協業×コミュニティの相性を考える
どうも、やたらと書籍出版を勧められる男。田村です。
株式会社アンドゲートというIT推進の会社の代表をやっています。
前回の交流会アンケート結果を元に、粛々とコミュニティやDAOの準備を進めています。
「ちゃんとしたビジネスコミュニティ」を作るために必要であろう「課題を明確にする」「ギブを可視化する」「コミットする」という要素を再構築してみたのでアウトプットしてみます。
結局、私たちは交流会に何を求めているのか?
改めて、アンケート結果を見てみましょう。
事業の課題は「営業リードを獲得したい」がダントツで、その次に「パートナー企業を探している」「組織を強化したい・正社員を採用したい」と続いています。
多くの方が営業先を探しているものの、交流会の課題では「1回会っただけで終わってしまう」「顧客ターゲットがいない」「受発注に至らない」とマッチングの質に課題があることがわかりました。
交流会だけでは営業先が見つからないことはわかっているのに、どうして私たちは参加してしまうのでしょうか。
交流会に参加する中で言われて嬉しい言葉は何でしょうか。
「良い事業ですね」「順調ですね」「頭良いですね」「イケメンですね」
…あまり嬉しくありません。
欲しいのは下記のような言葉ではないでしょうか。
「ちょうどそのことで困っていたんですよ、話しを聞いてもらえませんか?」
「ウチのお客さんで、そのことについて困っている人がいるんですよ。紹介しましょうか?」
前者はその人が営業先になるパターンですが、これは幻想です。
確率は0.1%くらいです。
反対に言えば1000人に会えば、1人くらいはいます。
狙い目は後者です。
その人が営業先にならなくとも、その人の先に数十人・数百人がいるので、単純に確率は上がります。
交流会は営業リードを探す場ではなく協業相手を探す場なのでは?
事業の課題の中で「パートナー企業を探している」がありました。
確かに、交流会の場では「一緒に事業ができそうですね!」という会話の流れはあります。
しかし、目下求めているのは営業先なので、意識が分散して協業に至ることはありません。
その場にいる人に営業を仕掛けても確率が低いのであれば
ダイレクトな営業リードはさっさと諦めて、パートナー企業を探すことに専念した方が、結果的に目的が達成できるのでは?
と思うようになりました。
交流会に参加する人全員が「営業するぞ」ではなく「協業するぞ」という意識になれば、自然と会話も協業の話しに進み、パートナーになり得るかの検討がなされることになります。
協業するメリットは?
そもそも、協業するメリットは何でしょうか。
今回は資本提携ではなく、業務提携について話していきます。
(資本提携は問い合わせが多すぎてガン無視しております。すみません。)
既存顧客への価値提供の幅が増える
新規営業のことを考えがちですが、事業で最も大切なのは目の前のお客様です。
そのお客様に対して、自社でできることは全てやっている場合、もっと役に立ちたいのに!と不甲斐ない気持ちになります。
協業をすることにより、価値提供の幅が広がり、もっと貢献することができるようになり、お客様との信頼関係を深めることができます。
有り体に言えばクロスセルですが、売上・利益ウンヌンよりも、お客様の役に立つことは気持ちが良いものです。
協業先にも同じことが言える
自社のクロスセルの手段が増えると言うことは、協業先もクロスセルができるようになると言うことです。
言い換えれば、自社のサービスを協業先に売ってもらうことになります。
1回しか会ったことない人とは受発注が発生しなくても、既に取引のある会社であれば受発注の確率は高まります。
これは協業先が過去の取引によって獲得した信用を借りて営業することを指しています。
手法で言えば顧客リスト・営業リードのシェアということになりますが、信用のシェアと言ったほうが正しいように思います。
新しい商品・新しい顧客ターゲット
顧客リスト・営業リードのシェアによるクロスセルだけでも当初の目的は達成できますが、協業の可能性はそれだけではありません。
2社の強みを掛け合わせることにより新しい商品が生み出され、新しい顧客ターゲットの開拓ができるようになります。
通常、新しい商品を生み出す際は先行投資が必要ですが、資本・リソースは既にお互いが保有しているため、リスクを軽減することができます。
協業の障壁・デメリット
協業するにはメリットばかりではありません。
相応の障壁やデメリットがあります。
会社の格
協業を謳っている以上、イーブンでなければ関係は続きません。
一番わかりやすいのは協業によって生み出される価値の総量です。
例えば、協業によって1億円の売上を見込む場合、規模の小さい会社からすれば大きい金額ですが、大企業からしたらお小遣い程度です。
その差はどうしても熱意やコミットメントの差となり、確執を生むことになるでしょう。
互いの思惑が一致しなければ、協業関係は始まりません。
レベニューシェア
それぞれの会社がそれぞれの商品を売っている場合は問題ありませんが、一緒に商品を作った場合は利益の分配が論点になります。
売上が大きくても利益が小さかったり、想定よりも売上が拡大しアンバランスな比率になることでトラブルになります。
盛り上がっている話しに水を差すようなことになっても、契約はしっかりしておいた方が良さそうです。
それで協業の話しがなくなるのであれば、最初から組む相手ではなかったということです。
技術やノウハウの流出
一緒に仕事をする以上、技術やノウハウが協業先に渡る恐れがあります。
NDAを締結しても、その効力が発揮されるのは法廷です。
流出してはいけない技術やノウハウがある場合、綿密に秘匿化するか、協業を諦めた方が良いでしょう。
協業をテーマにコミュニティを考えてみた
「ちゃんとしたビジネスコミュニティ」に必要そうな3つの要素を勝手に決めていますが、それぞれを「協業」に当てはめて考えてみます。
課題を明確にする
課題は「パートナー企業を探している」。
それを形にしたものが「協業」である。
協業する気のない人はお断り!
ギブを可視化する
協業を実現するにあたり、何がいくらでできるのか。
シェアできる顧客リスト・営業リードの量と質。
互いの目的を達成するための新商品作りの関与。
コミットする
プレスリリースを打ち、世の中に宣言できるのか。
経営を巻き込んだ関係性になれるのか。
コミュニティ運営としては、協業成立まで伴走できるのか。
うまくいきそうにない場合はSTOPを突きつけられるのか。
成り立ちそう
今までは「ギブを可視化する」について「無料でできる範囲で価値提供し合う」と置いていましたが、潔く「何がいくらでできる」「顧客リスト・営業リード」にすることで期待値が明確になったように思います。
また、コミュニティ運営としてのコミットについても「協業」が軸であれば、事前ヒアリングの内容や参加者の温度感がわかりやすくなり、質の高いマッチングが実現できそうです。
「協業」は効果があるのか?
散々「協業」について語ってきましたが、まだ明確な実績や確からしい有効性はありません。
弊社は過去より他社と中長期的なお付き合いをしており、感覚的にパートナー関係は有効であると感じていますが、形式張って「協業だ!」とはやっていなかったため輪郭がボヤけています。
そんな中、以前よりコラボレーションしてみたい企業があり、今までは遠慮をしていましたが、思い切ってお声掛けさせていただいております。
「協業」は数ではなく質だと考えているので、高いコミットメントが発揮できるよう、丁寧に企画を練っています。
「業務提携しました」とプレスリリースを出したものの、活動はできていない「形だけの協業」ってありますよね。
そうならないためにも、最高責任者である私が企画をすることは、誠意であり責任であると考えています。
ビジネスコミュニティは「協業」を軸にした方が良いのでは!?という提言をしました。
まずは自社で「協業」についての有効性を実証し、その結果を「ちゃんとしたビジネスコミュニティ」に反映していければと思っています。
引き続き「協業」以外のテーマも含めて思考を深めていきます。