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太陽の熱を取り入れる m値とは?

太陽の熱、日射熱と言います。冬でも天気が良い日は、ポカポカします。太陽の光エネルギーは大きいので、日当たりが良い家はポカポカしますし、日当たりが悪い家はぜんぜん暖かくなりません。家の性能として断熱性能は重要ですが、それと同じくらい、日射熱をどの程度取り込むことができるか?できないのか?というのも重要となってきます。

「うちの家は日当たりが・・・」とか言う人がいます。言葉どおりに捉えると、家の屋根や壁に日がどの程度あたっているのか?ということになりますが、「うちの家は日当たりが・・・」と言う人のほとんどが、(細かい話ですが)日がどんだけ部屋の中に入ってくるのか?と言っています。

そう、ここでいう「日当たり」が、次に説明するm値そのものです。

なお、断熱性能を表す指標としてq値というのがあります。q値については次の記事を参考にしてください。

単位日射強度あたりの日射熱取得量 m値

太陽が当たった時にどのくらい家の中に日射が入ってくるのかを表す指標が、単位日射強度あたりの日射熱取得量で、m値といいます。

日射熱取得量は、言葉を分解すれば、「日射によって入ってくる熱」となります。ギリギリ理解できますね。一方で、単位日射強度あたりの・・・の意味は難しいです。

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家の中に入ってくる日射熱は、晴れている日とくもりの日では違います。当然、晴れの日の方が多いです。家の性能を表す場合、入ってくる日射熱がどれくらいか?を議論しても、それが晴れの日なのか、くもりの日なのかによって、かなり違います。

「部屋にどのくらい日射が入ってきますか?」という指標にしようと思うと、天候によって左右されると何を議論しているのかわからなくなるので、同じ日射の強さに揃える必要があります。

日射量 正確には・・・水平面全天日射量

では、日射の強さとは何でしょうか?日射を測る技術は実は昔からあります。特に、農業をやる人にとっては、明日晴れなのか?雨なのか?はとても重要です。日射を測るには例えば次のような日射計を使います。

日射量の単位はW/㎡(ワットパー平方メートル)です。地面1㎡に降り注ぐ日射の量です。W(ワット)はエネルギーを表す単位ですが、日射は光(正確には電磁波)のエネルギーなのでワットで表します。これは正確には水平面全天日射量と言います。日射計を水平に設置して測った値だから水平です。「全天」については少々難しいのでまたの機会に紹介します。

単位日射強度あたりの・・・

この日射量が 1 W/㎡ だった時にどのくらい家の中に熱が入ってくるのか?を表したのが、先ほど紹介したm値となります。

m値。単位日射強度あたりの日射熱取得量。ここの単位とは、難しく書いてありますが、1っていくことです。単位日射強度とは日射が1の時の・・・という意味です。日射量が1の時にどのくらい日射による熱を取り入れることが(取得)できるか?という指標なので、「単位日射強度あたりの日射熱取得量」となります。

単位は?(難しめ)

この単位日射強度あたりの日射熱取得量の単位、単位は物理を扱う上では非常に重要なのです。少し難しいので、ここまで触れませんでした。

単位日射強度の単位は先ほど説明した通り、日射量のことですから、単位は W/㎡、日射熱取得量は結局は熱の話をしているのでWです。ということは、単位は、W/(W/㎡) ???? ワットパーワットパー平方メートル となります。何かの呪文みたいですね。WとW、なんで2回もでてくんの?となります。少しカンの良い人は、消えるやん!㎡でいいやん!となりますね。

でも、2回出てくるW(ワット)はそれぞれ意味が違います。正確に書くと、太陽の光(電磁波)による熱のW / ( 家の中に入ってくる熱のW / ㎡ ) みたいになります。エネルギーという意味では同じじゃないか?とツッコミたくなりますが、ここでは、区別して書く方が後々理解しやすいため、そうすることにします。

まとめ

ここでは、日当たりを表す指標、m値(単位日射強度あたりの日射熱取得量)について解説しました。

住宅を設計する上で、その家の日当たりを知るということは非常に重要です。m値を知ることで、この家の日当たりが一般的に良いのか悪いのかが判断できますし、さらに、日当たりを良くするためにはどうするのか?というように、より良い設計をするための指標になります。ぜひ、設計をする時にはm値を計算・意識するようにしてください。

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