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世の中は「メンヘラおじさん」でできている

アンドゲート田村です。
株式会社アンドゲートという会社の代表をやっています。

この記事では「世の中はメンヘラおじさんを生み出す社会構造」があり、その「メンヘラおじさんによって社会が成り立っている」というお話を書きます。
そして、過去にメンターから教えてもらった「メンヘラおじさんと向き合わなければいけない理由」も合わせてお伝えします。

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結果ではなく過程を求められていた仕事

私は過去に仕事で強烈なお叱りを受けたことがあります。

スマートフォンアプリの開発プロジェクトでPMを務めていました。
プロジェクト自体のリリーススケジュールに遅延はなく、品質も問題なし、追加の工数や費用もなしで、いわゆるQCDはクリアしている状態でした。

ところがプロジェクト終了後の反省会でプロジェクトオーナーからは
「全てのやりとりにPMが介在していなかった」
とのお叱りを受けました。
「全てのやりとり」は比喩としても、要は「コミットメントが足りなかった」ことが問題であると解釈しました。

プロジェクトのコミュニケーションを円滑にするためには、無駄な伝言ゲームを減らすことが重要だと考えている私は、作業担当者から依頼者へ直接返答をするレギュレーションとしていました。
これを「ダイレクト・サーバー・リターン方式」と呼んでいます。元はITインフラのロードバランサーの処理方式の一つです。
情報の伝達が早くて正確なので、私のチームビルディングでは基本形となっています。

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田村自身のマネジメントスタイルは「支援型」で「ちょっとヤバそうだな」と思ったら「支配型」に切り替え、落ち着いたら「支援型」に戻るスタイルでした。
しかし、このやり方がプロジェクトオーナーの期待値と合わず、最終的に悪い評価が下りました。
他の要因も多数あると思いますが、要望の根幹は「支援型」ではなく「支配型」のマネジメントをして欲しかった、ということになります。

怒りと悔しさで終電間際の会社のデスクで静かに涙を流しました。
そして、この体験から「プロジェクトマネジメント」を再定義してやろうと思い、アンドゲートを設立し、プロジェクト推進サービス「ダンドル」が誕生することになります。

「メンヘラおじさん」の正体

前述のお叱りを受けて、再発防止策を考えました。

定例会では定期的に「この進め方で問題ありませんか?」と確認を入れて担当者レベルでは合意していたものの、プロジェクトオーナーは定例会にほぼ不参加状態だったので、正攻法的には「定例会とは別にプロジェクトオーナーへの共有会を設ける」になります。
そして何より、改善するためにもプロジェクト後ではなく進行中にフィードバックを頂くことが必須になりますが…あれ…この感じ…どこかで…

「今、何してるの?」
「おーい」
「なんで返信くれないの?」
『あ、ごめん、さっきバイト終わって仲間とダベってた』
「終わったらすぐ連絡してよ」

「私のことどうしてわかってくれないの!?」
『そんな気持ちにさせてごめんね、どこがいけなかった?』
「もういい…!!」

…………( ゚д゚)ハッ!
危ない、危ない。儚い記憶に取り込まれるところでした。
そう、この特徴は「メンヘラ」です。
「メンヘラ」では言葉の意味が広いので「メンヘラおじさん」を定義します。

期待する内容を明らかにしていないのに、その内容が実現しないと怒る人。
また
期待されていない内容を合意なしに行い、その内容について評価がないと怒る人。

前者がマネージャー寄りで「普通〇〇までやるでしょ」といった状況を作る人、後者がプレイヤー寄りで「私はこんなに頑張ったのに評価されない!」といった状況を作る人です。

無能な働き者は処刑すれば良い(ゼークトの組織論)ので、後者のプレイヤー寄りはあまり問題ではありません。
重要なのは前者のマネージャー寄りのメンヘラおじさんです。

どうして「メンヘラおじさん」が生まれるか

マネージャー寄りのメンヘラおじさんは何故生まれるのか。
それは仕事ができるからです。

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仕事ができる人は、相手の期待値を測り、その期待値を越えるために+αの仕事をします。
期待値を越えた仕事を行い続けると、結果的に出世します。
出世すると部下を持ち、業務委託を利用する権限を得ることになります。
今まで自分が行ってきた仕事は「期待値+α」であるため、部下や業務委託にも「期待値+α」の仕事を求めます。
もちろん「+α」部分は明らかにすることができず、人によっては「期待値」さえも明らかにしない人もいます。(ほとんどの場合は明らかにされません)
多くの部下や業務委託は「期待値」もしくは「期待値」以下の仕事となり、メンヘラおじさんは怒ることになります。

本来であれば「+α」部分の仕事については「ラッキー」な部分ですが、仕事のできるメンヘラおじさんは「+α」部分をやって当たり前の世界に生きているので、平然と明らかにされていない期待値を周りに求めることになります。

「お客様は神様です」という言葉がありますが、本来は店側が使う言葉であって客側が使う言葉ではありません。
客側が「お客様は神様なんだろ!?」とレジのお兄ちゃんに凄んでいたら「ああ…かわいそうな人だな…」と哀れみの目で見られること間違いなしです。

言葉というのは「誰が使うか」によって大きく意味が変わるものです。

同様に、「期待値」の仕事に対して「期待値+α」の価値を生む言葉、具体的には「普通〇〇までやるでしょ」という言葉は、仕事をやる人自身が使う言葉であって上司が使う言葉ではありません

また、誰も最初からメンヘラおじさんで生まれて来たわけではありません。
メンヘラおじさん度を高めているのは、部下や業務委託など周りの人間です。
メンヘラおじさんから何度か怒られている内に学習し「○○さんはああ言ってるけど、実はこのレベルまで求めている」という裏マニュアルが完成し、明らかにされていない「+α」の仕事ができるようになり、メンヘラおじさんのメンヘラ度は更にすくすく育っていきます。

メンヘラおじさんを撲滅しようと「期待値」を整備したり「+α」の仕事を求められないようにしたとしても意味がありません。
また別の「+α」ができる人が上司となり、新たなメンヘラおじさんが誕生します。
この社会はメンヘラおじさんが製造され続ける社会構造になっています。

正直、私も「なんでこんなこともできないんだ」と思うことがあります。
その時は「ああ、期待値を伝えきれていなかったな」や「求めすぎていたな」と反省はするのですが、十分に私もメンヘラおじさんです。

大企業の上層部はそれはもう仕事ができる人たちだらけなので、メンヘラおじさんだらけです。
反対に言えば、この社会はメンヘラおじさんによって支えられているのです。

「メンヘラおじさん」と向き合うしかない

私はメンヘラおじさんと付き合うのは疲れるので、距離を置こうと考えていました。
営業時にメンヘラおじさんセンサーが反応したら、さっさと手を引くこともありました。

しかし、メンターから下記を教わって考えを改めました。
「事業を拡大していけば、いずれメンヘラおじさんにぶち当たる、ぶち当たらなければならないタイミングが来る。」
「世の中がメンヘラおじさんだらけなら、メンヘラおじさんをうまく使うしかない。」

大企業の上層部は十中八九メンヘラおじさんですので、事業を広げていけば必ず当たる壁です。
寧ろ、メンヘラおじさんの胸に自ら飛び込んで、事業を成長させる責任があります。
メンヘラおじさんから逃げている場合ではないのです!戦うのです!!戦うしか道はないのです!!!

対メンヘラおじさんの方法論はいくつかあります。
- 期待値を事前に明らかにしてメンヘラおじさんの納得感を得る(方法)
- 期待値以上の仕事をする(自分がメンヘラおじさんになる)
- メンヘラおじさんと仲良くなる(政治)

社内では「ハッタリ」や「人心掌握術」の勉強会をやったりしているので、また別の記事で紹介したいと思います。

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