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口唇口蓋裂児の授乳と搾乳 aka 乳牛ライフの話

出産後、息子は速攻でNICUに、私はもとの周産期棟に戻りました。
口唇口蓋裂の赤ちゃんは直接母乳がうまく飲めず、基本的に搾乳→口唇口蓋裂児用哺乳瓶であげるので、ほどなくして搾乳ライフaka私って乳牛かな?時代が始まりました。


その後約1年間、日に5〜8回ほど搾乳していたわけですが、あらゆる搾乳器を試した結果、一番早く効率良く搾乳できたのは、片手でおっぱいの乳腺をギューギュー押しながらメデラ社の手動搾乳器を使う方法でした。

病院ではメデラの電動が楽ですよ〜とすすめられたのですが、確かに乳牛さながらに胸に機器を取り付けるだけで搾乳が終わるので素晴らしいのですが、いかんせん胸に負担無く優しーく搾乳してくれるため、時間がかかり過ぎました(約30分)。
対して私の方法は、おっぱいを平らに潰して乳腺をこれでもかと押し、ちくびをできるだけ広範囲に搾乳器にボフッと当てつけ一回の収穫量(?)を上げ、できる限り高速でハンドルをシュコシュコするという、おっぱい的には厳しい環境、しかし赤ちゃんにはより早く(両胸で約20分)母乳をお届けできるスタイルでした。

これを続けた先には、おっぱいの形まで牛になってしまうのだろうと恐れましたが、搾乳を終えて3年、乳の下垂は、まぁそれなりで終わりました。

メデラ社以外の搾乳機も色々試しましたが、ハンドルのグリップの良さや胸当たりの良さはメデラが1番かなーと思いました。(2017年当時です)

オール搾乳で母乳をあげるのは結構骨が折れました。搾乳(20分)→あげる→搾乳器&哺乳瓶洗浄(除菌の液につけるやつ)が1ルーティンになるので、赤ちゃんが泣き出してから搾乳をするのでは遅く、母乳を飲んだ後も赤ちゃんが泣きっぱなしの場合手が離せず、搾乳器をきちんと洗浄する時間が減り、2時間半〜3時間で次の授乳が来るので、夜中も含めてこのルーティンをこなし続けるのはシビアでした。搾乳中は抱っこができないし、搾乳が遅れ、20分近く一人で泣きっぱなしにさせてしまうこともありました(泣)。

外出時もそれを計算に入れて動くので、片道2時間かかった病院通いがとっても大変でした。計算を間違えて、電車の中で最寄り駅までまだ30分のところで時間が来てしまったり。次の駅で降りて、近くで搾乳できるとこを探して、息子はもちろん泣きっぱなしで。

後から思いましたが、おかあさんからの免疫を受け取る産後6ヶ月の期間を過ぎたらそんなに母乳で頑張り続ける必要もなかったかなーと思います。産まれたときに、新生児科の先生に「母乳の方が消化にいいから、搾乳頑張ってほしい」と言われ、ヨッシャーやったんよー!!と気合い入りすぎちゃってました。

おもしろかったのは、赤ちゃんが大きくなるにつれ、ある時急に飲む量に対して母乳量が足りなくなる時が来ます。直母乳の場合は、飲む量が増えるとおっぱいが吸われることで出る量も自動で増えるそうですが、搾乳の場合は吸われてないため、量を増やす指令が出ない。なので、それが来たらとにかく食べる量を増やすとおもしろいように出る量も増えるので、食欲とは関係なくただただたくさん食べました。実際に飲んだ量は毎度記録し病院に提出してたので、もはやアスリートがごとくに母乳量の管理をしていました。

それも限界を迎え、その後緩やかに搾乳量は減り、1歳手前になったら粉ミルクと併用するようになり、搾乳ライフも終わっていったのでした。

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