生理をずらそう

そう思ってスマホでピルを処方してくれる近所の病院を調べたら、若い人にもわかりやすいようにと漫画で薬の解説をしている、ちょっと病院なのにここまでふざけているのはどうなのか、と思うようなクリニックが一番近所かつ予約がしやすかったので、仕方なくそこに行くことにした。

10年くらい前、ピルを飲んでいた。子宮筋腫があるかもしれないと健康診断で言われたのをきっかけに婦人科に行ったところ、子宮筋腫はなかったが、生理不順ならピルを飲めばいいと言われた。ピルと言えば矢沢あいのNANAでNANAが飲んでいた、避妊をしたい女がコンドームをしなくても避妊ができる、ヤリマン用の薬だろうというイメージがあったのだが、実はとても素晴らしいもので、生理痛は緩和されるし、飲み忘れさえしなければ生理がいつ来るのか正確にわかり、数日であれば早めたり遅らせたりすることができる。最高の薬だったのだがその後妊娠、出産があったためピルを飲むのは止めていた。でも当時のすばらしさを覚えていたから、この4連休、子供をプールに連れて行こうと思ったのですぐにまたピルを飲めばいいんじゃん、という考えに至ったのである。

漫画の解説付きのクリニックは池袋で、広い待合室には20代と思われるたくさんの若い女性がいた。短いスカートに生足を剝きだしている女性、冷えない?でも最近の女性って、昔みたいにガリガリじゃなくてもみんな足だしているのね。どうせみんなアフターピル(妊娠しないように性行為後に急いで飲む薬)をもらいにきたんだろうなあという偏見を抱きながら、私は自分が絶対にこの中で一番年長だなと確信していた。

生理をずらすために処方されたのは、前に飲んでいた低用量ピルではなく、プロバノールという中用量ピルであった。これを飲んでいる間は生理が来ません、飲み終わって二日後に来ます、とのことで、はいはいと言って医師ではない若い看護師?と個室でカレンダーを見ながら話をした。そうか、ピルは医師じゃなくてもいいのですね。

この若い看護師からは聞いてないのだが、プロバノールは副作用がすごかった。夜20時に飲んだ翌日、気持ち悪くて目が覚めた。ゲエゲエ言いながら(え、なに!?)と引くくらいの吐き気、そんなことあの人は一言も言ってなかったけどと思って検索すると、かなりの人に吐き気の副作用が出るから、普通は吐き気止めを一緒に処方されるそうである。こんなに気持ち悪いのに生理をずらしたって仕方なくない!?プール行けないだろこんなの。『プロバノール 意味ない』でも検索したが、この吐き気は2~3日で慣れるとのことだった。頭痛薬など市販の薬は飲んでもよいと言われていたので、ドラッグストアにアネロンという酔い止めを買いに行って飲むと、なんとか治まった。薬が効くまでは仕事にならないほどの吐き気だった。10日間プロバノールを飲んだが、結局10日間なんとなく気持ちの悪い毎日だった。それでもう、二度とプロバノールを飲むのはよそうと思った。

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