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ゲームシナリオは時に映画的であり時に舞台劇的でもあると思った話

 ツイッターのTLで、漫画などのプロットやネームづくりの話題を見ました。

 ぼくが『カスタムロボ』というゲームでシナリオを書いたときは、映画の脚本の書き方をすごく参考にしましたね。たぶんゲーム制作でもごく普通の手順だと思いますが、プロットの次に、映画やドラマでいう「箱書き」をつくってシナリオの基となる設計図にしました。

 映画・ドラマの箱書きとは、ストーリーの流れを「場面」単位で区切って内容を簡単に記述した“箱”を順番に並べた設計図のことです。なぜ場面単位かというと、劇中でどんなロケ地またはセットが必要かがすべて明確になるからです。逆にいうと、これが先にわかってないと撮影は始められない。

 ジャンルや予算にもよるでしょうけれど、ゲームづくりも同じです。『カスタムロボ』のシナリオモードにも、小さな街があって建物があってなかに入れるので、最初に箱書きをつくることで必要な絵素材を一通りリストアップするわけです。

 また、『カスタムロボ』の場合でいうと、箱書きがあることで、箱一つにつき少なくともバトルを一つ以上入れようという目安ができるので、とても役に立ちました。それがないと、バトルが主役のゲームなのに、延々ストーリーばかり読まされるということも起きてしまいます。

 ただ、『カスタムロボ』でスクリプト作業に入ってからの感覚は、映画より舞台劇に近かった気がします(映画も舞台も演出なんてしたことないのですが)。映画のような自在なカメラの動きがなく、ずっと俯瞰で、地表からの距離と角度を維持したまま平行移動するカメラワークぐらいしかなかったからです。

 あと、主人公を操作するという性質上、原則として各シーンのつながりがシームレスなので、その点でも舞台劇に近いのかなと。もちろん、舞台劇にも場面転換という概念はありますが、映画ほど頻繁には行なわれませんし、逆に映画でも全編ワンカットで通す作品もありますが、大変まれですし。

 実際、シナリオ中のちびキャラの動きの経路をつくっていると、イベントシーンのどのタイミングで舞台に上がって、どこから“はける”かをやたら考えることになるので、これって舞台演出に少し近いんだろうなと思いながら作業していました(舞台劇の大変さを知らないのに恐縮ですが)。

 ただ、主要キャラに限っては(一般的な手法ですが)台詞ウィンドウに表情付きで顔絵が出るので、それが映画でいう人物のアップ演出に近かったのかもしれません。でも、表情パターンを見せることで、かえってイメージを固定してしまう面もあるので、こういう演出をあえてやらないゲームもありますね。 了

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