機械系工学部出身が海外大学院オンラインCS課程合格のためにやったこと全て
2021年4月から2022年3月にかけて約1年間準備し、海外大学院オンラインCS課程へ出願、二校に合格しました。
受験の過程で多くの記事を拝見し合格に漕ぎ着けたので、私も記録を残しておきたいと思いこちらの記事を作成しました。
はじめに
本記事では、海外大学院オンラインCS課程出願のために必要なものをどう準備したか?のみに焦点を当てます。本記事で言及することは以下3点です。
TOEFL
Admission Criteria
出願書類
なぜ海外大学院か?なぜオンラインか?CSか?などには言及しません*1。
海外大学院オンラインCS課程の大枠に関しては、現在手に入る情報を極めて網羅的にまとめてらっしゃる方がいらっしゃいますので、それらを参照ください。二次情報だけでなく、ご自身で公式の情報を確認されることもまた強くお勧めしておきます。
About me
東京大学工学部で航空宇宙工学を専攻しました。卒業後は航空会社で電気電子系のメカニックとして約1年半働き、その後転職しデータ系のエンジニアを約2年半しています。
出願先
2021/3-4月頃に、自分の学びたい内容に沿って候補の41コースをリストアップしました*2。その中からOnlineという形式であるため、コース内のコミュニティが活発かどうか、コース設計が十分成熟しているかどうか、学費、の3点を中心に評価し以下3校の出願先を決定しました。主にこのリストアップと評価判断にはRedditと各校のHP、ランキングサイト、SNS、ブログ記事などを活用しました。
Georgia Institute of Technology, Online Master of Science in Computer Science
2022/04/04 合格
UT Austin, Master of Science in Computer Science Online
2022/05/27 合格
University of Illinois Urbana-Champaign, Online Master of Computer Science
未出願(出願前にGeorgia Techの合格を受け取ったため)
1. TOEFL
戦略
TOEFLのRequirementはそれぞれ100/79/103でした。過去記事及びRedditを参照し、Requirementを満たすことが必須ではないと判断したことから、目標点を100に定めました*3。90以上を取得した場合は、次章に述べるCSのRequirementを満たすためにそちらに重点を置く予定としました。
普段から業務を英語で行っていることもあり、試験慣れを最優先にしてTPOと実試験を繰り返すことにしました*4。繰り返しているうちに、以下のような自分なりの戦略を編み出し改良を加えていきました。
私が受験を始めたときにはCOVID-19のためTOEFLを自宅で受験することが可能であり、一般的なTOEFL受験の際のテクニックが必要なかったことも記しておきます。
経過と結果
2021/05/16 86 (R26 L22 S17 W21)
2021/07/04 93 (R28 L24 S19 W22)
2021/07/25 99 (R27 L28 S20 W24)
2021年5月からTOEFL対策を開始し、三回目の7月に99を取得して受験を終了しました。
2. Admission Criteria
戦略
学部がCS課程ではなかったので、各校が定めるRequirementをどう満たすかに大半の時間を使いました。非CS系学部出身としては、出願用件の中で最も重要なセクションと考えます。
最初は自分にどの部分が不足しているのか全体像をつかむために、各校のRequirementを一覧にまとめ、自分が学部で履修した単位を大学からシラバスと成績表を取り寄せて確認しました。すると工学部で受講した数学やプログラミング、電気工学・工作系の授業が半分ほどの要求を満たすことがわかったので、残りの足りない部分をMOOC/資格を受講し補うことにしました。
受講したMOOC/資格と受講期間
Introduction to Object-Oriented Programming with Java, Georgia Tech (2021/06-11)
Data Structures and Algorithms, Georgia Tech (2021/12-2022/02)
Machine Learning, Stanford (2022/02)
AWS Cloud Practitioner (2022/02)
Georgia Techで指定の講座があったことから、足りないと思われる部分はそれを受講しました。Machine Learningは過去に受講していたのでCertificationをもらうために受け直しました。余った時間でAWS Cloud Practitionerを受けました*5。
それぞれコースとして5-6ヶ月分の分量があり、2021年後半から業務が忙しくなったこともあって時間のやりくりが大変な日々が続きました。元々は2021年中にMOOC関係を終わらせるつもりでしたが2022年までずれ込み、次章の出願書類を同時並行で進めざるを得ませんでした*6。
3. 出願書類(CV/SOP/Recommendation letter/Transcripts & Supplemental Materials)
戦略
全体を通じて指示があるのでそれに従うのが大前提でした。その上で、以下二点をメインに主張することを意識しました。一点目は主にSOPで、二点目は推薦文やTranscript, Supplemental Materialsを通じて印象付けるように作成しました。
「自分は大学院レベルのCS課程で勉強する必要がある」
「自分は厳しい大学院の講義についていくことができる能力がある」*7
出願書類は全体で上記二点の主張をするもの、と考え、散りばめたキーワードを以下のように互いにリンクさせることを意識しました。
CVで大まかな経験を列挙し、
SOPでその経験のつながり(ストーリー)を語り、
推薦文で客観的な評価を与え、
Transcriptで定量的な評価を付け加え、
Supplemental Materialsで主張が足りないと思う部分をサポートする
特に推薦文については、自分で作成するか推薦者に書いてもらうかは議論が分かれるところとは思いますが、個人的には「一貫性」という点において自分で内容をコントロールすることはMUSTと考えます。
作成は2021年12月から2022年3月にかけて、CV作成->推薦文下書き&推薦者と内容すり合わせ->SOPの作成、の順で行いました。DeepLとGrammalyを使いながら作成し何人かに見せて修正、最後に添削をこちらのサービスに依頼しました*8。
CV
2021年12月に作成しました。学業、職業及び課外活動に関して、CSに関連する事実のみを列挙することを心がけました。どこを強調して記述したいかを意識して分量及び配置を考慮しました。
推薦文
2021年12月に依頼を始め、出願直前の2022年3月まで継続して取り組みました。3通の推薦状は、大学時代の指導教員、現職のマネージャー、現職のチームリーダーにお願いしました。自分が下書きからほぼ全て書いたものもあれば、書いて欲しい内容を具体的に伝えたケースもありますが、三者とも推薦状の希望の内容を伝え調整させていただくことができました。忙しい中快く引き受けていただき、本当にありがとうございました。
大学時代の指導教員の方の推薦文は「自分は厳しい大学院の講義についていくことができる能力がある」ことの証明に対して特に重要と考え、一番最初に着手しました。CV及びSOPで言及する内容(卒業研究など)について具体的に詳細に記述し、定量的な評価を書いていただくことを意識しました。
SOP
2022年2-3月に取り組みました。SOPでは答えるべき問いが与えられているためそれにまず答え、その上で以下のようなストーリーを語ることを意識しました。
過去>現在>未来をつなげて「自分は大学院レベルのCS課程で勉強する必要がある」を説明する。
過去どんな経験をしたか。その経験がどのように現在、未来につながっているか。
現在はどんな課題を感じているか。なぜその学校が自分の課題を解決するのにベストなのか。どの講座がそれに当てはまるのか。
課題を解決した先にある未来は何か。
定量的な数値(GPAや授業の評定)を用いて「自分は厳しい大学院の講義についていくことができる能力がある」を証明する。
最初は何を書くべきか悩み筆が進まなかったため、書き始める前に、こちらの書籍を読みSOPに対し一般的に何が求められているのかを学びました。また各校のシラバスを読んで興味がある講義をリストアップしました。また特に受講したい講義の情報を各校のHPやコース評価サイトを見てできるだけ集めました。
下書きを書いて人に見せ、フィードバックをもらい修整することを繰り返しました*9。
Transcripts & Supplemental Materials
出願直前の2022年2-3月に取り組みました。
成績表はGPAが記載されていませんでしたが、「勝手にGPAを換算するな」との指示があったので特に外部に依頼などはしていません*10。講義の英語名が曖昧なものが多くあったので*11、CSに関連した講義/Requirementに挙げられていた内容を含む講義をリストアップし、簡単な説明をつけた文章を用意しました。また証明のために、学校から取り寄せたシラバスを英訳して添付しました。
取得したMOOCのcertificationを、簡易な説明と成績を記載した文章とともに提出しました。
またHackathonで表彰され大学のHPに載ったことがあったので、その英語サイトのPDFを添付しました。
おわりに
第一志望であったGeorgia Techへ進学します。
最初はCS系の学部出身でない自分が合格することができるのだろうかと悩みましたが、対策を進めるうちに少しずつ前に進むことができました。Admission Criteriaを満たしたとはいえ、全く足りていないことを自覚しているので、継続して出来るだけの準備をして過ごしています。
Georgia Techは自分が大学生の時に初めて訪れた大学で、まさかそこの学生になれるとは不思議な縁と喜びを感じています。これから大変な毎日が始まると思いますが、とてもとても楽しみにしています。
この記事が、私のように出願を検討している誰かの役に立つことがあれば幸いです。
*1 需要があれば書きます。
*2 この作業は自分にとって何がベストかが違うために、どなたも必須だと思います。
*3 あくまでも自己責任です。
*4 TPOについてはご自身の責任で調べてみてください。
*5 AWS Cloud Practitionerは正直ほぼ合否に関係ないのではと思います。
*6 本来であればコンピュータアーキテクチャ系の講座を追加で受講したいところでした。
*7 Onlineで比較的容易に出願できるためか、出願を始めると繰り返し「これは大学院の学位で厳しい」といった記述が見受けられました。
*8 内容の添削も依頼しましたが添削者によってクオリティのばらつきが大きかったため、言い回しの添削のみで良いかもしれません。
*9 特に妻からは、忖度のない辛辣ではあるが大変有意義なコメントを頂きました。お付き合い頂きありがとうございます。
*10 自分で換算したところGPAは3.35でした。
*11 日本の学校ではありがちだと思います
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