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最も長いスケール?「スーパー・ウルトラ・ハイパー・メガ・メタ・リディアン」とは?使い方は?

「スーパー・ウルトラ・ハイパー・メガ・メタ・リディアン」とは、天才ミュージシャンであるジェイコブ・コリアーが、以下のインタビュー冒頭で話していた例の概念だ。

ジェイコブ本人は「スケール」(もしくはそういった「サウンド」)として捉えているようだ。
※以下、ジェイコブ自身の考えとは異なる可能性が多分にあることを十分にご承知おきください。あくまでも私自身の見方です。

・「スーパー・ウルトラ・ハイパー・メガ・メタ・リディアン」とは?

「スーパー・ウルトラ・ハイパー・メガ・メタ・リディアン(Super Ultra Hyper Mega Meta Lydian)」(以下、SUHMMLと呼ぶ)は最後に「リディアン」と付いているようにリディアンの派生スケール(?)だ。
以下の画像はCを起点としたSUHMML。

SUHMMLとは、そもそもどういうものなのか。
まずは、CリディアンスケールからできるコードにCmaj13#11がある。このコード自体はジャズなどでも頻繁に使われるコードで、構成音はC, E, G, B, D, F#, A だ。
楽譜で見ると、以下のような法則が見いだせる。

C, Eの音程は長3度(M3)で、E, Gの音程が短3度(m3)だ。
画像のように、下からM3→m3→M3→m3→M3と続いている。
この流れのまま、続けていったらどうなるだろうか?
以下の画像のように、上へ続いていく。

結果的に、Cmaj7の上にDmaj7、その上にはEmaj7と続いていくことに気づく。その後も、全音上のmaj7コードが上にどんどん連なっていく。F#maj7、G#maj7、A#maj7というように。
つまり、Cから始めると下から上に6つのコードであるCmaj7→Dmaj7→Emaj7→F#maj7→G#maj7→A#maj7が構築される(A#maj7の次はCmaj7で元に戻る)。

次に、それぞれのコード上にリディアンスケールを当てはめていく。
C Lydian → D Lydian → E Lydian → F# Lydian → G#Lydian → A#Lydian
この連なるスケールを楽譜で表したのが最初の画像だ。
もう一度貼り付けておく。

ジェイコブ曰く、「これこそがまさに”リディアン”のサウンド」だそう。
複数のスケールを組み合わせているという点で、『Twentieth-Century Harmony: Creative Aspects and Practice (Vincent Persichetti著) 』 で説明されているマルチオクターブ・スケールの一種(複合スケールのようなもの)にも思える。

・どう使えばいいのか?

極端な例として、仮にC起点のSUHMMLを使うならば、Cmaj7、Dmaj7、Emaj7、F#maj7、G#maj7、A#maj7の6つのコード全てを鳴らす、といったようなものになるのだろうが、これでは使いにくくて仕方がない。以下の2つの使い方が妥当だろう。

1.Cmaj7の上にDmaj7を構築するポリコード的な使い方
これは、ジェイコブも偶にピアノの即興などで使っているように思う。
ただ、「Cmaj7とDmaj7だけではそもそもSUHMMLとは言えない」と言われたらそれまでだが・・・。

2.単純にスケールとして使う
上に広がっていくスケールとして使う方法もある。これが一番使いやすいだろう。上記のポリコード上でスケールを展開してみるのもいいかもしれない。

・まとめ

SUHMMLの使い方などについては、実際にインタビューの動画でもあまり触れられていないので、正直、未知の領域だ。
そもそも上で話したマルチオクターブ・スケールでさえ、ポピュラー音楽で使われることがほぼないため、このSUHMMLもポピュラー音楽における使われ方はかなり限定されてくるだろう。

実際に使うかどうかは置いておいても、一つの興味深い考え方であることは確かだ。これに刺激を受けて、音楽に対する見方が、また新しく一つ加わったのではないだろうか。

※今回この記事を書くにあたって、以下の動画の考え方を参考にしたので、動画のリンクを貼りつけておく。

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