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永遠の命―Project 2501―

永遠の命は可能か。

そんなテーマについて様々な分野の研究者たちが持論を語る。
そんなドキュメンタリー番組を深夜のBS放送で偶然見たのは自分が中学生の時だった。1995年~1996年くらいだろうか。

医学、生物学の研究者たちがこぞって、不老不死がいかに「不可能か」を語る中、唯一「可能」と断言していたのがコンピュータサイエンスの研究者だった。

人間の脳を正確に再現した人工知能を作ることで、その人間の記憶や意識までコンピュータの中で再現することができる。そんな肉体の老化から解き放たれた生命は「永遠の命」そのものである。

3人称視点の3D仮想空間で走り回るアバターの映像を得意気に見せながら、そのコンピュータサイエンスの研究者は意気揚々と語っていた。

この番組が当時中学生だった自分に与えた影響は大きかった。
医学部を目指す同級生たちが周りにたくさんいる中、自分は情報系の大学に進み、結果的にAI研究の道には進まなかったけど、いまはゲーム会社で働いている。

「あなた達のDNAもまた自己保存の為のプログラムに過ぎない。生命とは情報の流れの中に生まれた結節点のようなものだ。種として生命は遺伝子としての記憶システムを持ち、人はただ記憶によって個人たる。たとえ記憶が幻の同義語であったとしても、人は記憶によって生きるものだ。コンピュータの普及が記憶の外部化を可能にした時、あなた達はその意味をもっと真剣に考えるべきだった。」
PROJECT 2501 ―GHOST IN THE SHELL―

最近、一般レベルで注目を集め始めているOpen AIのChat GPTや生成系AIのトレンドを見ていると、30年近く前に見たドキュメンタリー番組や、青春時代に見た攻殻機動隊やマトリックスやマイノリティ・リポートなんかのSF映画のことを思い出して、懐かしい気持ちと、ついに来たかと、ちょっとワクワクした気持ちになる。

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