、助成年次が初年度から3か年度目の総合型クラブは2種目以上、4か年度目以降の総合型クラブは3種目以上あること。

 たったこれだけでいいんです。『世代』については、審査のポイントには挙げられていますが、明確な条件は定められていません。

 つまり、クラブの『型』としてだけ言えば、

・2~3種目以上実施している
・参加会員が、18歳以下と19歳以上のどちらも所属している
・地域住民が参画している運営組織がある

が満たされていれば「うちは総合型地域スポーツクラブだ」といえるのだと思います。(言いたいかどうかは置いておいて)

 なお、志向性についてはなかなか定義が難しいので、『型』には含めない方がいいでしょう。

 このように総合型地域スポーツクラブを『型』で説明するのは、間違いがなくて無難ですね。多くの場合、この説明をすることが多いです。

切り口③:スポーツについての思想

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 最後は『思想』という切り口です。ここについては以前にも書いたので、その記事を要約してお伝えしようと思います。

 「クラブが大事にしている思想(価値観・考え方・文化など)で総合型地域スポーツクラブを見るといいですよね」ということで、総合型地域スポーツクラブが大事にすべき思想をまとめると以下のようになると思っています。

①スポーツは生涯やるもの
 ・「学校とか習い事とか、『教育としてのスポーツ』だけが全てじゃないんから、大人になっても続けていこうぜ!」
 ・「競技だけがスポーツじゃないから、『引退』とか言うのやめようぜ!」

②スポーツは寛容・多様
 ・「スポーツを誰かの為に限定するのやめようぜ!誰がどんなやり方してもいいじゃん!」

③スポーツに垣根はない
 ・「スポーツ内で争うのやめようぜ!野球もサッカーもどっちもやればいいじゃん!」

これらの思想を実現しようとすると、多世代とか多種目とか多志向といった『型』が現れてきます。
 ”型ありき”ではなく、理念から出発してクラブを作り上げてきた人の中には、この切り口から総合型地域スポーツクラブを説明する人もいると思います。

 これらの思想がないままに『型』を作っているクラブもあると思いますが、この項目の切り口でいえば、そのようなクラブは「総合型地域スポーツクラブとはいえない」ということになります。
 でもそれは外部からは見えにくいところなので、どうしても一般的には『型』が重視されますよね。

 ただ大事なのは、『多くの総合型地域スポーツクラブは未完成』だということです。今は『型』を揃えられていないけど、思想(ビジョン)をしっかり持っているなら、私はそれは「総合型地域スポーツクラブである」と言っていいと思っています。(言いたいかどうかは置いておいて笑)


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総合型地域スポーツクラブや筆者の挑戦のリアルな実態を曝け出しています。自ら体を張って行ってきた挑戦のプロセスや結果です! 総合型地域スポーツクラブをはじめ、地域スポーツクラブの運営や指導をしているかた、これからクラブを設立しようとしているかた、特に、スポーツをより多くの人に楽しんでもらいたいと思っているかたにぜひお読みいただきたいです!

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…

総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5