なぜ高知で2拠点生活をするのか。鈴木康太さんが「地方を2倍楽しむ」方法
地方で根を張って生きる人たちのホンネとリアルをお届けする「ケンジン」インタビュー。今回は究極の2拠点生活でよくばり地方暮らしを実現している鈴木さんにお話を伺いました。
鈴木さんはさまざまな想いを持った人とつながり、新しいコトを創っていきたいと考えて高知に移住したものの、当初の生活は思っていたものとは違ったそう。
現在は高知県内で2つの家を行き来するという2拠点生活を実現していますが、なぜ高知で2拠点持つのか、そしてその生活は幸せなのか。鈴木さんの2拠点生活のリアルを話してもらいました。
鈴木 康太さん
静岡県袋井市出身。東京都で約15年間暮らし、人材業界やエンターテイメント業界の新規事業を経験。2018年3月に東京都から高知県へ移住し、現在はIT企業に勤務。当初は南国市1拠点で生活をしていたが、高知県に移住して3年経った頃に本山町にも拠点を持ち、現在は高知県内で2拠点生活をしている。
地方都市だけでは実現できない理想の生活を2拠点で実現
なぜ高知で2拠点生活をしているのですか?
鈴木さん
ゆかりもない高知に移住したんですけれど、イメージどおりの田舎暮らしが1拠点だとできなかったということがあって、結果的に2拠点になってしまったという感じです。
元々2拠点生活をしようと思ってなくて、結果的に2拠点生活というスタイルになったって言ったほうが正しいかなと思います。
高知に移住したけど思っていた生活と違ったということですか?
鈴木さん
そうですね。そういう意味もあって、1拠点生活を2年間くらいしてたんですけれども、3年目になった時から2拠点生活をスタートしているような状態です。
2拠点とはどことどこにあるのですか?
鈴木さん
今住んでるのは高知の中心地である高知市のすぐ隣にある南国市っていうところで、高知市の中心部の駅前まで、だいたい車で20分くらいの隣の市に戸建て賃貸を借りていて、基本的にはそこにいることが多いです。
もうひとつが本山町という所で、高知県の山奥の方。本山町に家を借りていまして、だいたい今住んでるところから45分くらい車で移動したところです。
本山町のお宅はどんなところにあるのですか?
鈴木さん
高知県の中でも山奥というか、本当に、いわゆるド田舎と言われるような、田舎のイメージのままのような場所かなと思います。
そもそもなぜ南国市に住むことになったのですか?
鈴木さん
なんで南国市に住んでいるかっていうと、入った会社が高知市の駅前にあるような会社で、基本的にはそこに通わなければいけないっていうあったので、高知市の駅前に通える距離の田舎を探した結果、隣の市の南国市に決めました。
南国市の家と本山町はどういう使い分けをしてるんですか?
鈴木さん
市内に通わなければいけないということで、市内に通うための基本的な生活拠点が南国市になっています。会社員として仕事が平日にあることが多い。リモートワークで通わなくていいこともあるんですが、何かあった時に通わなければいけないので。憧れの田舎暮らしみたいなものを想像したんですけれども、それは結構中心地から近いところでは難しいことがわかって。
いわゆる田舎の憧れのスローライフ的な田舎暮らしを実現しようと思って本山町の山奥をもう一方で借りていて、休日はそちらで過ごす事が多かったり、自分の中で仕事が完結するときには本山町に行って、朝から夜まで仕事をするみたいなこともあったりします。
なので、生活の拠点としては南国市と、ある意味田舎ライフとかあこがれの移住ライフみたいなことを実現する場としての本山町みたいな形で、2拠点分けている状態になってます。
すごくキレイな家ですけど、リフォームされたのですか?
鈴木さん
そうですね。借りた状態の時だと、多少ものが多かったりとか、照明が古かったりとかっていう事で古くささみたいのが結構あったので、照明を変えてみたりとか、壁を白く塗ってみたりとか障子を変えてみたりとか、モノを減らすという形でちょっときれいにしたといった形かな。だいぶ雰囲気も変わりました。
DIYは大変ではありませんか?
鈴木さん
その通りだと思います。結構本格的に始めるまで1年かかったりしたので、きれいにするっていうことの精神的な負担は大きかったです。
結構ものが多くて、モノをどうやって片付けたらいいのか分からないとか、結局ホコリが多かったり虫がいたりするので、なかなか開けるのが怖いような場所も含めて、見ないようにしてたんですけれど。
鈴木さん
良くないなと思ってホコリが凄いところも掃除したり、障子とかも全部水で洗って貼り直したりしていい感じになったんですけど、自分でやるっていうのは結構勇気がいりましたね。
触れるのが怖いところもあるんですけど、そこを頑張ってやらないといけない。きれいな場所、イメージ通りの場所はないけど、やらなきゃいけないんだろうなと思ったりしてます。
実際に2拠点生活されて感じたことはありますか?
鈴木さん
2拠点生活のメリットになると思うんですけど、色んなおもしろい人とどんどんつながっていくことが地方移住の魅力だなと思ってます。飲み会を通じていろんな人と出会ったり知り合ったり、イベントを通じて色んな人とつながっていくことが多くあって、そういうものは大体中心地である高知市でやることが多いと思ってます。
地方だからこその苦労はありますか?
鈴木さん
実はそんなに感じることはないんですけれども、唯一あるのが草刈りが大変だなっていう感じです。2軒持っていて両方とも1戸建、いわゆる戸建で庭が結構広かったりするので、両方とも草がすごい。9月ぐらいまで草が生えてしまう。
山奥と中心部に家があって、両方とも草が生えてしまう。それを刈らないといけないっていうのが1か月の中に2回ぐらいはあります。庭の管理というか草刈りと手入れみたいなところが、時間と体力を奪われるのでデメリットかなと思うところですね。
お話を聞いていると、南国市ではなく東京でもいいのではないかと思ったのですが、いかがでしょうか?
鈴木さん
東京にいたら、高知の面白い人と出会える可能性はどんどん下がっていくだろうし、山奥の一軒家にいても、出会えないんだろうなと思ってるんで、東京ではだめですね。
究極の2拠点生活で「したいこと」にお金を使って、幸福度10倍!
2つ家を持っているとお金がかかりそうなのですが、実際に出費は東京にいた時より増えていませんか?
鈴木さん
高知2拠点の方が圧倒的に安いです。
本山町に借りている家の家賃はですね、山とか田んぼが付いて月々15,000円で借りてます。南国市の方は中心部の中でもかなり安い値段で借りているので、東京で普通に暮らしている、いわゆるマンションに住むような金額よりは、2件合わせても安くなっているような状態ですね。
東京に比べて車の維持費となどが増えていそうなのですが、どうでしょうか?
鈴木さん
そうですね。家賃でいうとだいぶ安いんですけど、全体で言うと私の感覚だと、地方だから生活コストが安くなったっていう感じではないかもしれない。
家賃は安いんですけど、車の維持費だったりとかガソリン代もかなりかかるようになったりとか、高知に来たからこそいろんな人と飲み会とかでつながることもあったりするので、そういう交際費みたいなところっていうのは、たぶん東京よりも多いんじゃないかな。トータルで使うお金が東京にいる時より下がったかって言われると、実はそんなことはないんですね。
家賃は下がり、その分楽しむことにお金を使ってるということですか?
鈴木さん
そうですね。そんなことが正しいかなと思って、地域のいろんな人と出会ったりしていて、なるべくそういった人たちのもの買ったりとか、お金をそこで使ったりとかっていうようなことは、結構意識するようにしています。
お金をつかうところが生活コストというより、誰か面白い人とお金を一緒に使ったりとか、好きなことにお金を使えたりとかになったので、高知での生き方のほうが10倍くらい幸せを感じてます。
地域の魅力を2倍味わえる「究極の2拠点生活」
地方の中で2拠点持つことってどう思いますか?
鈴木さん
地方の中で仕事とか人とつながるっていうことを維持しながら、憧れの田舎の生活みたいなものを実現するっていう意味では、地方の2拠点生活っていうのがすごい理想的だなと思っています。
ただ、東京と地方での2拠点生活をされる方の一番のメリットって、東京の最先端の動きとか流行とか東京でしか得られない情報を得て、地方でもそれを生かしながら活躍して仕事していくっていうところかなと思っていて。
地方の中での2拠点生活っていうのは地域の中にとどまってしまうので、首都圏での最先端の情報とか首都圏でしか出会えないような人たちのつながりみたいなことがちょっと閉じてしまう。
ただ、コロナになったことによって、セミナーとかが全部オンライン化になっていたりするので。今までは東京でしか出会えない、行けないようなセミナーがオンラインになってることによって、そこの格差って減ったんだろうなと思っています。
率直に、地方で1拠点での生活と2拠点での生活の違いってなんだと思いますか?
鈴木さん
結局、2拠点持つことで地域の魅力を2倍味わうことができることが大きいかなと思っています。そこの場所でしか感じられない魅力みたいなものがあると思うんですけど、地方と言いながら地方って意外と中心部って都会なんですよね。
そう考えると地域にしかない美味しいお酒とか、美味しいお店とかいうのがあったりして、そういうものは中心部でしか味わえない。本当に田舎暮らしをダイレクトに味わうことができるっていうのは、山奥とかの地域に住まないと感じられないことも多かったりします。
それら2つ同時に味わえるっていうのはすごく魅力的だなと思っています。