【映像作家の視点・第2話】 星野源「うちで踊ろう」に学ぶ、三方よし

こんにちは。
映像制作チーム「ネクシネマ」の田代です。

#映像作家の視点
と題して、コンテンツ論、仕事論などなど僕なりの視点で時々書いています。

今回は、著作権と星野源さんの革新的な取り組みについて。

第1話ではUGC を取り上げました。


UGCを深堀りしていくと、「著作権」の話は避けて通れません。

YouTube 上では"歌ってみた動画"がたくさんありますが、「アレってどーなんだろう?」と疑問に思った方もいますよね。
結論から書くと、アレは”ほぼほぼオッケー”です。

なぜなら日本の音楽著作権団体JASRAC がYoutubeに対して利用許諾契約を出しているからです。(ちなみに。2020年6月29日時点では、VimeoやTwitterとは利用許諾契約は交わされていないよう。プラットフォームごとに色々違うものですね。)

そして複雑なことに、これは「歌詞とメロディーの使用に関して」だけの話で。原盤使用権はレコード会社が持っていることがほとんどです。

著作権というのは。歌詞を書いた人、メロディを作った人、楽器ごとの演奏家、それらの素材を組み合わせて編曲をする人、それぞれに発生するのです。

Youtube上では、
・元の曲をまんま使うのはNG
・「歌ってみた」はOK
ということです。
ややこしいですね。

さて、そこで。
このややこしいのを取っ払った革新的な取組みが最近ありました。

それがSNSでの話題を席巻した、星野源さんの「うちで踊ろう」です。

今作った新曲と、弾き語り映像を。
自由な形で、自由に使ってくれ。

という試みでした。

僕は音楽業界のことは詳しく知らないのですが。「そんなのアリか!?」って感じで、界隈の人は驚いたんじゃないでしょうか?
でも(たぶん)レコード会社が関与せず諸々の権利を星野さん一人で保有している状態なので、権利的にはなんの問題も無いのです。

彼のアカウントから発信されたこの曲は様々なアーティストの手を渡り歩き、その過程でとてつもなく広く訴求されました。

今では「Potluck Mix」というしっかりアレンジされたバージョンも追加され、公式サイトから自由にダウンロードできる形をとっています。


年内には、CDプレス用の全曲フルのバージョンもしっかり作られるんじゃないでしょうか?

この、
①アーティスト自身が新曲の一部を先に世に出してしまう
②UGCを生み出してもらうことで、広く訴求される
③落ち着いた頃、改めて新曲として発売する(のはず。)
というリリース形式は色んな意味で革新的でした。

ただしこれは「リリース形式」というよりも、星野源さんの、
めちゃくちゃがんばってくれている医療従事者を励ますために。
困っているアーティスト達の少しでも助けになるために。
という想いからなされた取り組みです。
――実際に②で、”素敵なアーティストをたくさん知った”という人もたくさんいるのじゃないでしょうか。

僕は一連の流れから、
「誰かをちょっと幸せにしようとすること。宣伝すること。業界全体を盛り上げようとすること。これらは矛盾せずに共存し得るものだな。」
という学びを得ました。
まさに「三方よし」な革新的な取り組みでした。

企業の宣伝広告費に頼るばかりでなく。アーティストや作家自身が知恵と工夫で多くの人にコンテンツを届ける努力をするのは、今の時代とてもとても大事なことです。

映像制作チーム「ネクシネマ」でも、色んな勉強をしながら、アレやコレや積極的に取り組んでいかねばです。

「うちで踊ろう」マインドを忘れず。
がんばっていきましょう♪

こちらの記事は2020年7月に執筆しました。
WEBコンテンツ全般、権利関係、用語など日々勉強中です。
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映像作家・俳優 田代健二
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