【アドルノ(遊び?飾り?)】表現力セッション

タンゴのペアダンスの踊りで、特に下肢を使ったリード&フォローにない動きを『アドルノ』と呼びます。
 社交ダンスやラテンダンス系のサルサ・バチャータ・ズーク・キゾンバ)では、そのような全身の動きを「スタイリング」と呼ぶことがい多いようですが、タンゴの場合は「スタイリング」とはほとんど呼ばれていない思います。
 『アドルノ』とは振りの、「遊び」や「飾り」、というスタイリングとは意味合いが少し違うようです。

 音楽での「飾り」に相当するものとして『装飾音』があります。装飾音とは、音を揺らしたり付け加えたりすることによって、音を飾ることであり、メロディーなど「飾っている音」を表します。また、楽譜上に小音符や特別の記号(装飾記号)を使って記載されています。

 『装飾音』が無くてもメロディーは成立しますが、装飾音があると曲がお洒落になったり、その曲が持つ美しさや含まれる感情をより表わされるようになります。そして、その『装飾音』に対して「飾られている音」を『本打音』と言われることもあり、『どっちが主体の音なのか』を認識することが楽曲を演奏する上で大事なこととなります。

 アルゼンチンタンゴは20世紀の世界大戦を経験しなかったブエノスアイレス発祥の踊りのせいか、リーダー(男性)が主体であることが求められるます。そしてフォロアーが目立つスタイリングやシャインが遠慮される傾向があり、その代わりとしてフォロアーに与えられた楽しみが『アドルノ』だったとも思えます。
 ただし、現実にはアルゼンチン・タンゴにもリーダー・フォロアー問わず目立つアクションであるスタイリングやシャインをする場合も決して少なくなく、昔に比べればフォロアーが(女性)がアドルノを超えた振りをすることへの抵抗感は薄れていると思われます。
 個人的には大いにあってい良いと思っている「スタイリングやシャイン」ですが、踊りの主体がリーダー&フォロアーのどちらが担当しているパートなのかで役割が変わってきます。「スタイリング・シャイン・アドルノ」という言葉に取らわれず、主体をベースに考えることが大事だと思います。

 21世紀も中旬になりかけている今では、踊りの中でリーダー・フォロワーの『主体』の入れ替えがあって良いと個人的には思っているので、立場の変化(主体側なのか装飾側なのか)も踏まえてアドルノもしくはスタイリング&シャインを踊ることをお勧めします。また今の時代を踊るのであれば、アルゼンチンタンゴであっても、フォロアーが主体になってバリエーション的にリフを踊れることも、とても大切な踊りの要素だと考えます。

 表現力(エモーショナル)各種アドルノのシークエンスだけを学ぶのではなく、全体に与える影響を考えながらTPOを踏まえられる様、様々な角度からアドルノを実践するセッションを実施しています。


Eleonora Kalganova
https://youtu.be/TjerfT3E6wM

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