【要約】不安定な地盤 -会社インディゴは、土壌中に炭素を閉じ込めるために農家にお金を払っている。一部の研究者は、気候変動への利点は疑わしいと述べている-

原文: SHAKY GROUND
A company called Indigo is paying farmers to trap carbon in their soils. Some researchers say the climate benefits are dubious
(Science)

July 27, 2023 Gabriel Popkin

環境再生型農法は、条件が整った場合、炭素を貯蔵する効果があるが、現状の算出モデルには定量評価・実測の精度などの疑問点も多く、まだ大きな課題があり、客観的な評価は難しい。

この論文では、農家に土壌炭素を増やすための取り組みを採用させる、新しいプログラムについて論じています。このプログラムは、米国農務省の保全監督プログラム(Conservation Stewardship Program)と呼ばれ、被覆作物(緑肥)や低耕起などの取り組みに対して農家に報酬を支払っています。しかし、これは、実際に地球を助けるのでしょうか?

議論の余地のないことが 1 つあります。それは、現代の農業は大量の温室効果ガスを発生させており、土壌や気候に優しくないということです。

このプログラムの潜在的なメリットと課題について論じています。
主なメリットの一つは、温室効果ガスの排出を削減できることです。土壌炭素は主要な炭素の吸収源であり、土壌炭素を増やすことで、農家は大気から炭素を抜き取り、土壌に保存することができます。
もう一つの潜在的なメリットは、このプログラムが土壌の健康を改善する可能性があることです。健康な土壌はより生産的であり、また、侵食や洪水を防ぐのにも役立ちます。

しかし、このプログラムにはいくつかの課題もあります。
一つの課題は、農家が実際に土壌に封じ込めることができる炭素量が不明確であるということです。土壌に保存できる炭素の量は、土壌の種類、気候、管理方法など、さまざまな要因によって異なります。特にN2Oの実測も困難です。
もう一つの課題は、このプログラムは高額であるということです。USDAは、このプログラムに多額の予算を割り当てていますが、これが大規模に実施するための費用を賄うことができるかどうかは不明です。


5月に発表された実験区画のデータのメタ分析では、不耕起作物と被覆作物はそれぞれ表土炭素を平均11%以上増加させたが、大幅な増加を生み出すには少なくとも6年間は継続する必要があることが判明した

全体として、この論文は、このプログラムが温室効果ガスの排出を削減し、土壌の健康を改善する有用なツールになる可能性があると結論付けています。しかし、このプログラムを大規模に実施する前に、そのコストと便益を慎重に評価することが重要です。

論文に記載されている情報に加えて、農家が土壌から炭素の排出を防ぐ方法についても以下を紹介します。

  • 被覆作物:被覆作物は、現金作物の間に栽培される植物です。それらは、土壌を侵食から保護し、土壌の健康を改善するのに役立ちます。

  • 低耕起:土壌を耕すことで、大気中に炭素が放出されます。低耕起は、耕起を減らすことで、炭素排出を削減するのに役立ちます。

  • 家畜放牧管理:家畜の放牧は、土壌を圧縮し、大気中に炭素を放出する可能性があります。適切な放牧管理はこれを防ぐことができます。

  • 有機物と合成物質:有機物と合成物質は、土壌に炭素を加えます。ただし、これらの物質を過度に使用すると、炭素が放出されることもありますので注意が必要です。

  • 耕起方法:使用される耕起方法は、土壌から放出される炭素の量に影響します。不耕起農法は、土壌を攪乱しない耕起方法であり、炭素排出を削減するのに役立ちます。低(浅・少)耕起でも、炭素排出量を減らす効果がある。


ツイッター等でも環境再生型農業 の為の情報中心に発信しています。是非、フォロー下さい!! @21centuryfarmer ご支援頂いたお金は全額、環境再生型農業を広める為に、使わせて頂きます!!