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『アはアーケードのア』 第12回『シンドバッドミステリー』(1983年セガ)

地中に埋まった宝箱を掘りあてるアクションゲーム

 『シンドバッドミステリー』は、俯瞰の固定画面による宝探しアクションゲームです。敵をうまくかわして、穴を掘って迷路のどこか一か所に埋まっている財宝を見つけ出すという遊びです。

 プレイヤーのシンドバッドは、穴を掘ることで、財宝を見つけ出すほかにも、道を封鎖して敵を足止めすることもできます。ただし、穴のあるところは自分も同じように移動できなくなります。一度掘ったところを再度埋めることもできます。

宝の地図をヒントに効率的に見つけ出す

 財宝が隠された場所は毎回ランダムなので、何も考えないとそこらじゅう手当たり次第に掘り返すことになるのですが、ヒントとして、迷路上に散らばる「?」マークを拾うたびに、画面上部の宝の地図が少しずつ開いて(めくられて)いきます。

 宝の地図はフィールドの一部を切り取った絵になっていて、その範囲内に財宝が埋まっていることを示しています。地図がどの区画を示しているかわかったとしても、財宝の座標が一点で決まるわけではないのですが、かなり限定されます。これをヒントに穴を掘るのが効率的というわけです。

 『シンドバッドミステリー』でもっとも気持ち良いのは、この財宝を掘り当てた瞬間です。間髪入れず財宝が現れ、ファンファーレが轟く。この突然ステージクリアする感じが大好きでした。

 ぼくの脳内では派手な演出のように記憶していたのですが、最近見返したらファンファーレ以外にとくに演出は入っていませんでした。レトロゲームは大体、そのまんまの内容で記憶しているのですが、このゲームに関しては珍しくちょっと記憶が美化されていたようです。あの間髪入れない感じがインパクト大だったのだと思います。

 ごくまれに、ほとんど「?」を拾わないうちに、たまたま最初に掘った穴から一発で財宝が見つかるようなこともあり、実力でも何でもないただの偶然なのですが、初めてやったときは気持ちがえらく高揚したことを覚えています。個人的には『リブルラブル』で一発で宝箱が出たときよりビックリした気がします(笑)。

立体的な迷路、ドットイートルールの併用などユニークな仕組みが満載

 『シンドバッドミステリー』のもう一点特徴的なところは、俯瞰視点ながら迷路が立体的に設計されている点です。これも今であればまったく普通の仕様なのですが、当時は2Dなので、立体的なマップ絵に沿ってプレイヤーを座標移動させるなど、手間のかかった作りだったと思います。立体交差や坂道があり、坂の上から岩を転がすことで、敵をつぶして倒すこともできました。

 また、ゲームシステムが特殊だったことに配慮してのことだと思うのですが、「?」をすべて集めることでも財宝が画面に出現し、それを取ればクリアというルールも入っていました。ルールがよくわかってない人も、一応それで進めることができる。『シンドバッドミステリー』はドットイートゲームでもあったわけです。

 そして、ステージ半ばにしてゲームオーバーになった場合、地図が完全に開き、財宝の位置も示され、プレイヤーは「ああ、そこだったのか」という無念さを抱きつつゲームが終わります。ドットイートルール併用といい、当時としてはいろいろ丁寧に配慮されていて、つくり手の考えがよく見えるゲームだったように思います。

 『シンドバッドミステリー』は全3ステージ。3ステージクリア時には、バグダッド上空と思しき場所を、シンドバッドがラクダに乗って飛んで行くデモシーンが入り、その後はループになって難易度が上がっていきます。当時はこの3ステージクリアまでの道のりがそれなりに長く感じたものです。

 また、1ステージクリアごとにも、船でエリアを移動するデモシーンが入るのですが、海上にはなぜか「ペンゴ」の姿が見えます。ペンゴは『アップンダウン』にも隠れキャラクターとして登場します。こういうさりげない(?)ゲスト出演は、当時とてもうれしかったものです。 了

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