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『仕事の未来×組織の未来 - Work without Jobs』から考えたこと

『仕事の未来 × 組織の未来 新しいワークOSが個人の能力を100%引き出す』出版のお知らせ | マーサー (mercer.co.jp)
こちらの本、何度か読み返すと同時に、ソリューションベンダーにお勤めの20代、30代の方々とこの本に書かれていることも含めて話す機会を得て、これからの人材Marketplace機能が備えるべき重要なアイテムに「信用創造機能」があるように思えてきました。

ジョブが分解されてタスクレベルで捉えられるようになると、必要なスキルやコンピテンシー、知識がタスク単位で要件化され、ヒトはそのタスクを遂行する(完遂する)ためのスキル、コンピテンシー、知識を問われるようになります。
ジョブを単位として、ジョブとヒトを結びつける考え方がこれまでの雇用関係であったとすると、こうしたタスクレベルでのマッチングは都度契約するような形に移行していくのではないかと考えます。そこでは、スキル、コンピテンシー、知識(以降、これらをまとめてスキルという言い方にします)などヒトが自身に蓄積している「スキル」を表現し、可視化し、タスクで必要なスキルと自分のスキルをやり取りできる、すなわちヒトが自身のスキルを取引可能な市場が必要になります。それがマーケットプレイス(市場)機能が社会に実装される必要度を高めていく理由になると考えています。
こうしたマーケットプレイスではスキルを単位とした結びつきになっていくので、スキルに「流通価値」が与えられる必要があります。スキルに関する信用情報が大事になる。
・どこで取得したのか?
・どんな機関が認証しているか?
・そのスキルについて誰がコメントしてくれるか。
特に最後の第三者からのコメントはこれからの時代はとても重要性が増すでしょう。
このコメントの信頼性(信憑性)はブロックチェーンのように信頼性の連鎖で保証される世界で、この機能を持つマーケットプレイスソリューションにはスキルを持つ様々なヒトが集まるようになり、そこでは相互に繋がった信頼できる情報(口コミとも言えるかもしれません)が「流通価値」を生み出し、保証する世界が実現されていくからこそ、タスクを必要とする組織(主には企業)もまたジョブ単位からタスク単位でのスキル保有者に確実にアプローチすることが出来るようになる。
この世界では組織は長期視点での育成やキャリア形成に責任を持てなくなる(提供出来なくなる)ので、自ずとヒトは自分自身で、主体的にキャリアの方向性を見定め、タスクを通じスキルを獲得し、あるいは将来のタスクのために学ぶ行動を起こすことも求められます。
組織にも、これまで以上に科学的にタスク完遂に求められるスキル情報を表現する必要が高まります。曖昧な要件ではマッチングが成立しなくなって、未充足状態を解消できません。

スキルが通貨になる時代がいずれやってくると考えますが、一方社会の変化は漸進的で一気にこのような世界に進むとは思っていません。
ただ、こうした変化の芽はすでに起こり始めているという認識で、そうなったときのヒトとタスクの関係をどのようにマネージメントしていくのか?この点を企業の人事間でも議論していきたいポイントです。

※兼業、副業、複業の流れはこのマーケットプレイス機能の必要性を示唆していると考えます。

このマーケットプレイスが立ち上がることはシニア層にもポジティブだと考えます。長年蓄積してきたスキルをアップスキルしながら、新しい働き方(例えばwork from home)とセットになってタスクを引き受けやすくなったりもする。ライフ&キャリアの充実という点からもフルタイムばかりの働き方ではない、そういう多様な働き方とも相性がいい仕組みだと思ったりもします。

このマーケットプレイス機能を提供できるプラットフォーマーは誰になるのか? ここも興味深く、議論が様々ありそうです。

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