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全ては繋がっている

シスター・チャイ・ニェム (釈尼真齋嚴)は、元マーラー室内管弦楽団のバイオリニスト。ティク・ナット・ハン師の教えと共同体の素晴らしさに感銘を受け、2009年日本人初の僧侶として出家されました。その修行期間の殆どを師に帯同し実践を積まれ、医療施設、刑務所、学校、企業にも招かれて活動。多才さと親しみやすさを併せ持ち、明快にやさしく、あらゆる立場の人々にマインドフルネスを伝えて来られました。2017年には河出書房新社から共訳書「愛する―ティク・ナット・ハンの本当の愛を育むレッスン」を出版されています。

授与式でシスターが自作の偈頌(詩)を詠まれました。
Let's go outside and play---

a midnight voice whispers
In the gentle glow of Snow Moon

Golden mimosas burst out in laughter
Embraced by silent pines,

the Time Being dances to the rhythm of flowing clouds


「あそぼうよ 夜中の声が 呼んでいる

 雪月の 優しい光に 見守られ

 笑い転げる ミモザたち

 静かな松に 抱かれながら 有時は舞う 

 流れる雲の リズムにのって」

この 偈頌(詩)が生まれた夜、シスターチャイが得たインスピレーションや、この詩に繋がるタイ(ティク・ナット・ハン師)を始めとしたスピリチュアルな先生方との繋がりのお話など、ダルマティーチャーとなったシスターから直接聞ける機会を楽しみに待ちたいと思います。

懐かしい 安曇野のリトリートを思い出します
雨が降って木が育ち 薪になる

この薪で火を起こしパンを焼く

この食べ物も雲のおかげ

納豆もストーブの上でできる
全てがつながっている
ティクナットハーンの詩にそんな詩があったなあ

仏教では、「此あるがゆえに彼あり、彼生ずるがゆえに此生ず」と説かれます。万物の相依相待性を説く縁起の理法です。それをハンは「この一枚の紙のなかに雲が浮かんでいる」と表現するのです。この一枚の紙の存在は、雲の存在に依存しています。なぜなら、雲なしには水がなく、水なしには樹木は育たず、樹木なしには紙はできないからです。さらに紙を作るには木を伐る人が必要であり、森や人間が育つには太陽の光が必要であり、というように、その他いっさいのものがこの一枚の紙のなかにあると言えます。そして、この紙を見ている「わたしたち自身もこの紙の中にある」のだから、このわたしと関係のないものは何一つないとハンは言うのです。

 現代においてわたしたちは、地球規模での相互依存の関係の中に生きていながら、そのことに気づかないかのように、自分のことと他人のことを区別し、自分に関係があると思われることだけに囚(とら)われて生活しています。すべての関係を平等に見通すことができないわたしたちは、社会が複雑化すればするほど、より単純で分かりやすい見方や、手っ取り早い解決手段を求めてしまうというあり方に陥ってしまいます。

 しかしそれでも、わたしたちは、この一枚の紙から、いま口にしている食べ物から、すべてのいのちへのつらなりに気づき、思いをはせることができる。ハンはわたしたちの中にあるこの可能性を大切にしようと訴えます。そしてそれこそが憎悪と暴力、誤解や差別を直視し、その原因を見通す力になっていくと言うのです。

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