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「私が最も尊敬する外交官 ナチス・ドイツの崩壊を目撃した吉野文六」…佐藤優著

戦車の推薦図書はこれである。

なんだ、また戦車Pのミリオタ節か、と思った諸侯ら。まず、下の話をとにかく聞いてくれ。紹介する前に。

そもそも、この枠をシェアする意味について考えた!


みんなが知っている本を紹介してもつまらんし、知っている人は少ない、超マイナーだけれどかなり教養になる本、そういうのを紹介するのが良いんじゃないかと思い書くのである。

考えてみてほしい。「Amazonでも人気があります!!!
そいつぁ確かにすごい事だけど、これを紹介したところで一緒じゃん。
クリエイターとか教養を求める人にとって重要なことって「万人が知ってなさそうな妙な知識をシェアする・受信する」事かなって思う。
そういうことが現にこのnoteでは可能なわけであると思っている。
電子化された大量にある世の中の情報の「大流の上澄み」を掬い取るだけじゃつまらんし、よくも悪くもミーハーな奴にしかならない。真に見るべきは「まだスポットが当たっていない貴重な情報」。
流れに埋もれた深海魚がフヨフヨしてそうなあたりの宝物をシェアしたい。

うざったいことを言って申し訳ない。話を本題に戻します。

「私が最も尊敬する外交官 ナチス・ドイツの崩壊を目撃した吉野文六」は、吉野文六氏という若き日にエリート外交官を志したお方が、戦時下のナチスドイツ時代のベルリンへ駐在した際に体験したことについて書かれた本である。著者である佐藤優氏が聞き手として吉野氏の人生のレジュメを記していく。

そして、第三帝国の崩壊をインテリジェンス(諜報活動)を行いながら目撃する。
ベルリンに迫りくるソ連軍、連日の砲爆撃を目の当たりにしたアジア人、それも日本人の外交官という視点は大変貴重である。

↑ベルリンの有名な写真だけど背景の市街、見渡す感じ全部もう廃墟…↑

恐らく吉野文六氏が語ってくれなければ永遠に当時の事がわからなかったといっても過言ではない。だって当時海外の大使館勤務のインテリなんて、ほんの一握りなんだもの。

ドイツ国内で色々しているうちに、ソ連軍に遅れて、今度は連合軍の戦闘機の機銃掃射を命からがら自動車で回避しながらベルリンから逃げたり…。
考えてみてほしい!
「ドイツ国内をクルマで逃げ回り、戦闘機から撃たれた経験のある日本人エリート外交官は、戦後は沖縄の密約にも関わり日本の国益のために奔走します」。
情報が多すぎるし控え目に言ってスーパーマンでしょこれは。

話が前後しましたが……では、どうやってドイツ国内から脱出したのか???
どう生き延びて日本まで辿り着いたの???
どのルートで??? 所要時間は??? ソ連軍からの追跡や尋問は???
戦後はどう活躍したの???
読んだ私が語るは確かに簡単だが、野暮というものだし重みがなくなる。

なので是非とも記事をご覧の方にこの本を読んでほしい。

著者の佐藤優氏との対談形式だったり自身のレジュメ文体だったり、当時のヨーロッパ地図もページにあるので、これらを参照しながら吉野氏の体験を想像すると、正に読書の秋にふさわしい想像性であり教養を得ることに繋がるだろう。
嘘だと思いたいが本当の話でゾッとするし、戦後の吉野文六氏のご活躍を見ると「これが大戦を生き抜いた男の仕事」という重みであふれている。

小生、戦車と同じく、長野県松本市生まれというところもあって、小生からすると正に「郷土の大先輩」でもある。

個人的にはハリウッドの脚本レベルの壮大スペクタクルな本だった。

#推薦図書 #歴史 #戦時中 #外交官


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