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アメリカの美大で学んだこと09:スケッチを習慣に

大学時代に「外へ出てスケッチすることを習慣にしなさい」と、たくさんの人に言われました。言われるがままになんとなく始めたスケッチですが、今でも続いているので飽きっぽい自分としては割と習慣化した方だなと思います。(たまにサボることもありますが、、笑)

スケッチを習慣にするとコンセプトアーティストとして活動する上でポジティブなことがたくさんあります。なのでおすすめしたいんですが、スケッチをするとどういう効果があるのかって想像しづらいですよね。ある程度やり続けないと気づけないことも多いです。

なのであくまで僕の個人的なケースですが、スケッチを習慣化することによってどんな学びが得られたのかを書いてみたいと思います。

※スケッチに関してはホントにずっと続けているツワモノ達がたくさんいるので僕なんかが語っていいものか、、、正直ちょっと怖いです。笑 ですのでツワモノの方、ぜひ記事書いてください!

そもそもスケッチってなに?

明確な定義はありませんが、「物や人や景色をよく見て絵を描く」だけです。もっとうまい言葉で説明できたらいいんですが、、、絵の具を使おうが、シャーペンを使おうが、なんでもありなので意外と説明が難しい。笑

僕は普段こんな感じで描いてます。

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カフェにあったオモチャの車がいい感じだったので描いてみたり、、、
(その場で鉛筆で描いて家でデジタルで色塗り)

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カフェの雑多なカウンターがよかったので描いてみたり、、
(その場でボールペン)

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待ち合わせ時間まで暇だったので駅前で描いてみたり、、
(その場でボールペン)

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旅行先のお寺で絵具を使ったり、、
(その場で水彩絵の具)

「いいな」と思う景色があれば、まずは描いてみることにしています。

なんでスケッチするの?

人それぞれいろんな目的があると思いますが、どんなスタイルのスケッチであれ共通する目的は「観察すること」「観察したものを覚えること」ではないでしょうか。

当然ですが描くためには「観察する」っていう行為が必要になってきます。

観察って言葉でいうと「よーく見る」くらいのニュアンスに聞こえてしまうのですが、「自分の知っていることと、目の前にあることの差を見つける」という方が近いのかなと思います。

例えばですが、を頭の中で想像すると多くの方がこんな風に想像するんじゃないでしょうか。もちろん僕もそうです。

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当たり前ですが、実際の木を観察すると実物ってこれとは違いますよね。でも違うのはわかっていても、実際細くどう違うのかって、あまり深く説明できなかったりします。

僕らは形や見た目を覚える際にかなり簡略化して覚えるのだと思います。なので普段からたくさんの木を目にしているはずなのに、実際に頭の中にある木ってすごくなもの単純なんです。

これらは実際にその場にある木を見て描いたスケッチですが、どれも自分の頭の中にある木とは全然違う形をしていました。自分の知識と観察した結果が違うということはスケッチをしていると頻繁に起きます

なので僕の場合はだいたい以下のループを繰り返しながらスケッチをします。

とりあえず観察

描く

なんか違う、、、と悩む

ふたたび観察(違うところを探す、気づく)

改善 

このループを短いスパンでたくさん繰り返し、「自分の知識と現実の差を埋める」ということが、スケッチで得られる一番大きな学びだと僕は思っています。

なんでスケッチを習慣にするの?

スケッチをすると「自分の知識と現実の差を埋める」ことができるとして、それでもなんで習慣化する必要があるんでしょう?

あくまで僕の考えですがコンセプトアーティストにとってのスケッチは、スポーツ選手でいうの日々のトレーニング(筋トレやランニング)のようなものかなと思います。日々コツコツ積み上げることによって知らず知らず大きな力になるものです。

例えば野球選手は試合中に腕立て伏せはしないですよね。でも普段からトレーニングをしているから試合でバットを振る時により速く振れる、こう言った効果がスケッチにはあるのかなと思います。

ちょっとわかりにくいので例で説明してみます。笑
この前、あるカフェの2階の窓からスケッチしてみました。下の画像がその時のスケッチです。

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このスケッチをしていて感じたのは、街中の配線(電線、電話線、その他)って思ったよりいろんな種類があるんだなと言うことです。こういう配線ってほぼ毎日目にしているんですが、普段は気にも止めないですよね。僕は今回スケッチをしてみて自分の目に入る範囲だけでも配線の種類がこれだけあることに気づきました。

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今回はこんな感じの3種類の配線がありました

そして先ほどのスケッチをした数日後に下の絵を描いてみました。配線の種類は色々あると知っていたので、ちゃんとその部分を描き分けることができました。

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配線の種類の多さに気づいた後に描いた絵

こういったことって、仕事で絵を描くときのリアリティに直結すると思うんです。もしこれを知らずに街中の絵を描いたら僕は配線の種類なんて描き分けられないと思いますし、そのリアリティの無さは見る人に伝わってしまうんじゃないでしょうか

こう言った小さな気づきを積み重ねると、色んなものに対して詳しくなることができて、描けるものもどんどん増えます。それこそスポーツにおける日々のトレーニングのように知らず知らず大きな力になるんだと思います。

絵を描くっていうと才能やセンス、閃きっていう言葉がよく使われますが、実はみんなこういう小さな気づきを積み重ねて上手くなっていくんだなとスケッチをしていると実感します。自分って本当にものを知らないんだなと、少しだけ謙虚になれるのもスケッチの良い点ですね。笑

※ちなみに例として物の種類(配線の種類)の話を出しましたが、気づけるポイントってたくさんあります。色や光、埃の多さによる空気の濁り、地域によっての建物の違いなど、もうキリがないくらいたくさんあります。全部は挙げられないので、ぜひスケッチして見つけてみてください!

スケッチ道具

もしかしたらこれからスケッチを初めてみたいという人もいるかもしれないので、少しだけ道具についても説明したいと思います。

結論から言うと正直なんでもいいです!笑

身近にある紙とシャーペンで十分です。その上でもう少しこだわりたいって方がいたら一番最初に買うのはスケッチブックがいいかと思います。

-スケッチブック-

おすすめはモレスキントンコハウススケッチブックです。

理由は3つ
_持ち運びやすいサイズであること
_水っぽい画材(絵具や筆ぺん)を使っても裏にすけないこと
_作りが丈夫(カバンに雑に入れてもページがとれたりしない)

コピー用紙などではなくスケッチブックを買うメリットとしては、後から振り返えりやすいというのが大きいです。うまくならないなと感じた時に昔のスケッチブックを見返してみてください。多分全然違います。少しでも前進してるのがわかるのはモチベーションになりますよね!

それと、僕はスケッチブックを日記的に楽しんだりもしています。よく観察するためか、写真で振り返るよりもずっと鮮明に思い出すことができるようになりました。

下の絵は仕事をやめてひとり旅にでた時に描いたのですが、その時の開放感や海の匂いを今でもはっきりと思い出すことができます。

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-描くもの-

こちらもなんでもいいのですが、僕はボールペンが好きです。理由は消せなからです。鉛筆など消せる画材を使うと細かく修正して綺麗な絵を描こうとしてしまったりするので、、、。うまい絵を描くのが目的ではないので「失敗したら次!」くらいの気楽さで描ける画材が僕はオススメです。

ボールペンも高いものでなくて大丈夫です。僕は無印良品で70円くらいで売っている黒ボールペンを一番よく使います。気軽に使えるし、インクの出が弱いので線に強弱をつけることもできます。


-番外編-

最近はiPhoneで描いたりもしてます。思い通りにならないのが楽しくて、意外とはまっています。笑 細かく描き過ぎないので見てる景色の大事な部分だけ狙いを付けて捉える練習になるんじゃないかなと勝手に思ってます。

iPhoneでのスケッチ

アーティスト紹介

普段のスケッチを続けるにあたって、飽きないことって結構大事な要素だったりします。そのためには他のスケッチをしているアーティストからインスピレーションを得るのが一番かと思います。本当にたくさんの素晴らしいアーティストがいるので数人に絞るのは難しいのですが、今回は3人だけ紹介させてください。

Adrian Hogan
日本で活躍中のオーストラリア出身のイラストレーター。少しページを遡ると出てくるのですが、色鉛筆でのスケッチも本当に魅力的。
https://www.instagram.com/adehogan/?hl=en

Andre Wee
iPadでのスケッチもペンや鉛筆でのスケッチも本当に全部かっこいい。
3D作品もたくさん載せてるので、スケッチだけでなく制作のインスピレーションに是非。
https://www.instagram.com/andre_wee/?hl=en

Mike Dutton
アニメーションを製作しているTonko Houseに在籍中。もうとにかく良過ぎて僕の語彙力では説明できないのでとにかくみて欲しいです。笑
https://www.instagram.com/duttonart/?hl=en

まとめ

人からのアドバイスでなんとなく習慣化したスケッチについてどんな学びがあるのかを書いてみました。絵を描く仕事をする人にとっては「知識と現実の差を埋められること」、そして「その差を覚えて仕事の絵に反映できること」が一番の利点かと思います。

今回は学びがどうのとダラダラ書いてしまいましたが、実は続ける一番の理由は「楽しいから」だったりします。絵を描くのももちろんですし、知らなかったことを知れるのも楽しいです。世の中知らないことだらけなので、スケッチしながら何かに気付けた時は未だに子供の頃のようにドキドキします。笑 

興味がある方はぜひ身の回りの紙と鉛筆を手にとって、近所でスケッチしてみてください。みなさん、良いスケッチライフをお過ごしください!

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普段のスケッチ道具(スケッチブックはトンコハウスのもの)


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