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統合失調症入院日記:その1

お前なんか何も持ってないじゃんかよ。
特技もない、趣味もない、人に誇れるものもない。
顔も悪い、体格も悪い、若さすら既にない。
生きている価値あるの? とにかく死ねば?
死なないんだったら俺のサンドバックになれよ。毎日死ぬ寸前までボコボコにしてやるからよーー

その夢を見たのは、入院日が決まった日、病院へと向かう朝の時だった。

私は朝に飲む薬を服用してから、朝食も食べられず、部屋の中で1人うなだれた。

私は思った。

(朝食後に飲む薬、って書いてあるのに、素で飲んでしまうのはどうなのかな……)

私は今日、3日前に起こした自殺未遂から、入院しなくてはならない。

ちょうど2日前に保健師さんから電話があって、病院のベッドが空いていることを告げられて、私はS県の片田舎にある閉鎖病棟に入ることになった。

昨日は、入院に必要な服などを揃え、身支度をした。

私が思ったことは、やっと18歳の時に実家から出られると思って飛び出してきたにも関わらず、再び拘束され、自由を固く制限される。

そして私が心が休まる時が、一瞬たりともなくなることもわかっていた。

病院には嫁が同行してくれたが、着いてからしばらくして、医師の問診がはじまった。

今の状態や既往歴、飲んでいる薬や趣味のことなど事細かく聞かれたが、なんと答えたかは覚えていない。ありのままを話した。

医師はカルテを閉じて、こう言った。

「ま、とにかく1、2週間で退院できる状態じゃないね。せめて2、3ヶ月は見てもらった方がいい」

私は絶望した。そこまで頭のおかしい人間と見做されているのか私は、とも思った。2、3ヶ月なんて、そんなにこの薄暗い空間の中でいることは、失意のどん底にいる気分しかなかった。

そして、閉鎖病棟に入るその瞬間がやってきた。

そこで、着いてきてくれた嫁とはもうお別れ。もしかしたら今生のお別れになるかもしれない。

1人の看護師が扉をあけ、私に着いてきた看護師が私が入るのを見送って、私は入った。

中に入ると、そこは一つのセンターのような、横に長い病棟で、意外と綺麗な内装だった。

荷物は衣類以外ナースステーションに預けられ、違う部屋で身体測定と血圧を測った。もちろん、着ている服の中に危険物や入院にそぐわない物を入れていないかもチェックされた。スマホも没収させられた。

そして、看護師の1人に、病院の案内をしてもらった。

それが終わって、自分の入る部屋に案内された。共同部屋だった。

私以外に2人いたが、軽く挨拶をして、看護師が離れて行った後、私は荷物をおろしてすぐに横になって、泣いた。

泣くしかなかった。

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