異次元自己中のミニマリスト
ミニマリストのおっさんは
家賃削減のイケイケ持ち物少ない生活をするために
不動産を漁った。
すると月7円の賃貸が見つかった。
早速もろもろを済ませて入居すると、
完全に訳あり物件だった。
というのも、部屋のど真ん中にめちゃくちゃ大きい脳みそがあった。
しかも脳みそはまだ現役で、波打っていた。
これは不動産屋さんには一切聞いていなかったので詐欺のレベルを超えていると思ったが、月7円なら文句を言う資格はないと、
ミニマリストのおっさんは思った。
その辺のシンプルサラリーマンや、モノトーン女子ならば、すぐさま腰を抜かして、這うように部屋を出て、メンタルクリニック直行だっただろう。
しかし、ミニマリストのおっさんは考えた。
こんなデカい脳みそで何かを考えたら、すごい事になるんじゃないかと考えた。
世界のあらゆる問題を解決できるだろう。
しかしこのミニマリストのおっさんはロクな教育を受けてこなかったし、品のかけらもないので、確実にこの大頭脳を持て余した。
ミニマリストのおっさんは瞑想して脳と同期した。
あの巨大な脳が自分のモノのようになると様々な大きな問題をすごい速さで解決に導く選択肢がいくつも浮かんできた。
しかし、ミニマリストのおっさんは品がないので、そういったモノを考えるのはやめて、世界の賢いおっさん達に任せる事にした。
何より好きなように権力を行使できるお前達が全ての責任をとり、自分のケツをふけという、最低な考えになった。
ミニマリストのおっさんは宇宙の真理や天国、地獄など、高尚な事を考えて実際に見たくなった。
そして大頭脳のイマジネーションを爆発させて、今いるマンションの下のフロア全てを地獄にしようと考えた。
大頭脳のイマジネーションは爆速で、閻魔大王の脳にアクセスして、閻魔大王を洗脳した。
そして閻魔大王がミニマリストのおっさんの下の階に地獄ごと引っ越してくる事になった。
ミニマリストのおっさんの大頭脳は賢すぎるが、おっさんは強弱を制御できないので、
考え始めると相手の脳を極端にハックしてしまう。
なので、おっさんには専門家が扱うような地球の課題等は、すごいコントロール力が必要で大頭脳では扱えなかった。
それから瞬く間に時間は経って、
地獄が下の階に引っ越してきた。
閻魔大王は欲張ったので、フロアから地獄はみ出てしまった。
人員も過剰だった。
その地域だけ毎日嵐になった。
ミニマリストのおっさんはイライラしたので、閻魔大王に説教をして地獄がコンパクトになるように断捨離させた。
針を飲むエリアとか、熱い道とかは見てて単純に辛いので、燃えるゴミの日に捨てさせた。
過剰な人員は、身なりをキチンとさせてハローワークにぶち込んだ。
閻魔大王の見た目も怖いし、令和のルッキズムではウケないので、美容室、眉毛サロン、ファストファッション店に通わせて、清潔感あるテストステロン強め系男性にした。
こうして、ミニマリストのおっさんが納得するドリップ系の地獄になった。
元閻魔大王は苦笑いをして、そのドリップ系の地獄を拠点に違う仕事について、適当な嫁をもらった。
ミニマリストのおっさんは日々充実していた。
大頭脳も大晦日のテンションで捨てた。
すごい高尚な事は考えてもちっとも楽しくないし、カロリーの消費が著しかった。
うーん。色々あるけど、シンプルに楽しくなかった。
人間はいくら賢かろうが感情には正直に生きるべきだと、ミニマリストのおっさんは思った。
ミニマリストのおっさんは暮らしが最適化されて毎日楽しかった。
そんなおっさんと、一緒になった元閻魔大王は嫁が毒嫁だったので、大きな買い物荷物を持たされている時に、
ミニマリストのおっさんとエレベーターで会った。
声をかけると、「知り合いでしたっけ。。?」とマジのトーンで言われて途方に暮れた。
元閻魔大王は
「どうしてオレの人生こうなった。」と考えて、夜のみんなが寝静まったリビングの、唯一の自分の時間内にロング缶酎ハイを呑みながら考えた。
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