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メタバースなんて20年前にラグナロクオンラインにあったという話。本質はテクノロジードライバ。

2002年にはメタバースと呼べる物があった

2021年頃から良く聞くようになった「メタバース」という言葉。電気通信エンジニアとして仕事をしている筆者がこれの本質について考えてみます。

「メタバース」 の語源をWikipediaで調べてると「超(meta)」と「宇宙(universe)」を組み合わせた造語と書いてあります。
また、定義は主張する人によって曖昧な所があるので、これもWikipediaを引用してみます。

SF作家・ニール・スティーヴンスンによる1992年の著作『スノウ・クラッシュ』の作中で登場するインターネット上の仮想世界のこと。転じて、将来におけるインターネット環境が到達するであろうコンセプトモデルや、仮想空間サービスの通称としても用いられる。-wikipediaより

インターネット上で仮想の世界そのものや、現実世界にあるサービスを仮想空間で実現するということですね。

これを聞いて、一部のインフルエンサーが「FF14で出来てるじゃない」「セカンドライフと何が違うの?」という指摘をしています。
その指摘は正しいと思います。

ただ、「だからメタバースは流行らない」というのは本質では無いと思います。

もっと言うと、セカンドライフより前、2002年頃にはラグナロクオンラインというゲームで既にメタバースの定義にある経験ができました。オンラインゲーム内の世界をもう一つの世界としてに住んでいた人達がいました。当時これを言うと変人扱いされたものですが、体験した人達と最近話をすると、口を揃えて「あれはメタバースだったよね」と言います。

ラグナロクオンラインの世界観

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画像引用:https://gameuxnews.com/ragnarokonline/

ラグナロクオンラインではゲーム内にプロンテラという街があり、ゲーム製作者が用意したのは無機質なドット画像で出来たマップです。そこにユーザーが勝手に露店やギルド勧誘所、各ギルド集会所、転送サービスなどのエリアやサービスを作って社会経済圏を形成していました。転送サービス等は運営が作った物ではなく、ユーザーが生み出したサービスです。同じマップでもサーバーによって違う街に成長し、サーバー毎の街歩きをするのも楽しかったです。ラグナロクオンラインを辞めて15年は経ちますが、未だにゲーム内でユーザーがやっていたお店やサービスの場所が一つのリアルの街と同じように地図として私の頭に入っています。
ゲーム世界で知り合った人達で恋愛も生まれ、規約違反ではありましたがリアルの現金が動く経済圏もありました(筆者は規約違反はしていません)。

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今、「メタバース」として作りたいのは「実経済が動く」オンラインゲームプラットフォーム

VR会議室やバーチャルオフィスでビジネスの場や職場を再現しようとしている人がやりたいのは正にオンラインゲームの街なんだろうと、インフルエンサーに言われるまでも無く体験した人はだいたいわかっています。

コンテンツの制作企業や国が実世界の経済力を管理や禁止しているかどうかというだけで、セカンドライフとオンラインゲームは本質的に変わりません。セカンドライフよりも前にラグナロクオンラインで、メタバースに相当するものは実現していました。

オンラインゲームの世界観でリアルな仕事を動かし、実経済を動かしたいというのが、今のMetaを始め各社が考えている事です。

FacebookがMetaに社名変更したというのは、自社の技術力でメタバース市場の王者を取るためでは無いと考えています。逆に、自力で勝てないので活路を見出すための施作だと思います。
市場規模を自ら拡大することが狙いで、メタバースというバズワードで仮想空間でビジネスをするためのベンチャーを増やし、キラーアプリを作ったベンチャーはMeta社が作ったMeta Quest(旧Oculus Quest)プラットフォーム上で商売をさせるか、Meta社が買収するというロジックを狙っていると考えるのが自然です。Metaプラットフォームを利用してもらうために、Meta Quest 3を代表とするVRゴーグル等のハードウェアはこれからも自社ブランドで出していく可能性があります。

実際、Meta社に対抗してソニーやMicrosoftがゲーム会社を買っていますよね?あれは、ゲームだけを見据えた動きではありません。
また、Appleは「メタバース」という言葉を使わないと宣言しています。これも、既に市場構築やシェア獲得ためのバトルが始まっているということです。Appleはこれまでの決裁サービスや非接触充電等のように、「Apple VR(仮)」みたいな独自ブランドをまた作ることになるでしょう。

これから数年、ゲームがテクノロジードライバとなる

Meta社を含むこれらの会社は、仮想空間ビジネスという市場でゲームが今後のテクノロジードライバとなると判断しているのです。
テクノロジードライバとはその時代に技術革新を進める牽引役となる業界の事を指します。例えば2000年以前、長らくテクノロジードライバは戦争兵器でした。2000年頃からは携帯電話やスマートフォン、2015年頃からは車や電池がテクノロジードライバとして大きな役割を果たしています。こういった業界で知名度を誇り技術者を抱えることが、市場の波にうまく乗って企業を成長させる事が可能になります。

現在、ゲームで出来上がってきた3DやVR技術が、仮想空間ソリューションとしてビジネスに応用できると各社が考えて先手を打とうとしています。これにより新たな技術が発展しエンジニアを高い給料で雇用できるので、企業の発展にも繋がります。

20世紀からの歴史でこれまで戦争、携帯端末、車と各分野が技術発展に貢献してきたように、これからはゲーム関連技術が今後の1つのテクノロジードライバになる(巨大企業がそうなるように世界を動かそうとしている)という話でした。

まとめ:技術革新よりも社会受容性の醸成

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最初に触れた通り、メタバースは2002年からゲーム業界にありました。それがなぜ、今再びブームになっているかというと、社会が変わったからという点が大きいです。

Covid-19(新型コロナウィルス)でオンラインで仕事をすることへの社会受容性が一気に高まったことと、従来から少しずつ発展していたゲーム業界の技術がマッチすると判断したという事でしょう。

メタバース世界をビジネスで使う課題は、ゲーム要素を仕事で使う社会受容性が進むかどうかが重要だと感じます。画像の綺麗さ等ではありません。

個人的にはゲーム関連技術には昔から興味があったので、ゲーム関連技術がテクノロジードライバになるというだけで今後の世界が楽しみです♪

この記事、2021年の11月から書き始めていたんですが、色々忙しくて半年経ってしまいました(^^;
でも、メタバースがビジネスとして花開くのはまだこれからだと思います!

最後まで読んで頂いてありがとうございましたm(_ _)m
おわり。

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