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チームへのRECOGNITHIONが高めるビロンギング感

 DE&I推進やエンゲージメントを高めていく上で欠かせないものとして「ビロンギング」が注目されてきています。「ビロンギング」の定義はネットで検索すればいくつも出てきますが、概ね「組織やコミュニティの一員として、自身の居場所があると感じられる状態(結果/outcome)」を示す概念として説明されています。
 この「ビロンギング」の高低がエンゲージメントにも影響すると言われていて(※1)、私自身は高いエンゲージメントを維持するならば、メンバーのビロンギングの気持ちを高めることが重要なのだと理解するに至りました。
※1 GLINTの調査レポート
 Why Belonging Is Important at Work: Employee Engagement and Diversity | Glint (glintinc.com)
 このビロンギングという言葉を日本語に訳すと帰属意識、帰属性とかになるのだと思いますが、私は従来日本語で言われてきた帰属意識とビロンギングはちょっと違うような気がしています。これまで日本語の帰属意識には組織に従属させる、忠誠を求める感が漂うように私には感じられる一方、ビロンギングは上記の定義にもあるように、自分自身の選択の結果としての帰属意識であって、誰かに強制されているような従属的な帰属意識ではないと思うのです。
 つまり、「この組織やコミュニティの一員であること、ここに自分の居場所がある感じていて、そこに属していることを自らも選択している」という主体的な思いが根底にある。”主体的な思い”の強さこそがこのビロンギング感情の高低になると考えると、どのようにしてこの”主体的な思い”に働きかけるか?というのが課題になってくると考えます。
 その解の一つは、チームの認知(Recognition)を高めることではないでしょうか?これは、最近、他部署のマネジャーの方とのやり取りする中でふと思うに至った点です。組織が持続的に高い成果を上げていくためには、パフォーマンスマネジメントのプロセスでメンバーへの目標設定とその進捗管理するだけでは十分ではなく、メンバーがチーム(組織)の目標達成のために自律的に協働していくような関係性の強化も重要になってくる。そのような関係性を構築していくにはチームのメンバー一人ひとりが「このチームの一員であることに誇りを感じている状態」が重要で、これは組織対組織の関係におけるRecognitionによってもたらされるものかもしれません。
 個人に対するフィードバックはある種のrecognitionとして個人のモチベーションを押し上げます。同様に、組織対組織の関係性においても、チームが受け取るRecognitionはその組織メンバーのモチベーションを押し上げる持続力が強いのではないかと思うのです。特に、後からチームに参画したメンバーにとっては、そういう高いRecognitionを得ているチームの一員になったのだ!という感覚は「ああ、このチームの一員でよかった!」というビロンギング感を実現し、さらにそこから「このチームの一員として自分もより良い貢献をしたい!」という動機も生み出すように思えます。他にも、「メンバーの誰々が頑張っているからもっと自分も頑張ろう!のような「切磋琢磨」の風土醸成や「One for all, All for one」のような意識も高くなっていく。
 マネジャーがチームメンバー一人ひとりに対してフィードバックを通じて働きかける以外に、マネジャーは自身のチームの認知度(Recognition)や評判(Reputation)を組織間で高めることを通じてビロンギング感を向上させていくことができる。そのために自分のチームの諸活動についてタイムリーに発信していくこともこれからのマネジャーの役割として重要になっていくように思います。分かりやすく言えば、自分のチームについて「評判」が起こるくらいに積極的に発信していくことと言ってもいいかもしれません。
 自分達の仕事を経営陣や関係する社員に発信していくことは簡単ではないかもしれませんが、これからのマネジャーからの発信は自身のチームメンバーに対してのみならず、チームに関係する周囲の組織と仲間に対しても積極的に行っていくことが期待されるのではないでしょうか。


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