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【東京五輪】「社会調査」に行ってきました(ワクチン2回接種済み)。「ミッキーより並んでる」場所は?

 「緊急事態宣言」が出ているのは分かっています。しかし、研究者の端くれとして、どうしても実地調査しなくては、と決意し、東京五輪会場の周辺へ行きました。すでに私自身がワクチンを2回接種済みであること、「調査」とはいいながら、誰とも接触しないこと、を考慮した結果です。つまり、社会学の調査で言う「非参与観察」を試みました。

 調査日は、7月31日~8月1日の土日。都心の会場は無観客となり、テレビ観戦では飽き足らない、「リアルな五輪」を求める一般の人たちがどこを目指すのか。メディア報道などを事前に調べた結果、夢の大橋(東京・有明)にある「聖火」と、国立競技場(東京・新宿)の南側にある「五輪モニュメント」を中心対象に据えました。

 聖火はもともと、開会式の会場となった国立競技場に常時展示する場所はなく、夢の大橋へと移すことが決まっていました。大橋は全長360メートルで、幅が最大60メートルもあり、日本一幅が広い歩道橋です。聖火台の周囲は柵で囲っているものの、2,3メートルの距離まで近づくことができました。人込みに紛れて「密」になるのであれば、調査はやめようかと思いましたが、拍子抜けするくらい人はまばらでした。写真だけでなく動画をしばらく撮影する時間まで余裕であり、近くに警備員がいましたが、列をつくって撮影待ちすることもなく、スムーズに調査を終えました。

 続いて、「ミッキーより並んでる」との声が聞こえたのは、国立競技場近くにある五輪モニュメント。ディズニーランドでは確かに、人気者のミッキーマウスと一緒に写真撮影するために並ばなくてはいけません。モニュメントでは日曜のお昼近くで、200人程度はいたでしょうか。写真撮影できるまでに2時間ぐらい待ちそうでした。それでも、自分たちの番がくると、思い思いのポーズをとったり、子供たちは五輪の輪っかの中でちょこんと座ってみたり、皆さんの笑顔がはじけていました。近くには芝生スペースがあり、座ってスタジアムを眺めながら、まったりと五輪の雰囲気を味わう家族連れらの姿がありました。

 誰がコントロールしているわけでもありません。皆さん、ほとんど会話もせず、写真のために整然と並んでいました。ここで感染が起きるなら、日々の通勤・通学の列車はどうなのか。この程度で目くじら立てる人の気が知れません。私の今回の調査場所はおよそ10カ所に上りましたが、いずれも通勤・通学列車の「密」とは程遠いものでした。

 新型コロナウイルスの「フェーズ」が変わってきています。新規感染者はワクチンを打っていない50代以下がほとんどであり、重症患者も減っています。もちろん医療現場を最大限考慮したうえで、対策を打たなければなりません。しかし、「人生で一度きり」というチャンスを十把一絡げにして、無下に奪い去っていいものでしょうか。調査を踏まえて、個々に類型化して、何が最も適切か、そういう考察を試みています。

 

 

 

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