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諸般

近、あらゆるものをレビューという物差しで判断しているような気がして、それに疑問を持たずに染まってしまっている自分に嫌気が差した。この映画観たいと初心で思ったのに、レビューで星が少ないと、観るモチベーションを失うのは、おかしいんじゃないかと、ふと思う。自分の目で、耳で、口で感じることなく、物事の良し悪しをつけてしまうのは、それはある意味でフェイクな世の中に自分自身が染まりつつあることと同義ではないかと思った。意志を喪失するな。

転車で5分も行けば、かつてこの地域が農村地帯だったことがわかる、古い家屋が並ぶ場所がある。明らかに、新興住宅街とは一線を画して、お寺を中心にここの生活があったのではないかという、一種の威厳とも言える雰囲気が流れている。新興住宅とともに作られた公園の裏手には、東京とは思えないような竹林が広がっていて、ちょっとした山道になっている。獣道のようにできた階段を登ると、そこには墓がある。墓石を見ると、安政や文久という元号が刻まれている。ここの地主の代々の墓なのか、小さな子供の墓もあった。確かにここに、100年以上前から人の営みがあったことを実感すると、長年住んでいる場所なのに、全くの新参者のような気持ちになった。風が吹くと、さわさわと竹の笹なりが聴こえる。その竹林が広がる地層には、縄文時代の横穴墓の穴が点々と空いている。ここは不思議な場所だ。次々と宅地開発された場所が表の顔をなしているのに、少し歩けば太古の昔からこの地に人がいたことを感じられる場所が広がっていて、世界観を広げてくれる。だからこの場所が気に入っている。

計を買った。10年くらい使った時計をなくした。道中で落としたから見つからないなと諦めた。買い替えどきだなと思っていた。少し奮発して長く使えるだろう時計を買った。

年の12月に盗まれた自転車が見つかったと交番から電話がかかってきた。二ヶ月後に見つかるとは思っていなかった。チェーンが外れた状態で乗り捨ててあったらしい。人のものを盗んでいると、物の大切さなんて一生わからないんだろうなと思う。

達が結婚する。1年前に母親を亡くした友達だった。幼稚園の頃から付き合いのある子。良かった。結婚と聞いて、なんとなく、あの子が結婚したときの気持ちを思い出す自分が惨めだ。

社の社員の若い女の子が、昨年に派遣切りと批判された会社の人事について、「仕事無くなったんだから当然じゃないですか?」と言っていた。君らがそんなこと言っちゃだめだろうと思った。数倍違う給料もらいながら、それでいてコンテンツの大部分を外部の人間が作って支えられてるのだから。それでいてたいした能力の差はないのだから。人間は生きてるのよ、仕事なくなったからって駒みたいに扱って良いわけないのよ。もう少し想像力働かせろよと、たまたま君が社員であって、逆だったらどう思うか考えられないのかと。君らはそういう立場にいることをもっと自覚して欲しいと思った。

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