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「とりあえず失敗しない」PLAフィラメントの印刷設定

このマガジンでは、「とりあえず失敗しない」3Dプリンターの設定について、できるだけ簡潔に書いていきます。
フィラメントの種類と特徴については世の中にたくさんの優秀なウェブサイトがありますので、そこは割愛します。同様に、用語の説明も割愛します。
ただ、印刷設定については情報はいくらあっても困らないと思いますので、私も記事に残して誰かの助けになれば良いなと思って書いています。機種やフィラメントの組み合わせが膨大で、使っている環境(温湿度など)もバラバラなため、色々な調整の観点を知っていないとパラメータ迷子(何を調整して良いかわからなくなる状態)になります。

■ PLAフィラメント印刷時の注意

PLAフィラメントは全てのフィラメントの中で間違い無く、最も印刷しやすいです。
PLAを使って単純な小さい箱などが印刷できない(崩れる、反る)場合は、3Dプリンター自体の問題を疑ってください。PLAで綺麗に形が作れない状態で、PLA以外のフィラメントを使ってもほぼ確実にうまくいかないです。
3Dプリンター自体の問題とは、ヒートベッドの歪み、ノズルの詰まり、クーリングファンの風量不足など。ヒートベッド温度、フィラメント温度等の設定は3Dプリンターの説明書に書いてある推奨値を使っていればあまり関係無いでしょう。PLAの設定だけはどんな3Dプリンターでも設定値の例が書いてあるはずです。

以下、まともな形状は作れる前提で、より綺麗な出力、強度を確保するためのコツを紹介します。

■ ノーマルなPLAの印刷設定

ノーマルなPLAとは、木質・金属光沢・シルクなどの質感を表現したものではなく、単に「赤」「黒」などで売られているPLAです。

別の言い方をすると、フィラー(混ぜ物)が無いPLAとなります。
ノーマルなPLAは、ほぼ100%、3Dプリンターの説明書に推奨設定が紹介されていると思います。それを用いるのが最も確実です。
フィラメントリールに書いてある温度設定や、有名なサイトに設定が紹介されていることもありますが、「その機種で最適な値」というのがノーマルなPLAでは明らかなことが多いので、素直にそれを用いた方がパラメータ迷子にならずに済みます。

✓ 積層間の強度が弱い場合
綺麗に形は作れても積層部分ですぐポキッと折れる場合は、印刷温度を5℃程度上げてみるのがオススメです。温度を上げることで溶ける前により密着するようになります。
印刷速度を上げて熱いうちに印刷する、という方法も有効ですが、速度を速くしてうまくいかなかった場合はパラメータが迷子になりやすいので、積層間の強度を強くしたくなったらPLA以外のフィラメントを検討する選択肢もあると思います。

■ フィラー(混ぜ物)が若干入っているPLAの印刷設定

木質・金属光沢・シルクなどの質感を表現したPLAは、何らかのフィラー(混ぜ物)を若干量含んでいます。ノーマルなPLAと同じ設定でも形状は問題無いと思います。ただ、これらのPLAは少し温度を上げないと積層間が弱いことが多いです。目安として、ノーマルなPLAより印刷温度を5℃程度上げると改善することがあります。
フィラーの含有量が多いほど、適した印刷温度が高くなる傾向があります。ただし、木質フィラメントについては温度をあまりに上げ過ぎると焦げるものがあり、ノズル詰まりの原因になります。

■ フィラー(混ぜ物)が多く入っているPLAの印刷設定

木質・金属光沢・シルクなどの質感以外、物理的な機能性を追加したPLAという物があります。例えば剛性を大幅に上げたPLA折り曲げに強いPLA(商品例ではPolyTerra PLA)など。これらはフィラーが多く入っていることが多いです。そのためノーマルなPLAとは別物と思った方が良く、印刷がうまく行かないうちに手を出すべきではありません。ノーマルなPLAと並行して印刷パラメータを考えると発散して混乱します。
印刷設定のコツについても、完全に別のフィラメントとして、別記事で今後紹介します。

■ まとめ

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ノーマルなPLAで綺麗な形状で印刷できることは3Dプリンターをメンテナンスできている最低の目安と思った方が良いです。
何度も印刷失敗すると何かを実現したかった気持ちも薄れてしまいます(笑)
決して難しいフィラメントではありませんので、まずはノーマルなPLAをラクラク印刷できるようになって、気持ちの余裕を持つことをオススメします。

最後まで読んで頂きありがとうございます m(_ _)m
おわり。

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