見出し画像

『serial experiments lain』 -「これこそゲームだ!」と喜んだのだけれど

ゲーム・雑誌連載・アニメ版と、マルチメディア展開された作品。ゲーム版は基本的に独立した作り/ストーリーです(ゲームジャンルは「サイコストレッチウェア」とか記載されていた記憶です)。ゲーム版は操作性はほとんど最低だし、正直映像も綺麗とはいえないし。だけど今までやってきたゲーム(さしたるゲームをやっては居ませんが……)の中で一番トラウマティックだし素晴らしいと思っている作品です。

ゲームでできることといえば、階層状に積み重なっている(大抵は不穏、もしくはショッキングな)音声/映像データの断片を再生すること(と、『何も操作しない』ことで突発的に再生される断片的なそれらを見ること)だけ。

画像1

だからストーリーも分岐しないしマルチエンディングもないし(「2周目」で追加される断片情報はあったはずですけど…)。

ただ、積み上げていくテクストが丁寧で、少しずつプレイしている人間の自己存在を揺らす様に作り込まれてて、実在/非実在の理屈の使い分けが凄いと思ったし「断片しかないものを頭なのなかで組み立てていく」というのはすごい「ゲーム性」だ!とプレイした時に感動したことを覚えて居ます。

細かな描写、「閉じられた系」の中での需要や拒絶(や共感)については、映画「ミッドサマー」なんかに近い様にも思います(ミッドサマーは民族学的な要素とカルト/社会的な要素を使っていて、このゲームだと精神医療的な要素と個人に内在する自意識に焦点を当てているように見受けられますが)

ゲーム自体の映像は個人的に余り得意ではないのですけれど、(上記のものなど)安倍吉俊氏のイラストは美しいですし、全体的に中二っぽい感じとか、今じゃできなんだろうなというエンディング(youtubeでコーション入っていますが、人によってはショッキングと思うかもしれないです)とか、エンドロールの楽曲の電子音とか、すべて好きだったので個人的大絶賛だったのですが、全体的な評判は芳しくなかった様子で「こんなに素晴らしいのに何故。。。」と当時大変残念に思った記憶です(単に僕がそういうゲームに詳しい人と知り合いではなかった、というだけかもしれません)。

プラットフォーム(PS1)から「是非プレイしてみて!」と言いにくいのが残念ですが、機会があったら是非是非やってみていただきたいゲームです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?