大学サッカーのすすめ

大学サッカーはご覧になったことがあるでしょうか?

サッカーファンとは言えど、ほとんどの方が「あまりない」「全くない」と答えるかと思います。

僕は、東京でしごとをしていた3年前に大学サッカーと出会いました。

松本に帰って松本山雅FCの試合を見たいけど金銭的に社会人2年目ということで余裕がない。だけど、サッカーは見たい!混んでいるスタジアムは嫌だ!なんて思いながら週末どうしようかと悩みながらTwitterを見ていました。すると、夢の島陸上競技場でサッカーがあるというのを見付けました。

それは、大学サッカー日本一を決めるインカレ予選。チケットが2試合見れて1000円くらい。めっちゃ安!と思い、対戦カードを確認することなく行くことを即決しました。

スタジアムに到着。スタジアムでは普段スーツを着なれていないであろう大学生がリクルートスーツを着てスタッフとして、チケット・プログラム販売、試合運営をしている。後から翌々思うと高校の時、有名選手だった方がスタッフとしているから驚く。現在、川崎フロンターレでセンセーショナルな活躍をしている三笘選手もスタッフとして働いていたとか。

慣れない言葉使いや案内をしてくれるのも更に応援したくなる。

階段を上がり、観客席を見渡す。学生以外の観客が少ないのが第一印象。席は、ソーシャルディスタンスを自然に取れるくらい人が疎ら。観戦者は、大学OBやサッカーオタクなおじさんばかりだった。

そこで見た対戦カードが(順番は忘れた)

筑波大学 × 常葉大学

東京国際大学 × 阪南大学


筑波大学は昨年度王者ということもあり、鈴木コンビや阿部といった後にJリーグ内定者が揃い踏み。圧巻の試合だった。

続いて、東京国際大学×阪南大学。僕は、この試合で大学サッカーに目覚めさせたといっても過言ではない。阪南大学は鹿島内定の山口、川崎内定の脇坂といった面々が揃い、有利に試合が運ぶだろうと思っていた。試合前も全員で円陣を組みストレッチ。個々のアップを見ていても、いい意味で緊張感がなく、リラックスした雰囲気のチーム状態だった。

しかし、前半20分で2失点。その後も逆転する事なく、関西の名門大学は散った。

試合終了後、選手がスタンド応援となった部員のもとに挨拶しにいく。そこでキャプテンの脇坂が号泣していた。挨拶後には悔しさのあまり、しゃがみ込み、泣いていた。その姿に、学生時代を思い起こさせる様な胸の歯がゆさというか同調みたいなものを感じた。

大学サッカーは、プロのサッカー選手として生きていくのか、サッカーに折り目を付け社会人として生きていくのか。その最終分岐点だと思う。

だからこそ生まれてしまう練習での温度差であったり、サッカーに対する想いの差であったり。そこを1つのチームにまとめ上げられた大学が頂点に輝く。近年の明治大学はプロ内定を5,6人も受けるのは努力の賜物。


勿論、プロの道を歩む選手は一握りであって誇らしい。

だが、決意を持ってサッカーから退く選手もいる。

2018年のインカレ決勝 駒沢大学 × 法政大学

法政大学は昨年の決勝で惜しくも、流通経済大学に敗れて優勝を逃している。今年も決勝まで勝ち上がった。相手は高崎寛之や三島康平といった山雅でもお馴染みのプロ選手を育てる名門校。フィジカルを全面に押し出したロングボール主体のチーム。

法政大学のCB陣には、高い対人能力が求められる。そのCBには、この日でサッカー人生を引退する前原崇博がいた。関東大学サッカーリーグ戦でも、スタメン出場が多く、CBとして守備の統率力や対人能力を見ていてもプロ入りを目指すのかと思っていた。

しかし、前原が舵を切ったのは社会人としての道。「大阪から上京し、家族に金銭目的に迷惑を掛けたくない。今度は自分が家族を守る。」との決意があった。今日のインカレ決勝が人生最後の試合となる。結果は法政大学が優勝。サッカー人生最後の試合を最高の形で締めくくった。

前原がサッカー人生を振り返り、こんな言葉を残している。

「いろんな天才と言われる選手を見てきた。だから努力が必ず報われるわけではないことも学べました」

皆さんの人生にも思い当たる節があるのではないでしょうか。

この言葉を聞いて胸が締め付けられると共に、更に「大学サッカー」への楽しみが増しました。


大学サッカーの楽しみ方として

・競技性

・人間性

この2つに注目すると興味が湧いてくると思います。

競技性において、大学サッカーを見ていると高校生とプロの合間のような感覚を覚える。プロの様に完成しきらない技術面、高校サッカーより意図を感じ取れる戦術面。自分ならどうするといった思考を入れやすい試合スピードで楽しめる。

人間性は、デッドマール・クラマー「サッカーは少年を大人にし、大人を紳士にするスポーツ」の言葉の通り、サッカーだけではなく人間的にも紳士な部員が多い。最近になって各大学から選手のブログを発信している。特に、早稲田大学の岡田優希(町田ゼルビア)と相馬勇紀(名古屋グランパス)が卒業時に感謝の意を込めて「自分の言葉」で描いたブログは感動的だった。他にも明治大学などが多く発信しており、どの部員も言葉に自分らしさと誠意がある。大学4年間で育んだ人間性の象徴だと思う。



大学サッカーも、新型コロナウイルスの影響により無観客での試合が続いている。YouTubeにてリーグ戦の試合を生配信しているので、このブログを読んで興味を持った方は是非とも試合を見てあげて欲しい。

お気に入りの選手がプロ内定を掴み取ったら、何とも言えない幸せを味わえる。







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?