白石賢司

白石賢司

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電力と市場①

初対面の方に「どのようなことを研究されているんですか?」と聞かれて、「電力の市場やシステムを研究しています」と答えると、「電力の市場・・・?」という反応をされることが多い。電力と市場という2つの言葉は、直感的に結びつきにくいものだ。よく分かる。 ざっくりいうと、電力にも卸売市場があり、そこでせり(入札)が行われ、需要と供給によって価格(スポット価格)が決まり、小売の事業者を通じてお客さんに販売される。野菜や魚と同じように。 ものすごく暑い日や寒い日で電力需要が上がったり、発

    • 気候変動政策の必要性

      主要な温室効果ガスである大気中のCO2濃度は、石炭をエネルギー源とした産業革命以降上昇を続け、1万年以上に渡って保たれた水準と比べてほぼ1.5倍の420ppmに達している。この水準までCO2濃度が高まったのは80万年以上ぶりだという。その結果、上のグラフのとおり世界の平均気温は1850年-1900年平均に比べて約1.1℃上昇した。また、今後5年間で観測史上最高の平均気温を記録する可能性は98%とされる。気候変動の影響はIPCCによってまとめられている。 温室効果ガスは外部不

      • クレジットってなんだろう:環境保全における市場メカニズムの活用

        カリフォルニア州を始めとして、アメリカの環境政策にはクレジット・市場メカニズムを活用したものが多い。市場メカニズムの連邦レベルでの活用の始まりは1990年に制定されたアメリカの酸性雨防止のための排出量取引だが、その後も自動車に関する低炭素燃料基準(LCFS)、ゼロ・エミッション乗用車(ZEV)プログラム、企業別平均燃費基準(CAFE standards)、CO2に関する排出量取引(キャップ・アンド・トレード)、再エネ導入のRPS(Renewable Portfolio Sta

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