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映画鑑賞#1『Parfect Days』

Day:2024/2/19
Theatre:TOHOシネマズ西宮OS

映画を観る方ではないけど、映画館で観たものは書いていこうかと。
『Perfect Days』。東京渋谷区のトイレ清掃員(役所広司)の日常を描いた映画(日本とドイツの合作らしい)で、予告編でルーリードの〝Perfect Day〟が流れてたこともあってほとんどBGM目当てで映画館へ行く。

僕は人混みが嫌いだし、特に映画を観た後は静かに余韻を楽しみたいところがある。とはいえ人が集まる場所に映画館を作るのは当たり前のことで、映画館ってのは大抵ショッピングモールに組み込まれている。

近所にある西宮ガーデンズというショッピングモールの最上階にTOHOシネマズが入っていて、そこは屋上の駐車場に停めればほぼほぼ人に合わずに映画を観て静かに帰ることができる。素晴らしい。

後から調べてわかったことだけど『Perfect Days』は「TOKYO TOILET」という渋谷区の17ヶ所の公共トイレをリニューアルするプロジェクトの一環で作られたものらしい。
プロジェクトPRとしての短編映画をドイツ人監督ヴィム・ヴェンダースに依頼したところ、トイレを含めた日本の公共施設の綺麗さに感動してこうして長編映画を作る方向性にシフトチェンジしたとか。

映画ではアーティスティックな公共トイレが多数登場するが、僕は観終わって調べるまで映画のために作られたセットだと思っていた。ほんまに渋谷区にあんなアートなトイレあるんかいな。

何やらカンヌ映画祭で役所広司が主演男優賞を受賞したとか、それが日本人では柳楽優弥以来19年ぶりで2人目だとか。
役所広司演じるトイレ清掃員「平山」は寡黙で人付き合いの苦手な男で、そんな男が車で60's70'sミュージックを聴いて狂気的とも取れる笑顔を浮かべたり、哀愁というよりは情け無さ強めな切な顔を見せたり、なんとも絶妙な演技で。

まぁとにかくこの映画はジャンル分けするとヒューマンドラマなんだろうけど、日常系ってやつで、ストーリーに起伏もなく。トイレ清掃員が毎日同じコースを回って、休みの日は古本屋で100円の小説買っていきつけのスナック行って、深い人付き合いもなく。植物を愛でて音楽聴いて本読んで、それだけの日々。
寂しさとか苦しさとか、そういう悲壮感とかでもなくて「ただそういう暮らし」を見せられるだけの映画なんだけど。

なんというか、僕は映画の「撮り方」とか「見せ方」とかに無頓着で、映画好きの人はそこを評価したり語ったりするわけだけどちんぷんかんぷんで。結局ストーリーメインで見てるだけの人間で。

ただこういうストーリー性のない映画を見て「よかった」と思えることは(あ、よかったんですこの映画)、なんつーかこれが映画なんだろうなって思ったんです。小説でも漫画でもアニメでもなく、実写映画の見せ方みたいなものがあるんだろうなって。それが何かはよくわかんないんだけど。

多分その「見せ方」みたいなものの1番浅いところなんだろうけど、主人公が毎日眠る時、白黒でその1日見聞きしたものがランダムに重なり合ってプレイバックされて、それで朝を迎える、という表現。まぁ夢ってことなんだろうけど、なんかリアルだし他であんま見たことない表現だなーって。そこにほとんど人が登場しないのも「平山という人間」が滲み出てて。

ストーリー性がないのでネタバレもくそもないかと思うけど、ただ内容を書いたって仕方がないので、やっぱり音楽ですね。

主人公の「平山」は自宅から公共トイレ、公共トイレから公共トイレへ車で移動するわけですが、その間にカーステにカセットテープ突っ込んで音楽聴くわけです。それが60's70'sのものばかりで最高だったんですよね。

音楽

Transformer(1972)/Lou Reed

映画タイトルそのままのルーリード〝Perfect Day〟Velvet Underground〝Pale Blue Eyes〟パティスミス〝Redondo Beach〟ヴァンモリソン〝Brown Eyed Girl〟
この辺の「繋がり感」は気持ちよかったですね。
ルーリードは言わずもがなヴェルベッツのリーダーだし、そのメンバーであるジョンケイルがプロデュースしたのがパティスミス1st『Horses』だし、そのHorsesの1曲目で彼女の代表曲でもある〝グロリア〟はヴァンモリソンのカバーだし。
おまけに平山の姪っ子の名前は「ニコ」で、ニンマリしてしまいましたですね。

平山はこの辺のカセットテープ愛好家のようですが、カセットってめっちゃプレミアついてるのね。劇中で下北沢のカセット屋さんに行くシーンがあるんだけど、ルーリード『トランスフォーマー』が8000円とかで売れるとかなんとか。ほんでそのカセット屋がめっちゃ怪しげな店なんだけどほんとにあるとか。気になりますな。

しかし映画館の爆音良音で聴く音楽は最高ですな。「カセットでカーステやのにこんな良い音するわけないやろ!」とか思いながらも。
あとやっぱカーステってロマンですね。Bluetoothではなく、フィジカルで突っ込んで流れてくるあの感じ。なくしたくないですね。

『Horses』なんて何度も聴いてるはずなのに〝Redondo Beach〟ってこんなレゲエアレンジだったっけ、ってなって家帰って聴き直したり『トランスフォーマー』も久しぶりに聴いてみたり。
〝Brown Eyed Girl〟は名曲なんだけど、もうどうしても「ガキ使」のイメージが抜けません。笑

他にもローリングストーンズ〝めざめぬ街〟だったり(知らなんだなぁこの曲)、キンクス〝サニーアフタヌーン〟だったり、オーティスレディングだったりニーナシモンだったりが流れてましたね。あと金延幸子が唯一日本人で流れてて、選曲はドイツ人監督がしたらしいのに。さすがだなぁ日本のジョニミッチェル。

まぁそんなことで60's70's好きとトイレ好きは間違いなく楽しめる映画かと!

*追記:アニマルズ〝朝日のあたる家〟を忘れてた!劇中ではアニマルズバージョンがカーステから流れ(一番最初だったかも)、スナックでもママ(石川さゆり)が浅川マキの日本語バージョンを歌ってた。

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