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目的先行型と手段先行型

 どうも!ふじみスポーツクラブの上杉健太(@kenta_u2)です。埼玉県富士見市で、誰もがいつまでも、自分に合ったスポーツを続けられる地域社会の実現を目指して、総合型地域スポーツクラブの運営をしています。

 今日は、『目的先行型と手段先行型』というテーマでお話したいと思います。スポーツ指導の現場だと、基礎練習から入るか試合形式から入るか、みたいな話だと思います。

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目的先行型とは

 目的先行型とは、まず目的が先にあるとやる気が出たり、上達が早かったりするタイプの人のことです。この人たちは、いきなり基礎練習をやっても興味を持ちません。なぜならそれでは、目的が分からないからです。その基礎技術が何にどのように役に立つかを実感する必要がある人達なのです。いや、誰でもそういうものだとは思いますが、その傾向が強い人たちと言えばいいでしょうか。

 あるいは目的先行型の人は、目的さえ持つことができれば、自分で手段を作っていくことができます。例えばテニスの試合をしてみて、ミスをしなければ相手に勝てるということを実感し、『ミスをしない』を練習の目的に置いたら、その人は『ミスをしない為の技術』を獲得しようとするということです。この場合、『ミスをしない為の技術』は、『ミスをしない』という目的の為の手段ですよね。

 初心者のうちから試合形式の練習で成長していくタイプは、目的先行型の可能性が高いのではないかなと思います。

 いますよね。初心者の頃から、試合になると輝く人って。形式練習の時には全然考えていない風なのに、試合形式になるとポイントを取る為に頭をフル回転させて色々やるような人。この人は、『試合に勝つ』という目的があれば、その手段は自分で考えていけるし、自分で考えた手段を獲得する為なら、形式練習も頑張れます。

 なので、目的先行型の人はまずは試合をやらせたり、トップレベルの試合を見せたりするといいのだと思います。まずは自分がどのようなプレーをしたいのかを描かせる。それから、そこに到達する為にはどのような手段を獲得していくといいかを考えさせる。そして、その手段を獲得する為に練習をしていく。そんな感じが目的先行型には合っているのかなと思います。

 一日の練習でいうと、いきなり試合をやらせて課題を浮き彫りにさせてから形式練習をするというやり方が有効になるのも、目的先行型の場合かなと思います。

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手段先行型とは

 手段先行型は、まず手元に自分が使える手段を持つことで目的を描いていくタイプの人です。基礎練習からコツコツと練習をして、色々なプレーができるようになってから、「じゃあこんな目標を持ってみようかな」「こんなプレーヤーになろうかな」と考えるんですね。

 料理でいうなら、「ハンバーグを作りたいから、肉と玉ねぎを買ってこよう」とするのが目的先行型なら、手段先行型は、「冷蔵庫に肉と玉ねぎがあるから、今日はハンバーグを作ろうかしら」とするということですね。まず自分の手札を確認するのが手段先行型の人です。

 手段先行型は、手段が何もない状態で何かに挑戦するのを嫌う傾向があると私は思っています。いきなり試合をやってみるとかですね。「やり方が分かりません」「どうしたらいいか分かりません」となってしまって、面白さを感じられないことが多い。

 手段先行型の人には、とにかく一つ一つの技術を身につけさせていくことが楽しさに繋がっていきます。まずは手札を増やしてあげるんです。その内に、目的を持つようになる。

 まずは自分が何ができるかが分からなければ、目的を持つことはできない。これも誰にでも言えることだと思います。目的先行型のところでも申し上げましたが、これは程度や傾向の話であって、「人には2種類の人がいてね・・・」という話ではないと思っています。

 目的から生まれる手段もあれば、手段から生まれる目的もあるということです。

 例えば現代の私たちは、『火』という手段を持っているからこそ、「肉を焼こう」と思えますよね。たぶん、人類がもし『火』を使いこなせるようになっていなければ、私の中に「肉を焼こう」は出てこないです。そういうことです。

(※火、ありがとう)

 何となく目的から手段が生まれるというのがあるべき姿のようにも思えるのですが、このように手段から生まれる目的というのは確実にあって、そこはなめちゃいけないなと思います。

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目的と手段をどうコントロールするか

 目的先行型の人と手段先行型の人は確実に混在しています。ある練習をすれば、目的先行型の人が「なんでこの練習をやるんですか?目的を教えてください」と不満を露わにし、ある練習をすれば、手段先行型の人が「やり方が分かりませ~ん。やり方を教えてくださ~い」と不満を露わにします。

 本当は型によって練習メニューを分けられればいいのかもしれませんが、現実的には難しい。何故ならそんなものを自覚している人なんてほとんどいないから。

 正解は分かりませんが、少なくとも、「この人はこういうタイプだから」と指導者が頭でわかっていれば、声掛けでフォローすることはできます。例えばいきなり試合形式で新しい技術獲得に向けた練習をしようとした時に、手段先行型の人は不安になります。その時に軽くでも、「この後しっかり基礎練習からやっていきますからね。今はできなくていいんですよ」と言ってあげるだけで違うと思うんですね。

・・・・・・今書いていて思ったのですが、もしかしたら目的先行型の人と手段先行型の人は、未来志向型と現在志向型とも言えるのかもしれません。目的先行型の人は、自分の目的を達成する為には現在の状態が0点でも気にしない。それよりも目的に向かって進んでいることが重要だと考える。
 一方手段先行型の人は、現在の自分が100点に近い状態であることが重要だと考える。その先に輝かしい未来があると考えている。

 そう考えると、目的先行型の人は失敗を前向きに捉えられるが、手段先行型の人は一つの失敗を気にしちゃうので、やっぱり型によってフォローのポイントやタイミングは変わってきますよね。指導者は、相手がどの型の人なのかは意識しておくことが重要ですね。

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 というわけで今回は、『目的先行型と手段先行型』というテーマでお話しました。
 これは何もスポーツ指導だけに言えることではなくて、どんな場面でも大切になる観点だと思います。また、どちらが良い悪いという話でもありません。自分や相手がどのタイプかを認識して、効率よく成長していけることが大事だという話です。誰かの何かの参考になれば幸いです。

今回もお読みいただきありがとうございました!
ではまた!

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総合型地域スポーツクラブや筆者の挑戦のリアルな実態を曝け出しています。自ら体を張って行ってきた挑戦のプロセスや結果です! 総合型地域スポーツクラブをはじめ、地域スポーツクラブの運営や指導をしているかた、これからクラブを設立しようとしているかた、特に、スポーツをより多くの人に楽しんでもらいたいと思っているかたにぜひお読みいただきたいです!

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…

総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5