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エアコン(1) ~ヒートポンプ基礎~

割引あり

今年(2013年)の夏はとても暑かったです。連日、猛暑でした。外に出ると、暑さにやられて、何をする気にもなりません。

猛暑日でなければ、暑さの原因は強い日差しで、外の温度は意外と涼しい場合があります。外が涼しいのであれば、徹底的に日射を遮り、風を取り入れて室内を涼しくすることもできます。しかし今年の夏のように、連日猛暑日が続き、外の空気が40℃近くまで上がるような場合は、エアコンをつけるしかありません。

夏の冷房に欠かせないエアコン。今回、エアコンの仕組みについて説明を行ないたいと思います。

ヒートポンプ

種類

エアコンは、ヒートポンプ技術を利用した空調機です。

ヒートポンプの種類

ヒートポンプ技術については後ほど詳しく説明します。ヒートポンプ技術を使って温めたり冷やしたりする設備はエアコンだけではなく、例えば、商業用ビルなどでは天井埋め込み式のビルマルチエアコン(通称、「ビルマル」)が有名です。他にも給湯用の温水を作ることに特化したCO2ヒートポンプ(エコキュート)や、冷却水を作ることに特化した主に商業用の大型ビルで使用されるチラー、建築物以外ではカーエアコンなどに、ヒートポンプ技術が使われています。

低い温度から高い温度へ熱を伝える

ヒートポンプは後述するように低い温度の空気や水(冷媒)から高い温度の空気や水(冷媒)に熱を移動させる技術です。熱を与えるあるいは熱を取り去る側の物質として、空気の場合と水(冷媒)の場合の2種類に大別されます。

ヒートポンプによる熱の移動

エアコンの呼び方

エアコンは、様々な呼び方がありますが、JIS(日本産業規格)では「ルームエアコンディショナ」や「エアコンディショナ」と呼ばれます。また、古くは、エアコンは冷房専用だった時代の名残で、クーラーと呼んでいましたし、今でもそう呼んでいる人を見かけます。今回の説明では、特に断りのない限り「エアコン」と呼ぶことにします。

ヒートポンプ技術とは

次にヒートポンプ技術について説明したいと思います。

ヒートポンプと暖房・冷房

エアコンは電気の力で暖冷房します。ヒートポンプ技術が無かったら、例えば電気をそのまま発熱させることで暖房することができます。

しかし、単に電気を発熱させるだけだと、暖房しかできません。また、後述するように、電気を単に熱に変換するのは非常に効率が悪い方法です。

ヒートポンプ技術は電気を直接、熱に変換するのではなくて、電気を使ってポンプを回し、そのポンプによって熱を動かす技術です。熱を動かすポンプなので、「ヒートポンプ」と言います。

ヒートポンプによる熱の移動

室外から室内に熱を動かすと熱が室内に入ってくることになりますから暖房をしていることになります。逆に室内から室外に熱を動かすと熱が室内から出ていくことになりますから冷房をしていることになります。ここで重要なのは、熱がどこかに消えたり、生み出されたりしているわけでは無いということです。暖房の場合は外から内に熱を運んでいるだけですので、言い方を変えると、暖房時は同時に室外を冷房していることになります。冷房時も同様に、室外を暖房していることになります。

おそらく、暖房している時の室外機から冷気が吹き出されている、あるいは冷房している時の室外機から暖気が吹き出されているのを体験したことがある人もいるかと思います。

それでは、なぜ、ポンプの力で熱を自由に動かすことができるのでしょうか?ここで一つ、思考実験をしてみたいと思います。

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