なぜ今の時代、会社にVisionが求められているのか?

Web業界で働いていると日々あのスタートアップ企業が「○○億円調達した!」みたいなニュースが飛び込んできます。そういう会社は面白いサービスをやっているので気になってサイトを見ると、かならずカッコいいVisionがサイトに大きく掲載されています。

例えば最近知った一番気になっている企業、L&Gグローバルビジネスさんを見るとこんな文言が。

ITとクリエイティブの力で日本を3ミリ面白く

Re-light/write the world

L&G GLOBAL BUSINESSはホテルという箱を通して新しいライフスタイルを提案する企業です。

2015年4月、北海道・富良野の小さなペンションから生まれたこのホテルスタートアップは、街の空気感を織り込むこと(=LOCAL)、出会いの生まれる場となること(=SOCIAL)、ジャケ買いされる空間であること(=VISUAL)をコンセプトに掲げ、国内各地に新しいホテル・温泉旅館の形を提案してきました。

ホテルは、不思議な箱だと思います。ベッド1つで世界中から旅人を呼び込み、夜を明かさせ、また新しい土地に送り出す。私たちはその価値が見落とされている土地にホテルという箱を作ることで、再びその地に明かりを灯し、街の未来を書き換えていく、そんな価値を生み出す企業であり続けます。

ITとクリエイティブの力で日本を3ミリ面白く、街角から世界を変えていくささやかで力強いホテルスタートアップです。

言葉に謙虚さと力強い意思を感じさせる文章です。

凄く有名どころで言えばGoogleの「Google の使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすることです。」とか、NIKEの「BRING INSPIRATION AND INNOVATION TO EVERY ATHLETE IN THE WORLD」みたいなのもVisionと言えるかと思います。

こういうVIsionってなんで必要なんだろう?というのが今日のnoteのテーマ。時代の変化に伴う企業の役割から、Visionの必要性について考えてみました。

まずは私が考えている結論から

日々の暮らしに必要な製品・サービスが十分出揃った現代社会において、「何か製品を作る」という様な昔ながらの企業活動に意味はなくなり、企業活動を通じてどう社会に影響を与えようとしているのか?という姿勢を示さないと「企業」という形態に存在意義が無いから。

だと思っています。

先進国に住んでいる私たちは、生きる上で必要なものを生まれた時から既に全て持っています。衣食住は勿論のこと、スマホ、車などの移動手段(都心は公共交通機関)みたいな、現代社会を生きる上で必須の物はそれこそ生活保護を受けている人でも殆ど持っているんじゃないでしょうか?

そんなモノが溢れる時代に、企業は必死で製品のアップデートを繰り返します。スマホのカメラの画素数が増えたり、家電製品がスマホでコントロールできます!なんて新製品が発売されますが、こういうアップデートって本質的には「必要ない」ですよね。

別にカメラの画素数なんてこれ以上増えても人間の目には違いが認識できないし、スマホで「外出先から洗濯機が操作できます!」なんて誰が必要としているんでしょうか?誰も必要としてないでしょ。

私はもともとアパレル業界にいたので「今年の流行色」というものが、インターカラー(国際流行色委員会)という国際的な組織が発表する事によって作り出されているのを見ていましたし、同じ形の服を「チョッキ、ベスト、ジレ」と名前を変えてなんとか売ろうとするアホらしさを知っています。

こういうの、ぜーんぶ何にも意味無いです。

「今年の流行色はこれ!」なんて、一つの組織が勝手に発表しているのを皆がありがたがって追いかけているだけだし、洋服なんて自分の好きな色のを着ればいいいのに。バカバカしい。
※あまりアパレル業界にいい思い出がないので私怨がこもった文章になってしまいました。

もう十分にモノがあるのに更に「新しいモノ作りました!」って、なんなら地球環境に負荷をかけて無駄なものを生み出す悪い行為ですよね。

だからこそ「なぜやるのか?何を成し遂げたいのか?」を消費者にきちんとメッセージとして伝える必要性が高まっているのだと思います。

社員にとってもVisionの共有は大切

今までは消費者の視点で企業にとってのVisionの必要性について考えてみましたが、採用という観点からも考えてみます。

働かなくても食べていける時代になぜ働くのか?

AIだー!ベーシックインカムだー!なんて日々いろんなところから聞こえてきますが、何度も書いている通り、先進国においては既に人間が必要な衣食住が揃っています。例えば世界中に輸出するほど生産力の高いアメリカで、どれ位第一次産業に関わっている人がいるんでしょうか?

一次産業→1.4%
二次産業→19.7%
三次産業→78.9%
出展:帝国書院
https://www.teikokushoin.co.jp/statistics/world/index05.html

※一次産業は農林水産業、二次産業は工業、三次産業はサービス業ですね。

第一次産業に従事しているのはなんと1.4%だけ。

つまり「生きる」事に直結する食糧生産に携わっている人はたった1.4%しかいないという事です。しかも、それで世界中に食料品を輸出しているんだから、どんだけ生産性高いのよ??という感じですね。

極論言えば、私がやっている仕事なんて無くてもいい

全人口のたった数パーセントで食糧生産が担えるなら、あとの多くの仕事は「別に無くてもいい仕事」になります。勿論、工業も大事だし、インフラや医療、公共の安全を保つ仕事など、大切な仕事は他にも沢山ありますが、人間が「生きていく」という事にフォーカスすれば、かなりの仕事は「無くてもいい仕事」になります。

そういう時代にも関わらず、私たち現代人は、衣食住がきちんと整っていなかった昔よりあくせく働いていたりします。便利になればなるほど首が閉まっていくような感じ。これって、なんなんでしょうかね?
誰か「てか、もう皆が働かなくてもよくね?だって、必要なもの十分あるし、食料ちゃんと配ればそれでいいじゃん。」って言いだしても良さそうなものです。

そんな時代だからこそ、会社は社員(求職者)に対して「なぜ働くのか?どこを目指しているのか?」を伝える必要性が高まっていて、時代の空気に敏感なスタートアップ企業はどこもかっこいいVisionを掲げているのだと考えています。

おわり。

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